今年の『NxGn』が男子部門に続き、女子部門も発表している。
『NxGn』とは、『Goal』の43の編集部に属する記者が、2001年1月1日以降に生まれた選手を対象に、現在のサッカー界で最も輝いている若手に投票して決まる賞である。
男子はすでにロドリゴがその頂点に立ったが、今回から女子部門も設立。初代チャンピオンに輝いたのは誰だろうか。
Getty/Goal composite今年の『NxGn』が男子部門に続き、女子部門も発表している。
『NxGn』とは、『Goal』の43の編集部に属する記者が、2001年1月1日以降に生まれた選手を対象に、現在のサッカー界で最も輝いている若手に投票して決まる賞である。
男子はすでにロドリゴがその頂点に立ったが、今回から女子部門も設立。初代チャンピオンに輝いたのは誰だろうか。
Getty/Goal composite女子サッカーでシニア・デビューを果たした最初のシーズン、リンダ・カイセドはコロンビアのトップリーグで得点王となり、所属していたアメリカ・デ・カリを初めてのリーグ優勝へと導いた。
だが、チームはコパ・リベルタドーレスの準決勝に進出しても、彼女は年齢制限のために試合に出ることができなかった。
コロンビアの最上位リーグであるカテゴリア・プリメーラAの最年少プレーヤーとなったのみならず、最年少スコアラーとなり、最年少で年間最優秀選手賞にノミネートされたカイセドは、2020年2月にやっと15歳になったばかりである。
しかしながら、コパ・リベルタドーレスの規定では16歳未満は出場できないことになっており、今シーズンもカイセドはこの大会でプレーすることはできない。というのも、コロンビアで最大のライバル、デポルティーボ・カリに移籍したからである。
この移籍は大いに話題となった。コロンビアですでにシニア・デビューを果たしているカイセドの、将来のバルセロナ移籍を見越した移籍であるからだ。
「加入したその瞬間から、リンダが他の選手とは違うことがわかった」と、アメリカ・デ・カリのラファエル・ムリーリョ会長は語っている。
この言葉は、普通の若い選手にとって大きなプレッシャーだろう。だが、彼女は障害を難なくかわし、注目を集め続けている。
Getty/Goal compositeAFC U-19選手権2019の決勝を前にして、すでに4得点で名を挙げていた山本柚月は大胆な予言をしていた。
「私は常にゴールのチャンスを狙っていますし、次の試合も得点を決めたいです」
そしてその言葉は現実となった。
中尾萌々が右サイドを縫うようにドリブル突破すると、山本は相手チームのマークを外してゴール前に入り込み、日本に先制点をもたらした。
結果として、山本はたった4試合で5ゴールを奪ったのだった。
さらに、今後の目標を聞かれた山本は「日本のフル代表に選出されてワールドカップに出場し、チャンピオンになりたい」とも答えている。
彼女の言葉は変わらず大胆だ。だが、彼女の得点力をもってすれば、決して実現不可能な夢ではないだろう。
Getty/Goal compositeペンシルベニア州立大学の女子サッカー教育は優秀だ。これまでコンスタントにアメリカ代表で活躍する選手を輩出してきた。
アリッサ・ネイハーとアリー・クリーガーはそれぞれ、2015年と2019年にワールドカップ優勝を果たしているが、この2人だけではなく、また新星が現われようとしている。ペンシルベニア州立大学の監督を13年間務め、多くのトップクラスの選手を見てきたエリカ・ダンバッハはこう言う。
「ケイト・ウィーズナーはワールドクラスの選手であり、ここでの4年間でその才能を示していくだろう。ここでの教育で彼女は一流の選手になるだろう」
左のサイドバックや左ウィングでもプレーできるウィーズナーはまだ19歳ではあるが、すでにユースレベルでは国際大会に何度も出場しており、16歳でU19アメリカ代表に選ばれている。
2018年の北中米カリブ海サッカー連盟のU17選手権で優勝し、ベストイレブンにも選ばれたウィーズナーは、間違いなくアメリカの次世代のスターとなるポテンシャルを持っている。ペンシルベニア州立大学は、それを実現する最適な場所だろう。
Getty/Goal compositeギフト・マンデーは昨年9月にナイジェリアのフル代表に選ばれ、トップレベルでの素晴らしいキャリアが約束されるようなスタートを切った。
2018年のFIFA U20ワールドカップで、18歳で代表のスター選手となったマンデーは、見事なドリブルを何度も披露し、力強いプレーでチームを準々決勝進出へと導いた。
1年後、アフリカ競技大会でナイジェリア女子代表が優勝した際にはチームの初得点を挙げ、またしても重要な選手であることを証明した。ナイジェリア女子サッカー代表の優勝は12年ぶりのことであった。
クリストファー・ダンジュマ監督は彼女のチームへの貢献を「傑出している」と口にしたが、マンデーの話しぶりは年齢に見合わぬ落ち着いた様子であった。
華麗なフィニッシャーで空中戦に強いストライカーとして、今やマンデーはトップレベルで活躍できるポテンシャルを持つ。まずは、今年のU20女子ワールドカップで予選を突破して本大会出場を果たすことが当面の目標だ。
Getty/Goal composite2019年5月、オーストラリアが女子ワールドカップに出場する選手を発表した時、大きなサプライズがあった。16歳のメアリー・ファウラーが選ばれたのだ。
その12カ月前、ファウラーはオーストラリア代表に選出され、わずか15歳162日でブラジル相手にプレーしていた。
