Japan-Argentina(C)Getty Images

アルゼンチンに3失点で苦杯。U-17日本代表、”死の組”突破へ克服したい『弱さ』…命運握る最終戦、アフリカ王者撃破へ【U-17W杯】

「もう次の試合でやるしかない」

アルゼンチンに1-3と苦杯を舐めたU-17ワールドカップ第2戦終了後のロッカールームでは、早くもそんな言葉が交わされていた。

  • ◼︎まだ可能性は残っている

    2試合を終えて日本の勝点は3。グループ内ではセネガルが6でトップに立ち、アルゼンチンが日本と同じ3、そしてポーランドが0という状況だ。3位の上位チームも突破できるレギュレーションのため、連敗しているポーランド含めてまだ可能性は残っている。

    日本視点で見れば「勝点3なら確実、1でも行ける可能性は十分、0だと難しい」というシチュエーション。セネガルとの得失点差をひっくり返しての1位突破はかなり難しいとはいえ、下を向いている場合じゃないのも間違いないだろう。可能性は十分に残されている。

    「もう次の試合に自分たちの目を向けている。もう勝つしかないですし、このチームでやってきた、今までやってきた全てを出して、最後の試合に絶対勝ちたい」(DF土屋櫂大)

    あらためて、セネガルとの試合にフォーカスするのみだ。

  • 広告
  • Amara Diouf Senegal 2023Getty Images

    ◼︎立ちはだかるのは”優勝候補”のアフリカ王者

    そのセネガルはアフリカ王者となった今大会に出場してきた優勝候補の一角を担うチーム。このU-17年代は過去大会でもアフリカ勢が力を発揮してきた歴史があるが、今大会も初戦でアルゼンチンを2-1と破り、勢いに乗ってポーランドを4-1と撃破。圧倒的な破壊力を見せてきた。

    武器となるのは、やはり個々の身体的なスペシャリティだ。「スタッツを見ていても、時速35kmとか日本の選手ではちょっと出せない数字を普通に出してくる」と森山佳郎監督が語るように、「よーいドンで競争したら勝てない」タイプのチームだけに、「そういうシーンを作らせないようにする」ことに力点を置く必要がある。

    「10番(アマラ・ディウフ)とかスケールの大きい選手が多い」と日本の指揮官が警戒を深めるように、左ウイングの位置から見せるダイナミックなドリブルシュートが武器の15歳の主将ディウフや、登録は何故か172cmながら実測は190cm以上あるであろうFWイドリサ・ゲイェ、登録175cmだがこちらも実測190cm以上のセントラルMFダウダ・ディオングなど飛び抜けたスケール感を持つ選手たちがズラリと揃う。

    この3人とは異なるSBもこなす万能型MFアルファ・トゥーレの4人はA代表招集歴を持ち、ディウフとディオングは出場経験も持つ。他の選手たちもそれぞれ日本のU-17世代では考えられないような水準のパワーやスピードを持った選手が揃っており、個々の圧力ではアルゼンチンをも圧倒していた。

    ただ、隙のないチームかと言えば、そうでもない。迂闊なプレーは多く、攻撃の選手たちも勤勉に守備をするわけではない。ディウフはボールを持てば脅威だが、守備で貢献できるタイプでもない。日本として付け入る隙はある。連勝しているため、メンバーを落としてくる可能性もあるが、そこは余り考えても仕方ないだろう。

    日本として克服したいのは、2試合通じて出てしまった立ち上がりの弱さ。共にハーフタイムで活を入れられて、「せっかくのW杯なんだからもっと挑戦しよう」という精神性を取り戻すことで後半の内容を大幅に改善させているが、逆に言えば、前半に腰の引けた試合をしてしまっているのは否めない。立ち上がりからチームが持つ本来のアグレッシブさを押し出し、呑み込まれるのではなく、呑み込んでいく試合を見せたいところだ。

    いずれにしても、次のセネガル戦ではチームの命運は決定する。森山監督は「ここからは全部決勝戦ということになったんだから、やり切るだけ」と力強く言い切った。日本時間17日18時から行われるグループステージ最終戦に、積み上げてきたすべてをぶつける。