Getty/Goalメッシ、クリスティアーノ・ロナウドら衝撃の取引も!2021年夏の移籍市場、最高の契約15人
Getty Imagesタミー・エイブラハム|チェルシー→ローマ|4000万ユーロ(約52億1000万円)
セリエA最大級の契約が今夏取り交わされた。おそらく影響も最大級だろう。まだ移籍後間もないエイブラハムだが、俊足や献身性、優秀な認知力を持っている。昨シーズン7位に終わったローマが新たな次元を迎えることになりそうだ。
よく知られた事実だが、ロンドン出身の23歳がスタディオ・オリンピコ(ローマの本拠地)に移籍するのにかなりの説得を要したという。だが、ジョゼ・モウリーニョ監督の下、エイブラハムが自分の才能をさらにレベルアップさせるポテンシャルがあることは明らかだ。
確かに、4000万ユーロ(約52億1000万円)という移籍金は、まだ能力が十分に認められていないストライカーに支払う額としては驚くほど高価だ。特にパンデミックの影響を受けてリーグ全体が不況にあえぐ中のことだから、尚更だ。だが、すでにジャッロロッソ(ローマの愛称)で出場した最初の2試合で1ゴール2アシストを挙げている。
スクデットへの挑戦を語るにはまだ早いように思われるが、イングランド人FWは内心で優勝を狙いながらも、チームをトップ4に導こうと思っているだろう。そうなれば、投資に対してローマは大きなリターンを得ることになる。
Getty Imagesダヴィド・アラバ|バイエルン・ミュンヘン→レアル・マドリー|フリー
バイエルン・ミュンヘンはアラバの法外な賃金要求を受け入れようとしなかったが、レアル・マドリーにとっては嬉しい状況となった。マドリーはこのオーストリア代表に年間総額1200万ユーロ(約15億6000万円)のサラリーを提示したのだ。
もちろんロス・ブランコス(レアル・マドリーの愛称)は、パンデミックがもたらした財政への影響から、直近2回のウィンドーではコスト削減を試みてきた。だが、そんな状況でもアラバに気前よく大金を投じた理由は想像に容易い。
まず、元キャプテンのセルヒオ・ラモスが抜け、ディフェンスに大きな穴が空いている。さらに、アラバは様々なポジションでプレーでき、飛び抜けた能力を持ち合わせたフットボーラーだ。そしてもう一つ理由がある。アラバをフリートランスファーで獲得できたこと。さらに、29歳という年齢を考慮しても、このワールドクラスがトップレベルでプレーできる期間はまだ長いだろうと信じているからだ。
Getty Imagesハカン・チャルハノール|ACミラン→インテル|フリー
ミランは合わせて11人の選手と新たに契約を結ぶなど、今夏非常に精力的に動いていた。だが、2人の主力選手をフリートランスファーで失うことになり、大きな痛手を被ったことは否めないだろう。
ジャンルイジ・ドンナルンマの移籍はとりわけ大打撃だった。ユースが育て上げた選手であり、GKというポジションにおいて間違いなく世界最高の選手だからだ。だが、ミランは少なくともドンナルンマの穴を埋めることには成功した。リールからマイク・メニャンを獲得したのだ。移籍先はパリ・サンジェルマンであって、セリエAの他クラブではなかったという事実もある。
だが、ハカン・チャルハノールの場合は異なる。移籍先が同じくミランを本拠地とするライバル、インテルだ。彼の移籍は特にミランにとって痛手となった。
代わりに10番をつけるブラヒム・ディアスは素晴らしい選手であることを証明しているが、チャルハノールと同レベルとは言えないだろう。ステファノ・ピオリ監督の下で再生を図るロッソネリ(ミランの愛称)において、チャルハノールほど重要な選手として評価された選手はほとんどいない。プレーメーカーとして起用されてからそれほど優秀な活躍を残してきたのだ。
さらに悪いことに、チャルハノールはすでにシモーネ・インザーギ率いるインテルに見事にフィットしているようなのだ。2週間前のネラッズーリ(インテルの愛称)デビュー戦で記録したゴールとアシストがそれを証明している。
