昨シーズン、古橋亨梧に加えて冬に旗手怜央、前田大然、井手口陽介がセルティックに加入したことで日本でも大きく注目されたスコティッシュ・プレミアシップ。アーセナルの冨安健洋だけでなく、今夏にブライトンに復帰した三笘薫がプレーするプレミアリーグと共に、今シーズンも大きな注目が集まる。スコティッシュ・プレミアシップの開幕が30日、そしてプレミアリーグの開幕が8月5日にそれぞれ迫る中、今回はイギリスの2リーグを戦う6人の日本人選手の今シーズンを展望する。
(C)Getty Images三笘薫、冨安健洋、古橋亨梧、旗手怜央、前田大然、井手口陽介…プレミアリーグ&スコティッシュ・プレミアシップで戦う日本人の今シーズンを展望
(C)Getty ImagesMF三笘薫(ブライトン/プレミアリーグ)
カタール・ワールドカップに臨む日本代表のキーマンにもなり得る三笘が、ついにプレミアリーグに初挑戦する。昨夏はベルギーのロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズにレンタル移籍した中、公式戦29試合で8ゴールをマーク。今夏に晴れて、ブライトンへの復帰が決まった。17日のエストリル戦で実戦デビューを飾ると、早速ゴールをマークしてアピールしている。左ウイングバックとしてのプレーもそつなくこなしており、確実にレンタルでの武者修行の経験が活きている状況。さらに、一回り身体を大きく見せており、フィジカル面はプレミアリーグ仕様と思えるものに。本人も「夢であったプレミアリーグ」と語る世界最高峰のリーグで、世界の名手たちを相手にどのようなプレーを見せてくれるか注目だ。
(C)Getty ImagesDF冨安健洋(アーセナル/プレミアリーグ)
昨夏の移籍市場終盤にアーセナルへ加入した冨安は、右サイドバックの絶対的なレギュラーとして、またはチーム状況に合わせて左サイドでも献身的で安定したパフォーマンスを常に披露。ミケル・アルテタ監督だけでなく、チームメイトからの絶大な信頼を獲得している。現地メディアやファンからの評価も高く、一部では「シーズン最高の契約」に推す声も上がったほどだ。トップ4を目指す新シーズンも、間違いなく主力選手として考えられている。プレーとそのプロ意識に何ら疑いはない。だが、問題は相次ぐケガだ。昨季は2度のケガで3カ月の長期離脱を強いられており、彼の不在がチームに多大な影響を与えてしまった。2022-23シーズンは何よりもまず、離脱なく終えることが求められる。その上で、ソン・フンミンら世界的なアタッカー、さらにブライトンに加入した三笘薫らとのマッチアップを楽しみたい。
(C)Getty ImagesFW古橋亨梧(セルティック/スコティッシュ・プレミアシップ)
古橋の1年目は、ほとんど文句のつけようのないものだっただろう。公式戦33試合で20ゴールを記録。文句なしのチーム内得点王であり、国内2冠の立役者となった。これまでのキャリアではウイングでの起用も少なくなかったが、セルティックではセンターフォワードとして定着。鋭い裏への飛び出しと、巧みなポジショニング、そして高いシュートスキルがすぐに評価され、味方からの信頼も勝ち取った。本人も常々感謝しているように周りに生かされて輝けるタイプであるだけに、チームメイトからの絶大な信頼が20ゴールという結果につながった。残念だったのは、負傷によって2021年12月から2022年4月まで離脱を余儀なくされたこと。この期間がなければどれほどのゴール数を積み上げたのかは興味深い話題だ。2季連続で得点を量産となれば、プレミアクラブも放っておけない存在となるだろう。
(C)Getty ImagesFW前田大然(セルティック/スコティッシュ・プレミアシップ)
アンジェ・ポステコグルー監督が熱望し、2022年1月にセルティックの一員となった前田。公式戦22試合8ゴールの成績を残しており、その爆発的なスピードと献身的なランニング&プレスは現チームの軸の1つだ。またセンターでもサイドでもプレー可能であり、新シーズンも主力として多くの出番を得ることになりそうだ。今夏にはチームとともに初めてのプレシーズンを過ごせていることもあり、理解度はより深まったはず。昨季は彼のランニングが生かされないシーンもあったが、連携面の改善は期待できる。それをゴールに直結させたい。いずれにせよ、リーグ連覇、さらにチャンピオンズリーグでの躍進を狙うセルティックにとって、大きな武器であることは間違いない。
(C)Getty ImagesMF井手口陽介(セルティック/スコティッシュ・プレミアシップ)
今年1月に前田大然と旗手怜央と共にセルティック入りした井手口は1年目の2021-22シーズン、後半には怪我にも泣かされ、公式戦6試合と満足な結果を残すことができなかった。不完全燃焼の1年目から2年目に向けて、井手口は「持ち味であるボール奪取や攻守の切り替えの部分、より縦に早い監督が求めるプレーを体現していきたいです」と意気込み。プレシーズンでは鋭い動きも見せており、現地メディア『The Celtic Way』も「ついに井手口が輝く時が来るかもしれない」と期待。開幕直前に軽傷を負ったとの報道も出ているが、今季はポステコグルー監督の期待に応え、自身の真価と存在価値を示していきたい。
(C)Getty ImagesMF旗手怜央(セルティック/スコティッシュ・プレミアシップ)
今年1月に加入した新鋭は早々に結果を残し、セルティックサポーターのハートをつかんだ。デビュー2戦目となったハーツ戦で初ゴールを挙げると、レンジャーズと迎えた初の“オールドファーム”では2ゴール1アシストと獅子奮迅の活躍。本人も「あの試合に限っては(サッカーの)神様がいた」と振り返る。だが、シーズン終盤は疲労からやや失速。Jリーグを戦い、東京五輪も乗り越えたものの、やはり影響は大きかった。それでも、ポステコグルー監督の信頼は厚く、最後まで起用され続けたのはポジティブな兆候。新シーズンも絶対的なレギュラー候補の一人だ。長いシーズンを戦ってきただけに、しっかりとしたオフを過ごしてシーズンに臨めるのはプラス材料。スコットランドリーグの高いインテンシティに慣れていければ、自ずとプレミアリーグというステップアップの道も見えてくるだけに、さらなる飛躍に期待したい。