フランスでの女子ワールドカップでは出番はなかったが、オーストラリアに戻った彼女はWリーグでデビューを果たした。アデレード・ユナイテッドでは7試合に出場し、3ゴールをマーク。フォワードとして素晴らしいテクニック、強さ、ゴール前での質の高さも披露してみせた。
2月にはフランスのモンペリエと契約し、背番号9をまとうことに。モンペリエは彼女について以下のような声明を発表したことも話題となった。
「同じ苗字で1990年代にリヴァプールで活躍したストライカーのロビー・“ファウラー”のように、楽しんで活躍してくれることを期待している」
オーストラリアの新時代は前途洋々だ。
Getty/Goal compositeハイチは男女ともにワールドクラスの選手を輩出することに恵まれてこなかったが、メルチエ・ドゥモーネイは例外だ。
ドゥモーネイは2018年、北中米カリブ海サッカー連盟のU17およびU20の選手権の両方で活躍し、大会ベストイレブンに選出。前者ではゴールデン・ボール賞も受賞している。
後者では、ハイチは3位に入り、FIFAのU20ワールドカップ出場を果たした。同大会にカリブ海の国が出場するのは初めてのことである。
2月の北中米カリブ海サッカー連盟のオリンピック予選では、まだ16歳のドゥモーネイがシニアレベルでも活躍できることが証明された。
ハイチは初戦でパナマを6-0と破ったが、彼女のパワフルなドリブルが2点目につながり、後半には目を見張るようなヘディングシュートでゴールを決めたのである。
ハイチではこのところ女子サッカー熱が高まっているが、ドゥモーネイのような才能ある選手がチームにいるのであれば、納得できることだ。
Getty/Goal compositeローレン・ジェームスは昨年9月、マンチェスター・ユナイテッドでフルデビュー。女子スーパーリーグでは、ボールコントロールの見事さや敏捷性、技術の高さとパワーを発揮して人々を驚かせた。
ライバルクラブ、リヴァプールのヴィッキー・ジェプソン監督は目を丸くして、こう語った。
「彼女の右足を抑えることはできず、彼女の左足を抑えることもできない。両足でプレーできるんだ。リーグ中探しても、彼女に対応できるCBが見つかるとは思えない」
18歳のストライカー、ジェームスは公式戦でさらに7ゴールを挙げ、ケイシー・ストーニー監督率いるマンチェスター・U女子チームのキープレイヤーとなった。だが、伸びしろはまだあると、ストーニー監督は話す。
「彼女には取り組むべきゲームエリアがある。彼女はそのことにちゃんと気づいているし、貪欲にやろうとしている」
Getty/Goal compositeスペインほど優れたテクニシャンを輩出できる国はほとんどない。クラウディア・ピナもまたスペインが生んだテクニシャンの一人だ。
バルセロナのピナはあらゆるトリックや俊敏な動きを身につけているが、ユースレベルでの得点記録も素晴らしい。2020年2月までに様々な年代の代表で39試合に出場して37得点を奪っている。UEFAU17世界選手権やFIFA U17ワールドカップでは優勝も経験している。
後者ではゴールデン・ボール賞とシルバー・ブーツ賞を同時に受賞し、決勝で2ゴールを挙げてスペインを栄光に導いた。
バルセロナでは16歳でシニア・デビューを果たし、現在18歳のピナには今後も輝かしい才能を披露するチャンスが待っている。
バルセロナのようなビッグクラブでさえ、ピナの能力を考えれば、頭角を現していくことはまず間違いないだろう。問題は“できるか”どうかではなく、それが“いつか”ということだ。
Getty/Goal composite北米のほとんどの若きアスリートは大学に行くのが普通だ。高等教育を受けながらその競技の才能を伸ばしていき、卒業と同時にプロに入るのである。
しかしながら、まだ18歳にもなっておらず、すでに優れた才能を持つジョーディン・ウイテマは違った。
彼女は大学に行かずにヨーロッパへ向かい、パリ・サンジェルマンに加入。フランスのビッグクラブへの移籍を果たしたのは彼女の才能が認められた証だ。
カナダ代表ではすでにフル代表として30試合に出場しており、7得点を挙げて母国を東京オリンピック出場に導いた。
北中米カリブ海サッカー連盟のオリンピック予選でもゴールデン・ブーツ賞を受賞したが、これは史上最年少のことであった。
カナダ代表として歴代最多得点者となったばかりのクリスティン・シンクレアの引退が近づいているが、すでにウイテマという女王の冠を受け継ぐ選手が見つかっている。
Getty/Goal compositeレナ・オーバードルフは昨夏の女子ワールドカップで、後半から途中出場し、ドイツ代表最初の得点を決めて歴史に名を刻んだ。
マルチなティーンエイジャーは、歴代最高選手の一人と見なされていたビルギット・プリンツに代わって、ヨーロッパでは最年少選手として世界最大規模の大会に登場したのである。
そのわずか2日前には、ドイツのトレーニングセンターで3時間の試験を修了させなければならなかったのだが、その後チームに合流。サッカー選手のキャリアの頂点であるワールドカップに出場したのだ。
「レナとともに、我々は現在の立ち位置を示したいと思う」と説明したのはマルティナ・フォス=テクレンブルク監督だ。「最年少選手とともにそれができれば、彼女は多くのものを得られるだろう」と続けた。
それ以降、オーバードルフは多くのポジションで実力を示してきた。センターバック、中盤の真ん中、サイドバック、ウィングなど。どこでプレーしても、その落ち着きと成熟さは決して揺るがない。
これほどマルチで文句のつけようのない才能を持つオーバードルフは現在、クラブでも代表でも、ゆっくりとレギュラーに近づいている――18歳になったばかりだというのに。