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白熱するプレミアリーグCL出場権争いを予想!逆転を狙えるクラブは…

2020-21シーズンのプレミアリーグも残り5試合となり、シーズンは佳境。マンチェスター・シティが2位ユナイテッドに10ポイント差をつけ、王座奪還は濃厚な状況となっているが、チャンピオンズリーグ(CL)出場権争いは依然として白熱している。

昨シーズンは惜しくもチャンスを逃したレスター・シティ、チャンピオンズリーグでも躍進するチェルシー、あのデイヴィッド・モイーズ監督率いるウェスト・ハム、そして王者リヴァプールなど、ユニークなメンツがトップ4を争う。そこで、プレミアリーグに精通する田島大氏に、CL権を獲得する3チームを%とともに予想してもらった。

※第33節終了時点

  • Mason Greenwood Manchester United 2021Getty

    マンチェスター・ユナイテッド|トップ4の可能性:100%

    私たちプレミアリーグファンは、今季のユナイテッドに感謝すべきだろう。ユナイテッドの健闘がなければ、「世界最高リーグ」「世界一過酷なリーグ」を自負しながらマンチェスター・シティの「一強」という醜態をさらすところだった。残り5試合で首位シティとは10ポイント差。もしシティの優勝が既定事項なら、5位以下に12ポイント差をつけているユナイテッドのトップ4も当確だろう。恐らくユナイテッドは、これから全敗してもトップ4を維持できるはずだ。というわけで、プレミアリーグ4位以内の確率は95%、さらに彼らはヨーロッパリーグ制覇の可能性もあり、そちらは50%といったところ。では「CL出場権の確率は?」という、学生にもってこいの数学の問題になる。答えは「97.5%」だが、面倒くさいので「100%」にしておこう。

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  • Leicester celebrate Castagne goal vs Crystal PalaceGetty

    レスター・シティ|トップ4の可能性:70%

    残り5試合で5位以下に7ポイント差をつけており、あと「3勝」でトップ4が確定する。恐らく1~2勝でも十分かもしれないので、本来は「90%」でも良いのだが、次の4月30日サウサンプトン戦(A)と5月7日ニューカッスル戦(H)に敗れると昨季の悪夢が蘇ってくる。昨シーズンは残り14試合で5位以下に「14ポイント差」もつけていたが、そこから失速して37節にトップ4陥落。そしてラスト2試合でトッテナムとマンチェスター・Uに連敗して5位に終わった。今シーズンのラスト3試合はマンチェスター・U戦(A)、チェルシー戦(A)、トッテナム戦(H)…。“キツネ”が“トラウマ”に襲われないか心配だが、彼らには昨季とは違う点がある。それはFWケレチ・イヘアナチョの覚醒だ。昨季まではFWジェイミー・ヴァーディー頼みだったが、今はイヘアナチョが公式戦最近9試合で12ゴールと大爆発している。ちなみに、最後に“ビッグ6”以外でトップ4に入ったチームは? ミラクル・レスターをお忘れなく。

  • Timo Werner, Ben Chilwell, Chelsea 23020-21Getty

    チェルシー|トップ4の可能性:60%

    1月後半にフランク・ランパードの後任としてトーマス・トゥヘル監督が就任して以降、抜群の安定感を発揮している。就任7試合目でサウサンプトンの南野拓実にゴールを奪われるまで、相手選手にゴールを許さなかった(その間にオウンゴールが1回あった)。その後もDFチアゴ・シウバが退場になった第30節のウェスト・ブロムウィッチ戦の2-5の大敗を除けば堅守を誇っており、トゥヘル体制の公式戦22試合で複数失点はその1試合だけ。普通に考えれば、このままトップ4を死守できるはずだが、ビッグゲームが多いのが少し心配だ。チャンピオンズリーグ準決勝のレアル・マドリー戦のほか、FAカップ決勝のレスター戦も控えている。肝心のリーグ戦では、今週末に崖っぷちのフラムとの西ロンドンダービーを戦い、その後はマンチェスター・C戦、アーセナル戦、レスター戦とタフなゲームばかりである。これからも超過密日程が続くわけだが、連戦のおかげで集中力を切らさないというメリットもある。幸い、唯一の負傷者であるマテオ・コヴァチッチも直に復帰できる。堅守とは対照的に、トゥヘル体制22試合で28得点という決定力不足の不安こそあれ、最後は総力戦で乗り切るはず!?

