Kingsley Coman Bayern 2024Getty Images

広報担当を急遽“偽会長”として紹介?バイエルン元TDが2015年にフランス代表FWを獲得した作戦とは…

2015年夏の移籍市場閉幕が迫る中、当時のテクニカルディレクターであったミヒャエル・レシュケは大きな目標を掲げていた。それは、キングスレイ・コマンをバイエルン・ミュンヘンに迎え入れることだった。このフランス代表ウィンガーの獲得は、彼主導で進められていたのだった。

  • “安っぽいトリック”

    当時19歳だったコマンは、1年前にユース時代から過ごしたパリ・サンジェルマンを退団し、フリーでユヴェントスへと移籍した。初挑戦のセリエAでは14試合出場2アシストを記録していたが、レギュラーからは程遠い状況だった。

    しかし、レシュケはバイエルンでの活躍を確信。停滞していた交渉を打開するために、一見すれば“安っぽいトリック”に頼るほど確信があったという。数年後にポッドキャスト『Football Finance』で認めている。

  • 広告
  • Kingsley Coman JuventusGetty Images

    “偽会長”の大仕事

    移籍市場最終日、レシュケはバイエルンの本部があるゼーベナー通りでコマンやその側近と交渉を行った。その交渉は難航を極めていた。

    「私が移籍交渉を担当した。コマンは両親、そしてフランス人アドバイザーとイタリア人アドバイザーを伴って同席していたよ。すでにかなり合意に近づいていたが、何度も最高性が行われたんだ」

    交渉が行き詰まる中で彼は廊下に出ると、偶然ステファン・メネリックに遭遇。現在メディア・コミュニケーション担当ディレクターである彼は、当時からすでに長年にわたってクラブの広報部門で働いていた。そして、レシュケは彼に特別な任務を託したのだった。

    「私は彼にこう言った。『ステファン、今この場所でコマンとの交渉が進行中だ。もう後戻りはできない。君を交渉に同行させる。そして、君をバイエルン・ミュンヘンの会長として紹介し、最終的な詳細について話し合うために特別に訪れていると説明する』とね」

    突如としてバイエルンの会長に就任したメネリックは、コマン側の要求をすべて断固として拒否し、5分後に口実を作ってその場を離れるという任務を与えられた。今振り返ればあまりにも“安っぽいトリック”だったが、コマンのアドバイザーたちはその作戦を見抜くことができなかった。レシュケはこう振り返る。

    「私は『特別に会長をこの話し合いに招きました。会長は、これ以上は無理だと言っています。契約案を受け入れるか、受け入れないか、どちらかです』と伝えたよ。そして、その案は受け入れられた」

    @_footballfinance

    UNGLAUBLICHE Story: So kam Kingsley Coman zum FC Bayern! ⚽️😱 Die Folge mit Michael Reschke ab Montag (21.07) überall wo es Podcasts gibt und in der Videoversion auf YouTube!🎥 #michaelreschke #podcast #footballfinance #bundesliga #pepguardiola #schalke04 #bayernmünchen #bayer04 #vfbstuttgart #championsleague #fußball #transfers #verhandlungen #transferupdate #manager #sportdirektor #dfbpokal #titel #nickwoltemade #kimmich #kingsleycoman #fcbayern #matthiassammer #ulihoeneß #sport #talente #scouting #deutschermeister

    ♬ Originalton - Football Finance
  • FBL-EUR-C1-PSG-BAYERN MUNICHAFP

    「素晴らしい取引」

    こうしてバイエルンのへの移籍が決定したコマン。最初の2年間はレンタルで、そして2017年に2100万ユーロの移籍金で完全移籍へと移行している。レシュケは後に、この契約を「バイエルンにとって素晴らしい取引だった」と振り返っている。

    コマンはバイエルンで計339試合に出場し、72ゴール71アシストを記録。ブンデスリーガ9回にDFBポカール3回の優勝を経験したほか、2020年のチャンピオンズリーグ決勝では古巣パリ・サンジェルマン相手に決勝ゴールを奪い、ビッグイヤー獲得の立役者となっている。そして2027年までの契約を残す中で、今夏にサウジアラビアの強豪アル・ナスルへと加わっている。

    一方で、レシュケの状況は? コマンの完全移籍移行直後の2017年夏にバイエルンを退団。シュトゥットガルトやシャルケではあまりうまくいかず、現在は無所属となっている。

  • ENJOYED THIS STORY?

    Add GOAL.com as a preferred source on Google to see more of our reporting

0