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【識者が選ぶ前半戦ベスト11:プレミアリーグ編】大活躍の日本代表や“現”世界最高の選手まで!

あっという間に前半戦を折り返した2021-22シーズンの欧州サッカー界。各国リーグ戦も開幕から約半年で様々なドラマが巻き起こり、熱狂的な戦いが続いている。

そして『Goal』では、折返しとなる2021年末にプレミアリーグ、セリエA、ブンデスリーガ、ラ・リーガの4大リーグの前半戦ベストイレブンを決定。各リーグに精通する識者の方に11人を選出してもらい、前半戦を振り返ってもらう。

第三弾はプレミアリーグ。イングランドサッカーに精通する田島大氏に前半戦のベストイレブンを選出してもらった。

  • Aaron Ramsdale Arsenal 2021-22Getty Images

    GK:アーロン・ラムズデール(アーセナル/イングランド)

    純粋なシュートストップならばマンチェスター・ユナイテッドのダビド・デ・ヘアに軍配が上がるが、チーム全体のムードを変えたという点ではラムズデールしかいない。今季シェフィールド・ユナイテッドから加入すると、神がかり的セーブやDFラインとの連係でゴールに鍵をかけて定位置を確保。そして笑顔で味方とハイタッチし、敵サポーターにはウィンクをする茶目っ気で、チームの雰囲気をガラリと変えてみせた。彼こそ最もサッカーを楽しんでいるGKだろう。さらに10月のレスター戦(第10節:2-0)ではファインセーブを連発。とりわけジェイムズ・マディソンの直接FKを防いだシーンは「近年で最高のセーブ」と元マンチェスター・Uの伝説的GKピーター・シュマイケルが舌を巻いたほどだ。

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  • 20211107_Takehiro Tomiyasu_ArsenalGetty Images

    RSB:冨安健洋(アーセナル)

    GKラムズデールと共にアーセナルのDFラインを立て直したのが冨安だ。体を張った粘り強い守備だけでなく、攻撃面でもチームに貢献。両足でボールを持つことでパスコースが広がり、それまでサイドバックで息詰まることもあったアーセナルの攻撃の幅を広げている。今季前半戦のプレミア最高の右SBはトレント・アレクサンダー=アーノルド(リヴァプール)かもしれないが、豪華な名前が揃うベストイレブンで、例えばラ・リーガ選抜と実際に対戦することになったなら、抜群の制空権と安定した守備を誇りながらシンプルなプレーで黒子役に徹する冨安を選ぶ指揮官も多いはずだ。手練れが揃うラ・リーガのサイドアタッカーを封じ込める彼の雄姿を想像してワクワクしない人はいないはず!

  • Virgil van Dijk Liverpool Southampton Premier League 2021-22Getty/GOAL

    CB:フィルジル・ファン・ダイク(リヴァプール/オランダ)

    今季は相棒のDFジョエル・マティプの活躍も印象的だが、それも全てはDFリーダーであるファン・ダイクのおかげだろう。彼が膝の大ケガから復帰したことで、昨季は苦しんだチームも30年ぶりのリーグ制覇を遂げた2019-20シーズンのダイナミックな姿を取り戻している。高精度のロングパスや攻撃的なDFライン設定はもちろんだが、それ以上にチームの結果に貢献しているのである。今季プレミアでの出場中のチームの得失点差を見ると、マティプがピッチに立っている時間帯が「+23」なのに対し、ファン・ダイクは「+33」。これはマンチェスター・シティのDFアイメリク・ラポルテ等と並び、リーグ1位の数字だ(18節終了時点)。

  • Antonio Rudiger Chelsea 2021-22Getty Images

    CB:アントニオ・リュディガー(チェルシー/ドイツ)

    前監督の元では冷遇されたドイツ代表DFも、トーマス・トゥヘルの元では守備の中心に君臨している。トレードマークとなった一対一のデュエルで肉弾戦を挑んで敵を封じ込めながら、今ではチームの攻撃の起点としても重要な役目を担っている。最終ラインからボールを持ち出して中盤で数的優位を築くと、迫力あるランニングと的確なパスでチャンスを作り出す。今シーズンは2得点で既に自己ベストに並んでいるほか、今月のリーズ戦(第16節:3-2)では敵陣深くまで侵入して2本もPKを獲得、チームを勝利に導いた。プレミアでチェルシーの選手が一人で1試合2本もPKを獲得するのは、クラブ史上わずか2度目のことだという。

  • Joao Cancelo Manchester City 2021-22Getty

    LSB:ジョアン・カンセロ(マンチェスター・シティ/ポルトガル)

    本職の右SBだけでなく、今季は左サイドでの出場も多く、どちらも遜色なく一級品のプレーを披露している。サイドバックには似合わない華麗な足技でボールを保持すると、左サイドで出場時には右足のアウトサイドで美しい弧を描くパスを敵DFラインの背後に送る。チャンピオンズリーグの試合だが、11月のクルブ・ブルッヘ戦では1試合で3アシスト。さらにシティでの公式戦100試合目の出場となった今月のニューカッスル戦(第18節:4-0)では、ドリブルで二人をかわしてから右足で強烈なミドルシュートを叩き込んで勝利に貢献した。サイドバックだけに限らず、中盤やウィングバックを任されることもあり、その汎用性はベストイレブンに選ばれて当然だろう。

  • Declan Rice West Ham 2021-22Getty Images

    DMF:デクラン・ライス(ウェストハム/イングランド)

    気付けばそこに彼がいる。ゴールシーンを巻き戻せば起点になっているのは彼だし、ピンチを未然に防いでいるのも、中盤の中央に君臨する彼なのだ。長い手足を活かして敵に絡みついてボールを奪取すると、間髪入れずに前を向いて素早い攻撃を展開。世界屈指の守備的MFの呼び声も高く、11月のシティ戦(第13節)では1-2で敗れるも、試合後に敵将グアルディオラに「傑出した選手」と言わしめた。ピッチ上では献身的に働き、ピッチ外では仲間と冗談を言い合う。プレミアリーグで最も信頼を置ける選手の一人で、もし誰かの連帯保証人にならなくてはいけないのなら、ウェストハム・ファンに限らずとも、ライスを選ぶ人は多いはずだ!?

