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女子サッカー ユニフォーム|WEリーグの教科書!?女子チームのブランディングをアメリカNSWLユニフォームから読み解く

今年9月に開幕する日本女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」。

4/24からWEリーグの新チームお披露目となるプレシーズンマッチも始まっており、いよいよ、歴史的なシーズン開幕に向けて各クラブが万全の態勢を整えている。

そんな中で先日、INAC神戸レオネッサがチームユニフォームを発表。デザイナー・コシノヒロコ氏が手掛けたユニフォームは話題となった。

サッカーファンのひとつの楽しみでもあるチームユニフォーム。今回は15日開幕のアメリカの女子プロサッカーリーグ、ナショナル・ウィメンズ・サッカーリーグ(通称・NWSL)の事例とともに紹介する。

2021年4月のNSWLチャレンジカップを皮切りに、各チームの新ユニフォームが発表された。いずれもサッカー少女たちの心をくすぐるデザインばかりで、アメリカ女子サッカーがどれだけ人々の心を掴み、現地の盛り上がっているのかが垣間見える。

その実例には、WEリーグが学ぶところも多い。各都市の特徴やストーリーなど、中にはブランディング戦略も盛り込まれた「女子サッカーをデザインから楽しむ」という視点で見ていこう。

文=ちょこ(Goal編集部)

  • Portland Thorns FC(C)Getty Images

    ポートランド・ソーンズFC(Portland Thorns FC)

    コーヒー、クラフトビール、キャンプブームと日本のシティボーイ系カルチャーを魅了する街・オレゴン州ポートランド。実はポートランドという地は、バスケットや野球が主流のアメリカでは珍しく、サッカーが熱いというのをご存知だろうか?

    ポートランドを拠点にしている女子サッカーチームポートランド・ソーンズFCのユニフォーム(2020年~)は、「バラの街」と呼ばれるポートランドを象徴するかのようなバラ柄。気高いバラのモチーフは、漆黒のシックなデザインによく映えている。サードユニフォームならまだしも、ホームユニフォームではあまり見ないカラーリングだが、不思議と重く見えず、とにかくピッチの芝生の上で見ても可愛いのだ。

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    オーランド・プライド(Orlando Pride)

    フロリダ州オーランドを拠点とするオーランド・プライド。デザインはNASAケネディ宇宙センターをインスパイアしており、スペーシーなあしらいがかわいらしい。

    オーランド・プライドには、チームを語る上で欠かせない2人のスター選手がいる。1人は、元アメリカ代表FWアレックス・モーガン。イギリスのトッテナム・ホットスパー・レディースからの加入は、今季女子サッカー界で最も話題を呼んだ移籍のひとつだ。その美貌から日本にもファンが多いモーガンは、昨年出産を経てピッチへ戻り、ママさんサッカー選手としても活躍。新たな魅力を見せている。そしてもう1人は、すでにチームの顔として活躍している女子サッカー界のレジェンド、マルタだ。

    この2人が着用するユニフォームは、初回販売がなんと10日間で売り切れ! 追加発売が決定した。選手人気だけでなく、ピッチとの相性も抜群のデザインだ。

  • RacingLouisville-nagasato(C)RacingLouisvilleFC

    レーシング・ルイビルFC(Racing Louisville FC)

    今季NSWLに加入した新チーム、レーシング・ルイビルFC。 日本の永里優季も所属しており、ヨーロッパ、アメリカで活躍してきた彼女のナンバーユニフォームが最も売れたという。

    ユニフォームファンの間でも最も話題になっており、筆者も即時オーダーしたほど、息を飲むクオリティのデザインだ。ホームユニフォームは、ミッドナイトバイオレットカラーをベースに、ユリと蝶々と蜂の紋様がデザイン。これらのモチーフは、ルイビル出身のモハメド・アリへの敬意を表している。

    「ちょっと遊びすぎ?」とも思ったが、チーム写真を見て、なんて素敵なユニフォームなんだと悶絶した。新設チームのフレッシュさも感じられる大胆さもある。これこそ女子サッカーだからこそできるデザインと言いたい。

  • Gotham FC-kawasumi(C)Getty Images

    ゴッサム FC(Gotham FC)

    今年からロゴとチーム名を一新した旧スカイブルーFC。2019年に再びアメリカへ戻った日本の川澄奈穂美もこのチームに在籍している。

    クラブの大きな変革に合わせ、各選手が街でユニフォームやアパレルを着用して撮影。動画とともに、ファッションシュート満載のヴィジュアルを発表している。驚いたのは、スチール撮影はチームメイトのディディ・ハラチッチによるものだそう。ニュージャージーを本拠地に、ニューヨークの街も取り込んだシティ感満載のチームへと変貌し、フットボールカルチャー界隈で大きく注目されている。

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    日本が学ぶべきところは…

    こうして見ていくと、まずユニフォームお披露目でのヴィジュアルにこだわりを持っているのがわかる。サッカー少女たちを熱狂させるためにカッコよく意識して作りるということが、女子サッカーの底上げになっているのは間違いない。Jリーグがそうだったように「あのピッチに立ちたい」と競技者が思わない限り、リーグは続かない。そんなブランディングを、アメリカは意識しているのだ。

    また、可愛い色ではなく、落ち着いたカラーをベースとしたホームユニフォームが多いことにも気づく。日本ではサードユニフォームで使うようなカラーだが、女性が身にまとうがことで華やかになるという観点では、非常に女子サッカーと相性が良いのかもしれない。また、落ち着いたカラーに差し色や柄を使用しても違和感のない点も、女性スポーツとの相性ゆえだと感じる。

    こうして「女性目線で物事をみる」というスタンスに対し、世間では様々な角度からの論争がある。だが「女子サッカー」という1つの競技として見えてくるアメリカの成功例は、日本が学ぶべきところである。

    第20回目となる永里優季と川澄奈穂美のライブトークショー「ナホナガトーク」では、NWSLのユニフォームとブランディングについても語っている。アメリカでプレーするから感じる、知ってる話や、日本との違いなど興味深い話が聞けるだろう。※ダウンロード(有料)はコチラから。

    WEリーグプレシーズンマッチを封切りに、WEリーグの開幕と、これからも続くピッチ以外でのクラブの挑戦を、サッカーファンとしては、楽しみに待っていたい。