(C)Hiroyuki Sato
合宿地からの直送レポート
東京五輪2020を戦うU-24日本代表。合宿中の日々の出来事を、発足時から追うジャーナリストの林遼平氏が現場から綴る。また、フォトグラファーの佐藤博之氏が選手たちの表情を切り抜く。【取材・文=林遼平/写真=佐藤博之】
最後の練習も終了…主将・吉田麻也は「結果を出すしかない」(8/5)
2017年12月に始動した森保一監督率いるU-24日本代表は6日、チームとして最後の試合に臨む。対戦相手はグループリーグで勝利しているメキシコ。53年ぶりの銅メダルをかけた3位決定戦は、これまでの集大成をぶつける舞台となる。

そんな大一番に向け、日本は5日に千葉県内で前日練習を実施。22人全員がピッチに現れ、トレーニングに励んだ。このチームにおける最後の練習は、普段通りわきあいあいとした雰囲気でスタート。公開された15分ではジョギングからダッシュ、ボール回しなどで汗を流すと、その後の戦術練習に向けて気持ちを高めていた。

練習前、取材に応じた主将の吉田麻也は、改めて勝って終われるチャンスがある3位決定戦に向けて自身の思いを明かしていた。
「オリンピック選手の中にはアマチュアでやられている競技者もいられますけど、サッカーにおいてはプロとしてお給料をもらってやっている選手がほとんど。そして、長くキャリアをやっていく上で、プロとして最も求められるのは勝つことです。いくら良い選手でも勝てない、結果が出なければ、長くはキャリアを築けない。生き残っていくためには結果を出すしかない。そのチャンスが目の前にあって、メダルのチャンスが残っている状態で明日も戦える。20歳前後の選手が多い中で、彼らが自分の国を背負って仕事ができるなんて本当に恵まれているし、一握りの人間にしかできないような仕事をやっていると思う。こんなに良い仕事はないと思うし、心の底から誇りと責任をもって、最後、全部出し切りたいと思います」

昨日のチームミーティングではロンドン五輪(3位決定戦で韓国に敗戦)の映像を見せながら吉田や酒井宏樹が当時の思いを明かし、悔しい形で終わるのではなく、最後に勝って終わろうと選手たちに伝えたという。
最後に笑って終われるように。吉田はメキシコ戦の勝敗のポイントをこう話した。
「本当に勝ちたい、メダルを獲りたいと思うほうが勝つと思います。そこを前面に出したプレーをしていかないといけない。相手も死にものぐるいで戦ってくる。だから、僕たちも精神的な強さを試される一戦になる。ここで終わらずに勝って終わりたい」
オリンピアンではなく、メダリストになれるか。明日、日本の最後の戦いが始まる。

(C)Hiroyuki Satoスペイン戦敗戦翌日でダメージ残るも…U-24日本代表DF冨安健洋「それでも試合はやってくる。銅メダルを取って歴史に名を」(8/4)
悔し過ぎる敗戦だった。3日に開催された準決勝のスペイン戦に挑んだ日本は、粘り強く戦いながら時間を進めたものの延長後半に失点。最後まで1点を奪うことができないまま敗戦を喫した。
史上初の決勝進出を逃した激闘から一夜明け、日本は千葉県内でトレーニングを実施。前日のスペイン戦に出場しなかった大迫敬介、鈴木彩艶、冨安健洋、町田浩樹、瀬古歩夢、三笘薫の6人と、ゲーム終盤のみの出場となった橋岡大樹がピッチに現れ、元気に汗を流した。

トレーニング中からは橋岡や瀬古からチームを盛り上げる声が聞かれれば、良いプレーを見せた時には横内昭展コーチから「ブラボー!」の声があがるなど、敗戦の翌日で難しい状況ではあるが、いい雰囲気で調整。一人ひとりが明後日の試合に向けて準備をする姿が見られた。
試合後にオンライン取材に応じた冨安は、この状況下でのトレーニングを「もちろん難しいし、正直切り替えきれてない選手もいると思う」としつつ、「それでも試合はやってくる。気持ちもフィジカル面も結構限界に来ている選手も多いけど、最後は気持ちしかないと思う」と強い思いを言葉にした。

