2024シーズンの開幕が迫る明治安田Jリーグ。大岩剛監督が率いるU-23日本代表にとっては、パリオリンピックが行われるシーズンでもある。五輪世代として活躍が期待されるJ1リーグのクラブの選手たちを、5名紹介する。【文=河治良幸】
(C)Getty images【Jリーグ期待の若手5選】パリオリンピック世代が勝負のシーズンへ! 文武両道の万能MFや昇格けん引のストライカーら
DMMプレミアムとDAZNがセットでお得
(C)Getty imagesMF川崎颯太(京都サンガF.C.)
生年月日:2001年7月30日
曺貴裁監督の申し子的な存在で、戦術的なタスクをしっかりとこなしながら、アイデアを上乗せして違いを作り出す。中盤ならどこでもこなせる万能型のMFであり、ボールを奪って縦に付けて、チャンスと見れば自分も前に出ていくダイナミックなプレーが持ち味だ。
専門誌の選手名鑑で表紙を飾ったり、Jリーグの開幕PRイベントにも登壇するなど「京都の顔」として、さらなる飛躍が期待される。昨年はA代表に初招集されたが、コンディションが万全ではなく、試合に絡むことはできなかった。トップ昇格後、プロで活躍しながら、大学に通ってきた文武両道の選手で、卒業論文は「サッカークラブと地域貢献」だという。
サッカーに専念できる今年は夏前に5得点が目標。将来的な海外移籍も視野に入れたシーズンとなる。パリ五輪世代は松木玖生(FC東京)や田中聡(湘南)、松岡大起(福岡)など、国内にも中盤のポジションを争うライバルは多いが、そうした競争も楽しみながら個を高めていける選手だ。
(C)Getty imagesDF半田陸(ガンバ大阪)
生年月日:2002年1月1日
A代表に招集された経験を持つパリ五輪世代の一人で、俊足を生かしたタイトな守備と高精度のクロスなど、非凡な攻撃センスを兼ね備える。モンテディオ山形のアカデミーで育ち、2019年のU-17ワールドカップではキャプテンを担うなど、有望株として期待されてきた半田。ブレイクが期待された昨年は7月に左脛を骨折し、長期離脱を強いられた。しかし、復帰後にすぐ参加した11月のU-23日本代表アルゼンチン戦で2アシストを含む3ゴールに絡む活躍で、大岩剛監督に猛アピールした。
内野貴史(デュッセルドルフ)などとのポジション争いが予想されるパリ五輪代表。右サイドバックは大卒ルーキーの関根大輝(柏レイソル)や濃野公人(鹿島アントラーズ)など、ここから半田のライバルになっていきそうな好タレントが複数いる。しかし、半田の目標はパリ五輪に出ることではなく、メダル獲得だ。その意味でも、Jリーグでは前半戦から圧倒的なインパクトを残すモチベーションに満ちあふれているはず。
(C)Getty imagesMF松木玖生(FC東京)
生年月日:2003年4月30日
GK野澤大志ブランドン、DFバングーナガンデ佳史扶など、パリ五輪世代の有望選手を多く抱えるFC東京でも、やはり最注目の存在だろう。アルベル前監督のもと、高卒ルーキーで中盤の主力に定着すると、U-20の時期から大岩剛監督に期待をかけられ、飛び級のような形で“五輪世代代表”に名を連ねた。青森山田高の出身らしくフィジカル的な能力が高く、左足のキック力にも自信を持つ。
何より注目したいのはパーソナリティーの成長力で、周りに賞賛されようと、試合で出た課題に向き合い、アップデートしていく。ボランチをメインのポジションとするが、“10番ポジション”と言われる二列目の中央から決定的なパスやシュートを狙うこともできる。
中盤でボールを動かすプレーやゲームコントロールなどに課題はあるが、そうした影響力を高めながら、ゴールやアシストも増やしていけるか。同じパリ五輪世代のMF荒木遼太郎が鹿島から加入してきたことも、プラスに働くはず。チームを勝利に導くために、さらなるリーダーシップも問われてくる。
(C)Getty imagesFW染野唯月(東京ヴェルディ)
生年月日:2001年9月12日
東京ヴェルディを16年ぶりのJ1昇格に導いた若きエースストライカー。尚志高校で2018年の選手権得点王に輝くなど、高校サッカーのスターだった染野は憧れだった鹿島のユニフォームに袖を通したが、なかなか出場機会に恵まれなかった。昨年夏には東京Vに2度目の期限付き移籍となったが、若手の育成にも定評のある城福浩監督の信頼に応え、攻撃を引っ張る存在になった。
2022年まではパリ五輪を目指す代表チームにも名を連ねていた染野。同じ2001年生まれで、アンダー代表の同期だったFW細谷真大(柏レイソル)はA代表でアジアカップを経験するなど、大きく水をあけられた。しかしながら、東京Vで決定力を発揮するだけでなく、前線で大きな存在感を発揮するストライカーは精神的な成長も見せている。J1の舞台でも、素早くも柔らかい動き出しから、鮮やかにゴールネットを揺らし続けることができるか。
(C)Getty imagesDF鈴木海音(ジュビロ磐田)
生年月日:2002年8月25日
磐田のアカデミー育ちで、半田陸(G大阪)と同じく2019年のU-17W杯を経験した世代屈指のセンターバックだ。相手FWからボールを奪う能力が高く、効果的なビルドアップでチャンスに繋げることもできる。17歳でプロ契約を結んだ鈴木は栃木SCでの“武者修行”で経験を積み、昨シーズンより磐田に復帰。しかし、リカルド・グラッサや伊藤槙人を擁するチームで、簡単にポジションをつかむことはできなかった。
大岩剛監督はパリ五輪の代表チームに鈴木を招集し続けたが、磐田での立ち位置を変えることはなかなかできなかった。それでもJ1昇格をかけたJ2最終節、古巣の栃木戦は伊藤の出場停止で出番が回ってきた。1失点したものの、磐田の逆転勝利を支え、昇格に貢献。J1が舞台となる今シーズン、鈴木は実力で磐田のスタメンを勝ち取れるか。それこそがパリ五輪への扉を開く鍵だ。
