2点をリードしている川崎Fは、むしろ試合運びの選択が難しい。第1戦では開始早々の10分、山本悠樹が試合の立ち上がりであること、前が空いたことから積極的にミドルシュートを狙うと、相手に「ちょっと当たってラッキー」(山本)な形ではあったが、先制に成功。その後もハイプレスとローブロックの判断、セカンドボールの奪取で試合を支配した。
一方、後半は「立ち上がりから相手に対して受けに回る流れになったのがよくなかった」(山本)。2点のリードを奪ったことは影響したはずであり、1点を返されても公式戦ここ11戦で11ゴールと脅威の得点力を発揮している伊藤達哉がゴールを決めて2点差に戻したのだから、後半の戦いも結果として正解と言えるかもしれない。
ただ、後半のような戦いが90分続くとなると耐えるべき時間が長すぎる。
何よりも大事なことはチームとして意思を統一させることだが、「戦術、戦略といった監督以下(スタッフと)準備しているものを当てられた」(長谷部茂利監督)第1戦の前半同様、自分たち主導で進められる時間をできるだけ長くするのが理想だろう。
その点でカギを握るのは、脇坂泰斗だ。ピッチにいるかいないか、攻撃面で大きな影響を与えるのが山本であれば、脇坂は守備面でチームに大きな影響を与える。
攻撃面の技術力や判断力が脇坂の最大の武器ではあるが、守備時にはFWと並んでプレスのスイッチ役もこなす。実際、第1戦の2点目は脇坂の素早い切り替えとプレスが相手のミスを誘い、ファンウェルメスケルケン際のスーパーゴールが決まっている。
脇坂の守備がチーム全体のプレー位置を変えると言っても過言ではない。第1戦を終えて「守り切るという考えはあまり好きじゃないし、もっと敵陣でプレーできるようにしたい」というキャプテンの思惑どおりになれば、川崎Fはリードを保てるはずだ。
柏には90分で2点を取る力、川崎Fにはリードを守り、広げさえできる力がある。何が起こっても不思議ではない。
決勝進出の行方が決まる“後半”も見応え十分の試合が展開されることは間違いない。
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