また、冨安は3位決定戦のピッチで示したいことについて自身の見解を明かしている。
「僕たちが一生懸命やっている姿を見て、実際にたくさんの方が元気をもらって下さっていると思う。そういう試合、皆さんに元気や勇気を与えられる試合をもう一試合見せ、それにプラスして銅メダルを取ることで歴史に名を刻みたい。僕たちが求めていた金メダルではないけど、銅メダルという結果で歴史に名を刻めればいいと思う」
確かに金メダルの可能性はなくなったかもしれない。ただ、まだすべてが終わったわけではない。素晴らしいチームとして多くの方の記憶に残るためにも、3位決定戦となるメキシコ戦で勝利を手にし、53年ぶりのメダルを獲得したい。

先人たちの届かなかった地へ。遠藤航は「楽しめばいい」(8/2)
1968年のメキシコオリンピック、2012年のロンドンオリンピックに続き、日本サッカーの歴史においてオリンピックで3度目の準決勝を迎える。
過去の2度の挑戦では、あと一歩のところで決勝への道が断たれた。そんな先人たちが見ることができなかった景色を眺めるには、準決勝で強豪・スペインを破るしかない。金メダルを目標に掲げるチームにとって超えなければいけない舞台がやってくる。

準決勝を明日に控える日本は、2日に千葉県内でトレーニングを実施。15分の公開練習では、22人全員がピッチに現れて汗を流した。練習前のボール回しを見ていても雰囲気の良さが漂っており、各々でコミュニケーションを取る姿にも明日の試合に向けてモードが変わってきていることを感じさせた。

練習前に行われた会見では森保一監督が登壇。試合に向けた思いを明かしている。
「明日のスペイン戦。五輪のメダルをかけた戦いに挑めることを非常に嬉しく思っております。明日の試合は間違いなく、難しく、厳しい試合になると思いますが、選手たちにはこれまでやってきたことに自信を持って、そしてまた明日のメダルをかけた戦いに挑めることを誇りに思って、試合に臨んでほしいと思います」

準決勝の試合に向けて気持ちを高めているのは選手も一緒だ。前回のリオ・デ・ジャネイロ五輪でグループリーグ敗退を経験している遠藤航は、今大会でベスト4まで来たことを「ようやくここまできたかという感覚が強い」としつつ、大一番となるメダルマッチに向けた意気込みを口にした。
「こういう強い相手を超えられるかどうか。日本サッカーの歴史を見てもすごく大事な一戦になる。シンプルにプレッシャーや責任というものを出る選手は楽しめばいいと思う。自分たちのやってきたことを出すことで、見ている方たちが感動を得られたり、結果を残すことで応援してよかったと思ってもらえる。これまでとやることは変わらない。とにかく結果にこだわって最後まで走り切れればいい」
これまでの歴史を塗り替え、決勝の扉を開くことができるか。日本の未来を担う男たちのメダルをかけた戦いが始まる。

(C)Hiroyuki Satoニュージーランド戦勝利で機運高まる…三好康児も感じるチームの上昇気流(8/1)
息が詰まるような熱戦だった。31日に行われた準々決勝のニュージーランド戦。PK戦までもつれる展開となった試合は、最後に吉田麻也が沈めて勝負あり。日本がPK戦を制して準決勝へと駒を進めた。
そんな激闘から一夜明け、日本は千葉県内に移動してトレーニングを実施。ニュージーランド戦でベンチ外となった4人に加え、大迫敬介、三笘薫、三好康児、前田大然の8人で元気に汗を流した。練習後には三笘、三好、前田がシュート練習。前田が驚異的な決定力を見せ、次の試合に向けてアピールしている。

大きな勝利を手にすることになった準々決勝を振り返り、三好は「PK戦まで行ったけど、そこまで行っても勝てるという自信を持って全員が臨めたと思う。それが結果にも表れた形」と強調。チームとして勝利に向かって突き進めたと胸を張った。
これまで以上にチームが団結する勝利を掴み取った。機運高まるチームの雰囲気を、三好はこう表現している。
「試合に出る選手がいれば、出られない選手もいる。それにもちろん、分数にもばらつきがある。だけど、次の試合に勝っていくための準備に関して、スタメンから出ようが、後から出ようが、全員が変わらずにできていると思う。いま、それぞれが自分の置かれている状況を考えた時、試合に向けて最善の準備をするということがはっきりしている。それがチームの雰囲気につながっていると思うし、自分も含めて目標がはっきりしているところが行動する上ではいい方向に向かっているのかなと思います」