Getty Imagesメンフィス・デパイ|リヨン→バルセロナ|フリー
バルセロナファンにとっては悪夢のような移籍市場だっただろう。クラブの財政状況の困窮ぶりが隅から隅まで痛々しいほど詳らかになってしまったのだから。
クラブのレジェンドであるリオネル・メッシをタダでPSGに放出してしまったブラウ・グラーナ(バルセロナの愛称)は、チーム強化のためにバーゲン会場で買い物をしてチームを強化することを余儀なくされてしまった。
エリック・ガルシアが世界レベルのセンターバックに成長するかどうかはまだわからないし、セルヒオ・アグエロがケガから解放されるかどうかも未知数だ。だが、メンフィス・デパイとの契約はすでに見事な成果を見せ始めている。
この27歳はすでに最高クラスの舞台で活躍できるだけの才能を持ち合わせており、ロナルド・クーマン監督はこの万能FWの能力をフルに引き出す方法を熟知している。この2人は以前オランダ代表チームで共に過ごしたことがあるからだ。リーガでの最初の3試合で2ゴールを挙げたデパイは、バルサの悩めるサポータのためにシーズンを少しでも有利に進めることができるかもしれない。
Gettyロドリゴ・デ・パウル|ウディネーゼ→アトレティコ・マドリー|3500万ユーロ(約45億6000万円)
長らくセリエAで最も才能のあるMFと見られてきたデ・パウル。そして今夏、ウディネーゼを離れ欧州エリートクラブに移籍するのではないかと予想されていた。
驚きだったのが、このアルゼンチン人の獲得争奪戦があまり大きな規模にならず、アトレティコ・マドリーが支払った額がたったの3500万ユーロ(約45億6000万円)だったことだ。
確かにコロナ禍においては高額だが、デ・パウル獲得のための資金としてはほぼタダも同然だ。アルゼンチン代表のコパ・アメリカでの成功を先導し見事なパフォーマンスを見せたMFは、すでにディエゴ・シメオネの中盤で十分な活躍を見せているのだから。
Gettyマテオ・ゲンドゥージ|アーセナル→マルセイユ|ローン
ゲンドゥージの完全移籍を見越した1年のレンタル加入を伝えるにあたって、マルセイユはこのMFを「個性的なプレイヤー」と表現した。
アーセナルのミケル・アルテタ監督は、おそらくこの表現に同意しないだろう。この22歳の態度の悪さに頭を抱えていたからだ。
だが明らかなのは、ゲンドゥージの才能は間違いなく本物であり、スタッド・ヴェロドローム(マルセイユの本拠地)でその才能を再び見せていることだ。フランスで在籍していたロリアンではエース級の活躍を見せていたが、マルセイユでも素晴らしいスタートを切り、フランス代表にも招集された。キャリアでも最も厳しい時を過ごしたが、今では母国のフル代表でも重要な存在になろうとしている。
Getty Imagesアクラフ・ハキミ|インテル→パリ・サンジェルマン(PSG)|6000万ユーロ(約78億2000万円)
今夏PSGの動きは迅速だった。インテルの財政が逼迫していることを巧みに利用し、アクラフ・ハキミを獲得したのだ。初期支払は6000万ユーロ(約78億2000万円)、条件付きの追加支払いは1000万ユーロ(約13億円)となっている。
確かにPSGは今夏のウィンドーでもっとレベルの高い契約を数多く交わしているが、忘れてはならないのは、ハキミだってスーパースター候補だということだ。
特に攻撃力に優れたサイドバックであるモロッコ代表は、アントニオ・コンテ率いるインテル優勝の立役者だった。11年ぶりのセリエAタイトルを手繰り寄せたハキミは、まだ22歳。成長の余地は十分だ。
Gettyマヌエル・ロカテッリ|サッスオーロ→ユヴェントス|ローン
マヌエル・ロカテッリの移籍に際して、ユヴェントスとサッスオーロの交渉は非常に労力を要するものとなった。だが、最終的にはビアンコネリ(ユヴェントスの愛称)にとってこれ以上ないほどの条件に落ち着いた。
ここ数年のオールド・レディ(ユヴェントスの愛称)にとって中盤の強化は課題であった。そんな中、イタリアのEURO2020での成功の立役者がチームに加わるのは、間違いなくありがたいことなのだ。
