Timo Werner RB Leipzig Tottenham 2019-20Getty

ドイツ中で嫌われる成り上がりから真のトップクラブへ。ライプツィヒ躍進の背景

■毛嫌いされる理由

「放映権料の分配方式を見直せ!」

ドイツでは今、そんな声が挙がっている。過去の成績を基に評価点を導き出し、上位から順に多額のマネーを分配する現行方式では、“数字”を稼げるクラブが必ずしも人気に見合った恩恵を受けられないからだ。冒頭の発言主は近年低迷している名門ハンブルガーSVやシュトゥットガルトなどの関係者で、彼らの標的は言うまでもないだろう。RBライプツィヒやホッフェンハイムのような新興勢力だ。ドイツのファンが重んじる伝統がなく、地元以外に支持基盤を持たない両クラブの対戦は視聴率1%に満たない場合もあるという。

RB Leipzig 22022020Getty

RBライプツィヒやホッフェンハイムが毛嫌いされているのは、ひとえに「カネの力で成り上がった」からだ。マンチェスター・シティやパリ・サンジェルマンのようになりふり構わない補強で、ビッグネームをかき集めたわけではない。ただ理由はどうあれ、RBライプツィヒは『レッドブル』、ホッフェンハイムは『SAP』という世界的企業のバックアップを受け、無名のアマチュアからドイツを席巻する有力クラブにのし上がった背景がある。

RBライプツィヒの前身は当時5部に所属していたマルクランシュタットで、2009年にレッドブル社がこのクラブのライセンスを取得。そして、同社のイニシャルを盛り込んだ新クラブとして新たなスタートを切った。もっとも、RBはレッドブルの略称ではなく、レッドブル社が編み出した「RasenBallsport」(芝生球技)という造語だ。ドイツには原則として企業名をクラブの正式名称に組み込めない規則が存在するための苦肉の策だった。

こうして産声を上げたRBライプツィヒはトントン拍子で1部への道を突き進む。09-10シーズンに5部優勝を果たすと、12-13に4部を制覇。13-14は3部2位、15-16は2部2位と躍進し、創設からわずか7年でドイツ最高峰の舞台まで駆け上がった。ビッグネームをかき集めはしないものの、スタッフを含む人材やトレーニング設備などハードとソフトの両面に、レッドブル社の潤沢な資金を投じながら急成長していった結果、RBライプツィヒはなにより伝統を重んじる他クラブのファンから疎まれる存在となったのだ。

■独自スタイルからの進化

一方で、とりわけ中立の指導者などからリスペクトされている部分もある。それは12年夏にスポーツディレクターに就任したラルフ・ラングニックが植え付けた戦術「RBスタイル」だ。ハイプレス(ラングニックは“エクストリーム・プレッシング”と表現する)、攻守の切り替え、縦に速い攻撃がキーワードのサッカーで、選手たちのスプリントやギアチェンジ、豊富な運動量などが戦術を支える基盤になっている。ポゼッション全盛期に生まれたこのスタイルで、国内外のエキスパートや戦術マニアを唸らせてきた。よく耳にするのは「ボールを奪ったら5~10秒以内にゴールを奪う」という独自のコンセプトだろう。

Julian Nagelsmann Leipzig 2019-20Getty

その確固たるスタイルをかなぐり捨てることなく、さらなる進化を遂げたのが今シーズンのRBライプツィヒだ。仕掛け人は32歳の青年監督ユリアン・ナーゲルスマン。稀代の戦術家は昨夏の就任後、真っ先にボールポゼッションの改善に着手した。その結果、GKペーテル・グラーチが長身ストライカーにロングボールを当てて、こぼれ球を回収して一気にゴールを目指すような速攻は減り、最後尾からしっかり組み立てるケースが増加。そしてボールを動かしながら、隙あらば一気に縦のスペースを狙う攻撃を繰り出している。

昨シーズンまで重視していたわけではなく、同時に得意でもなかったポゼッションが改善されたのは、CLラウンド16のファーストレグ・トッテナム戦でも実証された。完全アウェーの環境にも動じずに、立ち上がりから主導権を握ったRBライプツィヒは、このゲームでボール支配率56%を記録。タレント力や経験値で上回る強豪を相手に冷静にボールを回し、ほとんど危なげのない試合運びで1-0の完勝を収めてみせた。ボールを持たされると苦戦傾向にあった昨シーズンまでとは打って変わり、サッカーの幅が広がっている。

ナーゲルスマンの指導によって、エースのティモ・ヴェルナーや崩しの切り札であるマルセル・ザビッツァーが凄みを増しているのも頼もしく、トッテナムとのリターンマッチ(現地時間10日)に向けて大きな不安はない。ヘルプストマイスター(秋の王者。前半戦の首位)に輝いたブンデスリーガでは、ここにきて絶好調の首位バイエルンに勝ち点5差とやや水を開けられてしまったが、CLで躍進を継続させる可能性は十分にある。

いわゆるワールドクラスの大物が不在で、ヤングタレント中心のチーム編成もあり、昨シーズンに大躍進を遂げたアヤックスとも比較されるRBライプツィヒ。彼らがこのまま躍進を続けるようなら、ドイツ国外での視聴者は右肩上がりで増えていくことだろう。

▶UEFAチャンピオンズリーグ観るならDAZNで。1ヶ月間無料トライアルを今すぐ始めよう

【関連記事】
DAZNを使うなら必ず知っておきたい9つのポイント
DAZN(ダゾーン)をテレビで見る方法7つを厳選!超簡単な視聴方法を紹介
DAZNの2020年用・最新取扱説明書→こちらへ  ┃ 料金体系→こちらへ  ※
DAZN番組表|直近のJリーグ放送・配信予定  ☆
DAZN番組表|直近の海外サッカー放送・配信予定  ☆
Jリーグの無料視聴方法|知っておくと得する4つのこと
「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です
「☆」は提携サイト『 DAZN News 』の提供記事です

広告

ENJOYED THIS STORY?

Add GOAL.com as a preferred source on Google to see more of our reporting

0