準決勝は大会直前にテストマッチを行ったスペインと対戦する。「相手にはEUROから続けて出ている選手もいて、疲労が絶対にたまっていると思う。チーム全体の総力戦になると思っているし、スタメンから出る選手、ベンチからの選手含めて、全員の力が問われる試合になる」とは三好の言葉。誰がピッチに立とうがチームのために戦い勝利を引き寄せる。金メダルまで残すはあと2試合だ。

「そろそろ点が入るかな」日本の“背番号10”が得点に自信を示す(7/30)
いよいよ決勝トーナメントが明日に迫っている。
グループAを首位突破したU-24日本代表は、グループBを2位で通過したニュージーランドと相対する。FIFAランクこそ日本より低く格下と見られがちだが、決して簡単な相手ではない。油断することなく対峙し、勝利を勝ち取るために試合を進めていく必要があるだろう。

ニュージーランド戦を控えた日本は30日、千葉県内で前日練習を実施。公開された15分では、けが人もなく22人の選手が元気な姿を見せた。また、ボール回しでは笑顔も見られるなど、良い雰囲気の中でチームは調整を続けている。
決勝トーナメントでの爆発が期待されるのは、2列目でチームに変化を加える堂安律だ。ここまではU-24メキシコ代表戦でのPKによる1点のみと、得点こそ量産することができていないが、攻守に躍動感あるプレーを続けてチームのキーマンの一人となっている。

大会前のスペイン戦で負傷したかかとの打撲からも順調に回復しており、負けたら終わりの一発勝負で得点を取ってくれそうな期待感が漂っている。
「南アフリカに関しては、相手が引いてきた中でうまく自分の良さを出せなかった。ただ、メキシコ、フランス戦とコンディションのところ、ボール感覚を含めてチームメイトとのコンビネーションが良くなっている。そろそろ点が入るかなと思っています」
また、相手は屈強な選手たちが揃うニュージーランド。守備を固めて即時奪回からショートカウンターを狙うなど、多彩な攻撃を仕掛けてくる相手に対し、堂安は試合のポイントを口にした。
「チームとしてしっかりボールを保持できれば日本の良さが出ると思う。あとはプラスアルファのところ。ずっとパスをしていては崩れない相手かもしれない。そこは様子を見ながらだけど、どこかで無理やりこじ開けていくことが大事。勝つことが全て。どんな戦いであれ、どんな内容であっても勝ちたい」
金メダルを目指す上で、準々決勝はまだまだ通過点。さらに上のステージに行くためには、世代を牽引してきた堂安の力がこれまで以上に求められる。


準々決勝出場停止、酒井宏樹の代役は…チーム随一のムードメーカー(7/29)
難敵揃いのグループAを戦った日本は、28日、第3戦でフランスと対戦。中2日の連戦の中、チームの総力で相手を上回り、3連勝という形で決勝トーナメント進出を確定させた。

それから一夜明け、日本は千葉県内でトレーニングを実施。昨日の試合で先発出場した選手は室内調整となり、その他の選手はピッチで汗を流した。これまでけが人の状況を心配する日々だったが、別メニュー調整の選手もおらず、チームのコンディションの高まりを感じさせている。

31日のベスト8ではグループBを2位通過したニュージーランドと対戦するが、そこでポイントになるのが、ここまで右サイドバックで獅子奮迅の活躍を見せていた酒井宏樹の代役だ。酒井はフランス戦でイエローカードをもらい、累積警告のため次戦は出場停止。その代わりに誰が起用されるかが注目される。

代役候補の筆頭となるのは橋岡大樹だろう。フランス戦では後半途中からピッチに立ち、鋭いクロスからチャンスメイク。得点にこそつながらなかったが、練習からトライしてきたプレーでチームの勝利に貢献した。
「自分の中で練習してきたことを本番で出せるのは嬉しく思う。練習を何のためにやっているかと言ったら、本番で得点につなげることだったり、良いクロスを上げることだったりを目標にしている。次はしっかり得点につなげられるようなクロスを上げたい」

橋岡はチーム随一のムードメーカーと言っていい。この日も練習中から積極的に声を出し、いじり、いじられては場を盛り上げ、チームの雰囲気を明るくしていた。ここまでなかなか出場機会がなかったとしても、ベンチからチームを盛り上げ、チームのために働く姿は誰もが見ている。そんな男に訪れるかもしれないチャンス。橋岡は次の試合に向け、意気込みを明かした。
「自分としては思い切ったプレーを見せたい。どんどん前に前にプレーして、落ち着きながらも前でプレーして、行ける時はガツンといく。自分の良さを出せたらいいと思います」
酒井が不在でも橋岡がいる。そう思わせるようなパフォーマンスに期待だ。