  • Conor Gallagher Crystal Palace 2021-22Getty Images

    CMF:コナー・ギャラガー(クリスタル・パレス/イングランド)

    冨安と並び今季プレミアリーグ前半戦の“最優秀新戦力”と呼べるのが、この若きMFだ。チェルシーからパレスにローン加入すると、ここまでリーグ戦6ゴール3アシスト。21歳以下の選手としては、アーセナルのエミール・スミス=ロウ(8得点2アシスト)に次ぐゴール関与数を誇り、その活躍が認められ11月にはイングランド代表デビューも飾った。とにかく躍動感のある選手で、豊富なアイデアと運動量、そして得点力が魅力である。ボールを浮かして敵の頭上をぬいたり、ヒールを使ったりと、色々な技を駆使して大胆にボックス内に仕掛けていきフィニッシュワークにつなげる。往年のジョー・コールとフランク・ランパードを融合させたような、魅せながら結果を残せる今後が楽しみなフットボーラーだ。

  • Bernardo Silva Manchester City 2021-22Getty Images

    CMF:ベルナルド・シウヴァ(マンチェスター・シティ/ポルトガル)

    今季の彼の活躍は、スター揃いのシティの中でも際立っている。足からボールが離れない魅惑のタッチでキープすると、敵に囲まれた狭小スペースでも僅かなギャップを突いて抜け出す。さらに今シーズンは、相変わらずの運動量を保ちながら、リーグ戦でチーム最多タイの7ゴールを奪っており、既にシティでの自己最多ゴールに並んでいる。シュート23本で7ゴールはリーグ4位の決定率だという(18節終了時)。彼の能力が存分に発揮されたゴールといえば、11月のマンチェスター・ダービーで決めたもの。カンセロがGKとDFラインの間にクロスを入れると、敵選手が見送るなかでベルナルド・シウヴァだけは諦めることなく走り続けて、体を投げ出して左足のスパイクの裏でボールを触ってニアポストに捻じ込んだ。

  • Mohamed Salah Liverpool 2021-22Getty Images

    RWG:モハメド・サラー(リヴァプール/エジプト)

    今季プレミアリーグで得点ランク首位を独走する15ゴールをマーク。さらにアシスト数も1位(9本)という驚異的な活躍を見せており、まだシーズンの折り返し地点だというのに今季の年間最優秀選手の座をほぼ手中に収めている。それどころか、現時点での「世界最高プレーヤー」と呼んでも構わないはずだ。10月のマンチェスター・U戦(第9節:5-0)では、アウェイチームの選手としてプレミア史上初めてオールド・トラッフォードでハットトリックを達成。さらに12月19日のスパーズ戦(第18節)で不発に終わるまで、プレミア記録に並ぶ15試合連続で直接ゴールに関与した(ゴールもしくはアシスト)。プレミアの歴代最高のアタッカーたちと比較しても遜色ない輝きを放っている。

  • Emmanuel Dennis Watford 2021-22Getty Images

    LWG:エマヌエル・デニス(ワトフォード/ナイジェリア)

    サッカーがゴール数を競うスポーツならば、ゴール関与回数でサラーに次いで2位にいるこの選手を外すことはできない。前線のどこでもこなせるマルチなアタッカーは、キレのあるフェイントと当たり負けしないボディバランスで局面を打開するチャンスメーカーであり、ゴール前に飛び込んで確実にネットを揺らすフィニッシャーでもある。プレミア初挑戦にして今季ここまで7ゴール5アシスト。チームの総得点のうち「57%」に絡んでいる計算となり、その割合は最下位ノリッジのFWテーム・プッキ(63%)に次いでリーグ2位。下位に低迷するワトフォードが残留できたなら、この選手のおかげと言っても過言ではないはずだ。

  • CRISTIANO RONALDO MANCHESTER UNITED PREMIER LEAGUE 11122021Getty Images

    FW:クリスティアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド/ポルトガル)

    ジョタ(リヴァプール)やソン・フンミン(トッテナム)も捨てがたいが、結果だけでなく話題性やスター性も含めると、やはりC・ロナウドは外せない。12年ぶりに古巣ユナイテッドに戻ってきた男は、プレミアリーグに特例を認めさせて背番号7を手にすると、再デビュー戦でいきなり2ゴール。今季ここまで公式戦18試合で13ゴールと結果を残しつつも、プレスをサボりがちなことから「C・ロナウド不要説」の激しい論争が勃発するまでに。これほど物議を醸しだす選手は世界広しといえども、彼しかいないだろう。ユナイテッド・ファンはもちろんのこと、アンチ・ユナイテッドも、そしてサッカーにあまり興味がない人も、C・ロナウドのプレミア復帰には関心を抱いたはずだ。

  • premier_fom(C)Goal

    プレミアリーグ:2021-22シーズン前半戦ベストイレブン(4-3-3)

    GK:ラムズデール

    DF:冨安、ファン・ダイク、リュディガー、カンセロ

    MF:B・シウヴァ、ライス、ギャラガー

    FW:サラー、C・ロナウド、デニス