  • Jarrod Bowen West Ham vs Leicester Premier League 2020-21Getty Images

    ウェスト・ハム|トップ4の可能性:20%

    今季最大のサプライズチームであるウェスト・ハムは、ラスト5試合を見ると最も楽なカードが続くわけだが、前節チェルシー戦(0-1)の敗戦があまりにも痛かった。勝っていたらトップ4の確率は「40%」まで上昇したはずだが、直接対決に敗れてCL初出場の夢が遠のいた。また、彼らは故障者も気になる。太腿部を痛めているミカイル・アントニオと代表チームで膝を痛めたデクラン・ライスの復帰が待ちわびられる。さらにマンチェスター・Uからローン加入して以降、11試合で9得点3アシストと大車輪の活躍を見せているジェシー・リンガードも、4月17日のニューカッスル戦で足をつるなどコンディションの不安がある。そして、もしプレミアリーグが本当にラスト2試合で観客の動員を認めた場合、それがウェスト・ハムにどう作用するかも心配だ。今季はホームゲームでマンチェスター・Cに次ぐ「31ポイント」を稼いでいるが、好調の要因の1つに「サポーターの重圧がないこと」を挙げる者もおり、観客の前では精彩を欠くかも!?

  • liverpool-newcastle-salah(C)Getty Images

    リヴァプール|トップ4の可能性:30%

    王者リヴァプールは、シーズン序盤にDFヴィルヒル・ファン・ダイクやDFジョー・ゴメスなどの主力が相次いで離脱。それでも17節までは首位にいたが、その後は急降下。クラブ史上初のホーム6連敗という屈辱まで味わった。少し持ち直したとはいえ、直近2試合はリードしながらチャンスの浪費が目立ち、2試合とも残り3分を切ってから追いつかれて痛すぎる2戦連続ドロー決着。計4ポイントも損をした。前節のニューカッスル戦のあと、ユルゲン・クロップ監督は「この内容ではCL出場に値しない」と嘆きつつも「やるしかない」と前を向いた。地力を考えると、5位以下のチームのなかで最も逆転でのトップ4入りの可能性が高いのはリヴァプールだろう。残り5試合は、すべてカップ戦のファイナルと同じ扱いだ。とりわけ今週末のマンチェスター・ユナイテッド戦(A)はリヴァプールの近い将来を占う運命の一戦と呼んでも過言ではない。

  • Son Heung-min Tottenham vs Man Utd Premier League 2020-21Getty Images

    トッテナム|トップ4の可能性:10%

    先週のジョゼ・モウリーニョの電撃解任を受け、ライアン・メイソン暫定監督がプレミアリーグ史上最年少の29歳で指揮を執り、前節のサウサンプトン戦では終了間際のFWソン・フンミンのPKで劇的な逆転勝利を収めた。ケガで早期引退を余儀なくされたスパーズのアカデミー出身者が、古巣を栄光に導く…そんなシナリオが用意されていると思ったが、先週末のリーグカップ決勝戦では0-1でシティに惜敗。試合後にソン・フンミンが目頭を押さえたが、涙の理由は13年ぶりのタイトルを逃しただけではない。一時代の終わりを予期したのだろう。エースのハリー・ケインが移籍を示唆し始め、欧州スーパーカップに賛同したクラブ首脳陣はファンから退任を求められている。そういったピッチ外の雑音をかき消すためにも、来季のCL出場権が必須になる。残り5試合を全勝しても届かないかもしれないが、最後まで戦うほかない。果たして、第二次世界大戦以降のイングランドのトップリーグで史上2人目となる20代監督は奇跡を起こせるのだろうか…。

  • EVERTONGetty Images

    エヴァートン|トップ4の可能性:5%

    敵GKのオウンゴールで前節アーセナル戦に1-0で勝利してトップ4の望みを繋いだエヴァートン。試合後、長年付き合いのあるエヴァートンファンの現地記者に「トップ4の可能性があるね」と連絡したら、「絶対に無理」と即答された。それでも「25年ぶりに敵地でアーセナルに勝てたのだからオウンゴールでも何でもいい」と喜んでいた。というわけでトップ4入りは「0%」でも良いのだが、1試合消化が少ないため可能性は残されている。無論、未消化の試合(アストン・ヴィラ戦)があっても実際に勝てるかは別問題。アーセナル戦に勝利するまで5試合も白星から遠ざかっていたチームが、今後勝ち続けるとは考えにくい。最終節には敵地でのマンチェスター・C戦も控えており、トップ4入りはかなり厳しい。CL出場権という意味では「EL制覇」の可能性を残しているアーセナルの方がよっぽど確率が高いだろう。