グループ最終戦へ向けた練習は全22名が参加(7/27)
2試合を消化して勝ち点6。最高の形で2試合を乗り切った日本だが、いまだ決勝トーナメント進出は決まっていない。U-24フランス代表との第3節で勝ち点を積み上げることができればグループリーグ突破が決まるだけに、大事な試合が最後に待っている。

フランス戦を控えた日本は、神奈川県内で前日練習を実施。公開された15分間では、怪我からの回復を目指す冨安健洋を含めた22人が元気にトレーニングに励んでいる。明日の試合は中2日での3戦目とあってどんなメンバーが起用されるかわからないが、ピッチに立った選手たちの奮闘に期待したい。

対フランスを考えると、一つポイントとなりそうなのが相手ストライカーとの対峙だ。オーバーエイジ枠でチームの主将を務めるアンドレ・ピエール=ジニャックは、ここまで2試合で4ゴールを奪取。前節はハットトリックを含む4得点に絡む活躍を見せるなど、相手のキーマンとなる存在であることは間違いない。

このストライカーと対峙することになりそうなのが吉田麻也と板倉滉のCB陣だ。冨安の負傷もあって2試合連続で先発出場を続ける板倉は、ジニャックとの激突に向けて思いを明かしている。
「そういう選手と対戦できるのはすごく楽しみ。常に先手をとり、相手より先に準備をすることが大事になってくる。周りの選手とコミュニケーションをとってやれればなと思うし、やはりゴール前の駆け引きだったり、ゴール前での強さがあると思うので、そこの1対1で絶対に負けないことを意識したい」
試合の展開に対しても「相手はとにかく点を取りに来ると思う。日本も勢いを持って試合に入りたいし、常に90分間集中して最後勝って終われるように、ということだけを考えて戦いたい」と語った板倉。集中したディフェンスで相手のエースを抑えながら、勝利に近づきたいところだ。
グループリーグ突破へ勝ち点が欲しい第3戦。日本の躍動に注目だ。


歓喜の後のトレーニング、冨安健洋の状態に懸念(7/26)
大きな勝利から一夜明け、日本は千葉県内で公開練習を実施。先発出場組を除く10人のメンバーがトレーニングに励んだ。

トレーニング場が騒がしくなったのは、怪我からの復帰が待たれる冨安健洋の姿が見られなかったことだ。冨安はチームとは異なる時間帯に別メニューで調整。コンディションの向上に努めている。
ただ、本日のチーム練習に合流できなかったことで、第3節U-24フランス代表戦の出場はかなり難しいと考えていいだろう。それを踏まえた時、気になるのが第3節のチームマネジメントだ。
ここまで冨安の穴は板倉滉が埋めているが、中2日の連戦で疲労が溜まってくる状況。その他のポジションも含め、多少のメンバー変更をする必要が出てくるため、これまで以上に総力戦の色が濃くなってくることは間違いない。ピッチに立った選手たちが、それぞれ自分たちの役割を果たすことができるかがグループリーグ突破への鍵となる。

初戦のU-24南アフリカ代表戦で先発出場し、メキシコ戦はベンチから見守ることになった三好康児は、フランス戦で改めてチームの総合力を示す必要があると強調した。
「特に3戦目はより総合力が問われる試合になると思います。中2日で3試合するのは、とてもタフなこと。ここでこそチーム全員の力が試されると思っている。ここまで出ていない選手や昨日の試合に出なかった選手は、次の試合に向けて『やってやるぞ』という気持ちを持っている。それにスタートから出る選手に対して『自分たちは後から出る準備ができているぞ』というの伝えているし、スタートから出る選手も後のことを考えずに戦って、あとから出た選手が試合をクローズしていくという共有もチーム全体で出来ている。そこを次の3戦目も見せていくだけだと思います」
練習後には三笘薫と旗手怜央がダッシュを加えてコンディションを上げようとしていたり、前田大然と上田綺世がシュート練習でキックの感覚を確認していたりと、選手それぞれが気持ちを高めている姿が見受けられた。
グループリーグ最終戦。どんなメンバーがピッチに立とうとも、チーム力を示すことで決勝トーナメントへの扉を切り開いて欲しい。