ユーヴェはこの移籍に関して素晴らしい取引をまとめることができた。ロカテッリを2年間の期限付き移籍で獲得し、その後2023年夏に2500万ユーロ(約32億6000万円)と出来高で最大1250万ユーロ(約16億3000万円)を支払うことになっている。その頃にはユヴェントスの財政状況は今よりずっと安定しているだろう。
この23歳は、マッシミリアーノ・アッレグリが望んでいると有識者が思っているような古典的レジスタタイプではないが、自身の持つダイナミズムと冷静さをミックスさせ、まさにビアンコネリに昨シーズン足りなかった部分を補ってくれるだろう。
Gettyリオネル・メッシ|バルセロナ→PSG|フリー
今夏のウィンドーの流れを一変させた移籍だった。
リオネル・メッシはバルセロナと新契約を結ぶつもりでいたが、資金繰りに苦しむカタルーニャのクラブはリーガの給与規定に違反しており、契約を締結できない状態にあることが明らかになってしまった。
涙に暮れたお別れの後、メッシはすぐにPSGと契約。PSGはサッカー界歴代“最恐”の3トップを保有することとなった。メッシはもう34歳だが、まだまだ世界のトップに君臨することは結果が証明している。7月にコパ・アメリカで優勝し、得点王とMVPに輝いたのだ。
疑いもない歴代最高のプレイヤーをタダで放出してしまったことは、バルセロナにとって大打撃。その一方で、PSGの作戦は素晴らしかった。さらにセルヒオ・ラモス、ジョルジニオ・ワイナルドゥム、ジャンルイジ・ドンナルンマをフリーで獲得したことも考えれば、チャンピオンズリーグ(CL)初優勝に向けて自信を持って突き進めるだろう。
Getty Imagesイライクス・モリバ|バルセロナ→RBライプツィヒ|1600万ユーロ(約20億8500万円)
バルセロナはおそらく、イライクス・モリバを放出する以外の選択肢がなかったのかもしれない。モリバはクラブとの契約延長を拒否していたのだ。
そういう意味では、1600万ユーロ(約20億8500万円)の移籍金に加えて、最大2200万ユーロ(約28億7000万円)まで増える可能性のあるオプションをつけて放出することができたのは、ブラウ・グラーナにとって悪い取引ではなかったはずだ。さらに将来モリバが他クラブに移籍することがあれば、その際の移籍金の10%を受け取ることができる。
だが、ここ数年でラ・マシアから生まれたエキサイティングな有望株を手放したくなかったのは間違いないだろう。そして、このティーンエージャーが若手育成で有名なRBライプツィヒでトップクラスのMFに成長する可能性が十分あることも間違いない。
Getty Imagesサウール・ニゲス|アトレティコ・マドリー→チェルシー|ローン
ロメル・ルカクがチェルシーをプレミアリーグ優勝に導くことができるとすれば、ルカクに投じた9800万ポンド(約148億9000万円)の移籍金はブルーズによる良い投資と見られることだろう。トーマス・トゥヘルのチームには明らかにFW陣が不足していた。そのため、アントニオ・コンテ率いるインテルで素晴らしい2シーズンを過ごし、輝かしい成績を残したベルギー人は、少々遅まきながらスタンフォード・ブリッジで象徴的な存在になることだろう。
だが、チェルシーがローンで獲得したサウール・ニゲスはビジネス面ではもっと優れたものかもしれない。このスペイン代表は自分でも認めているように、この2年間は本調子ではなかった。だからこそ、ディエゴ・シメオネ監督率いるアトレティコ・マドリーではもうプレーできなかったと思っているのだろう。
チェルシーはすでに十分安定したチームだったかもしれないが、サウールに望むポジションで試合時間を約束してきた。もし彼が本調子を取り戻すことができれば、チェルシーはシーズン終了後の買取オプションに3000万ポンド(約45億6000万円)を投じることに迷いはしないだろう。
Gettyクリスティアーノ・ロナウド|ユヴェントス→マンチェスター・ユナイテッド|2000万ユーロ(約26億円)
マンチェスター・ユナイテッドがディフェンスラインを巧みに強化したのも間違いないが、サポーターをより熱狂させたのはクリスティアーノ・ロナウドのオールド・トラッフォード帰還であることも間違いない。
ポルトガル人スーパースターはすでに36歳。守備面での貢献はほとんどないため、彼を中心に攻撃陣を組み立てる必要もある。だが、C・ロナウドは得点を保証する。2000万ユーロ(約26億円)という移籍金はまさに「お買い得」だ。
フットボール史上最高のオールラウンドなゴールスコアラーだ。マンチェスター・ユナイテッドに来る前のシーズンでは、セリエAの得点王を獲得し、EURO2020でも得点王に輝いた。
C・ロナウドにとって二度目となるユナイテッドでの期間は、1度目ほど完ぺきにはいかないかもしれない。それでも、オーレ・グンナー・スールシャールのチームで大きなインパクトを残せなかったとしたら、それこそビッグサプライズだろう。
Gettyアンドレ・シルバ|フランクフルト→RBライプツィヒ|2300万ユーロ(約30億円)
ミランでのアンドレ・シルバは残念な結果となってしまったかもしれないが、ブンデスリーガで自身の評価を再び高めることに成功した。だからこそアイントラハト・フランクフルトの説得に成功したRBライプツィヒは、今夏このポルトガル人をチームに加えることができ、非常に満足しているのだ。
「彼は私達のチームに、そして戦術によくフィットする選手だ。人間としても選手としてもだ」と語ったのはライプツィヒのテクニカルダイレクター、クリストファー・ヴィヴェル。シルバの2300万ユーロ(約30億円)での移籍加入が決まった後のことだ。
「彼は完璧なFWだ。どちらの足でも決めることができる。ヘディングも強く、技術的な能力も高い」
シルバの得点率はたしかに驚異的だ。ポルト出身のアタッカーはアイントラハトで57試合に出場し、なんと40ゴールを挙げている。ライプツィヒでも既に活躍しており、この25歳がドイツのトップリーグでディフェンスを脅かし続けることは間違いないだろう。
Gettyダヨ・ウパメカノ|RBライプツィヒ→バイエルン・ミュンヘン|4250万ユーロ(約55億4000万円)
バイエルン・ミュンヘンのDF陣を今夏再編成しなければならないことは明らかだった。ダビド・アラバとジェローム・ボアテングがチームから離れてしまったからだ。
バイエルンはすぐに行動に移し、欧州で最も評価の高いセンターバックの一人を獲得した。発表は去る2月。クラブは4250万ユーロ(約55億4000万円)でRBライプツィヒからダヨ・ウパメカノと買取契約を締結している。
ウパメカノは決して完成された存在ではない。確かにパスやポジショニングのミスが散見されるが、それでもポテンシャルは誰の目にも明らかだ。まだ22歳だが、バイエルンのスターティングメンバーになれる主力として、10年先まで主力として活躍できるだろう。
Getty Imagesラファエル・ヴァラン|レアル・マドリー→マンチェスター・ユナイテッド|4000万ユーロ(約52億1000万円)
これぞ「イングランドの移籍市場」という現象が起こった。アーセナルがイングランド代表で2試合出場しただけのベン・ホワイトに5000万ポンド(約76億円)をつぎ込んだ一方で、マンチェスター・ユナイテッドはレアル・マドリーに所属していたW杯優勝経験者をたった4000万ユーロで獲得したのだ。
ヴァランは第3節ウォルバーハンプトン戦で見事なデビューを果たした。ディフェンス面で試合を支配しただけでなく、メイソン・グリーンウッドの決勝ゴールをお膳立てした。もちろん、この程度では少しも驚くべきことではない。
2018年ロシアW杯の後に調子を崩したが、それでも4度のCL優勝経験を誇るヴァランはサッカー界最高のセンターバックの一人だ。スピードと聡明なポジショニングを誇るヴァランは、ハリー・マグワイアにとって優れたパートナーであることを証明できるはずだ。