冨安が順調に回復へ。キーマン田中が難敵メキシコを分析(7/24)
グループリーグ突破に向け、重要な第2戦がやってくる。初戦のU-24南アフリカ代表戦で勝ち点3を手にしたU-24日本代表は、中2日でこちらも初戦を勝利で飾ったU-24メキシコ代表と対戦する。
難敵撃破を目指す日本は24日、千葉県内で冒頭15分公開のトレーニングを実施した。怪我の状況が不安視されていた冨安健洋も一緒にトレーニングを開始しており、負傷した左足でボールを蹴るなど元気な様子を見せている。どこまで回復しているかは不透明だが、次の試合でベンチ入りする可能性もあるだろう。

その他の選手も元気に調整。多少のコンディションの違いこそあれど、ピッチに全員が集合していたことはプラスに捉えたい。
明日、相対するメキシコは初戦でフランスを4-1で破っており、グループ最大のライバルとなることは間違いない。前節、不発に終わった堂安律は「もちろんハードワークで負けてはいけないと思うけど、ボールを保持する時間が長ければ長いほど勝利する確率は高くなっていく」と主張。その上で「僕に求められているのはゴールに絡む働きだと思う。そういう答えをピッチの上で表現したい」とゴール奪取を誓った。

また、攻守においてキーマンとなりそうなのが、南アフリカ戦でアシストを記録した田中碧だ。相手を見ながら立ち位置やパスの選択を変えられる中盤の舵取り役が、攻撃面でどれだけ2列目をサポートできるかが鍵を握る。
2019年のトゥーロン国際大会でも相対したことがあるメキシコに対し、田中は“先制点”をポイントに挙げた。
「メキシコはうまさもあるし、強さもある。あとはチームとして何をしたら相手が嫌なのかを個人としてもチームとしても統一しているところがある。その中で、どの試合にも言えるのが先制点を取る、取らないでは180度ゲームの展開が変わるということ。もちろん前半に1点を取れれば理想ですけど、この前の試合のようにしっかりとゼロで進めることも大事。そこをゼロで進められる強さが今の僕らにはあると思う。その良さをしっかりと出しつつ、先制点を取れれば理想的な展開になると思う」
日本は決勝トーナメントへの道を切り開くことができるか。重要な一戦での勝利を期待したい。

(C)Hiroyuki SatoU-24日本代表、メキシコ戦は総力戦へ。完全復活近づく三笘薫がプラス材料(7/23)
南アフリカとの大事な初戦から一夜明け、日本は千葉県内でトレーニングを実施。前日の試合でスタメン出場を果たした選手と冨安健洋がホテルでの調整となった中、それ以外の選手たちは練習場で汗を流した。

大会直前に最終ラインの要である冨安がアクシデントにより負傷。回復状況はまだわかっていないが、チームにとって痛手なのは間違いない。
一方で、チームにとって朗報なのは三笘薫のコンディションが上がってきたことだ。練習前に行われたオンライン取材に対応した森保一監督は、三笘の状況についてこう言及している。
「試合の前日練習の時にはミニゲームに入れる状態でプレーをしてくれています。ただ100%ではないと思いますので、コンディションの状況を見て、次に試合に起用するかどうか、メンバー入りするかどうかを決めていきたいと思います」

トレーニングでは躍動感あるプレーが戻ってきていた。Jリーグの舞台で披露している圧倒的なドリブルを繰り出す場面もあれば、瞬間的なスピードからのスルーパスで前田大然のゴールをアシストするシーンも。ボールフィーリングが良くなってきていることを感じさせていた。
あとは対人の中でどれだけのプレーができるか。次のメキシコ戦はスタートからの起用は難しいかもしれないが、途中投入で流れを変える役目を担う可能性もある。そういう意味では、三笘の復活はチームにとってプラスとなるだろう。

南アフリカ戦の前にけが人が出たり、イエローカードをもらう選手が出てきた中で、「本当の意味での総力戦だと実感した」とは町田浩樹の言葉。どんな状況に陥ったとしても、ピッチに立ったメンバーがベストを出す。総力戦で挑むメキシコ戦に向け、日本は調整を続けていく。

U-24日本代表、明日初戦・南ア戦、開催可否については当日まで分からずも…(7/21)
明日に迫ったサッカー日本男子代表の初戦を前に、試合開催に対する周りの目が厳しくなっている。

発端は、初戦の対戦相手である南アフリカ代表の選手2名とスタッフ1名が新型コロナウイルスの陽性判定を受け、加えて18人の濃厚接触者が確認されたことだ。
濃厚接触者が試合に出場するためには、競技開始の6時間前を目安にPCR検査を実施して陰性であることが必要。かつ試合を開催するためには最低13人以上の選手を登録しなければならず、開催可否については当日まで分からない状況となっている。
一般的に考えれば、そういった状況にある相手と対戦することに不安を抱えてもおかしくないだろう。試合をやらないほうがいいのではという意見が出るのも分かる。

ただ、選手たちに大きな動揺はない。
「いろいろなニュースは入ってくるけど、全然気にしていない。僕個人としても、周りの雰囲気を見てもそうですけど、みんなが自分たちのことにフォーカスしている。いつも通り変わらずいい準備をすることが大事だと思うので、まったく気にしていないです」(板倉滉/フローニンゲン)
板倉の言葉どおり、公開された15分間のトレーニングでは普段と変わらないチームの姿が見て取れた。ムードメーカーの橋岡大樹(シントトロイデン)がチームを盛り上げて雰囲気を良くしており、選手たちからはリラックスした表情もうかがえた。

初戦では攻撃の柱として期待を集める久保建英(レアル・マドリー)は「僕らに陽性者が出ていたらマイナスですけど、いまのところゼロなので、自分たちのことに集中したい」と口にしつつ、初戦への思いを口にしている。

「昨日の練習も自分が中に入ったときにギアが上がってるなという感覚がありました。今日の練習でまた一段上がると思うので、全選手がしっかり準備をして、明日の試合に照準を合わせられると思います」
どんな状況になったとしても目の前の戦いにすべてを注ぐだけ。コロナ禍で迎える東京五輪の初戦。金メダルを目指す日本は、大事なファーストマッチで勝点3をつかみ取りにいく。

別メニュー調整の二人が元気にピッチへ(7/20)
大会初戦へのカウントダウンが始まっている。22日の南アフリカ戦まで残り2日。千葉県内でトレーニングを実施したU-24日本代表は、練習公開を20分程度に抑え、そこから非公開練習での調整に入っている。

ポジティブなニュースは、19日のトレーニングで別メニュー調整となっていた堂安律と三笘薫の二人が元気に参加したこと。特に三笘はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を終えて合流した後、ここまでチームと同じメニューをこなすことができず心配されていたが、大会初戦を前についに復帰を果たした。

非公開になって以降、どこまで参加できているかはわからないが、本人は「パーセンテージで言うと60~75%くらい」まで回復してきていると話しており、グループリーグ中に戻ってこれる可能性が高い。三笘は「焦りはある」と話しながらも、強い思いを口にした。
「初戦からフルコンディションで持っていきたいと常に思っていたので、なかなかそういう状況を作れなかったのは自分自身、良くなかったところがある。だけど、ここで焦っても意味がない。しっかり一日一日、少しずつコンディションを上げることに集中したい」
22人のメンバー全員がピッチに揃った日本。本大会に向け、チーム一丸となりながら準備を進めている。


開幕間近。日の丸を胸に金メダルの歩みが始まる(7/19)
静岡と関西での事前合宿を終え、U-24日本代表は本大会の舞台となる関東へと戻ってきた。練習場に着けば取材者たちの顔ぶれが変わり、テレビメディアの数も増加。改めて、本大会へのムードが高まってきていることを感じさせる。

五輪本番に向けて気持ちが高まっているのは選手たちも同様だ。見ている側からすれば多少の違和感を感じるところはあるが、普段の移動着や練習着が東京五輪仕様に変化。「移動着が変わったり、練習着が変わったりで、オリンピックムードになっていると感じる」と遠藤航が言うように、シンプルな色味に日の丸があしらわれたデザインを着用した選手たちは大会が近づいてきたことを実感している。
「周りの人たちから『もうすぐ本戦だね』と言われますし、チームの雰囲気にしても、ものすごく良い緊張感を出せている。そういったところでも、本戦間近になってきたんだなと感じます」(橋岡大樹)

大会初戦となる南アフリカ戦まで残り3日。17年12月にスタートした森保一監督率いるU-24日本代表の戦いも、最終局面に差し掛かっている。
悔いのないパフォーマンスを見せるために、一人ひとりが最大限の準備を。日の丸を胸に掲げ、金メダルへの歩みがスタートした。

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