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モハメド・サラー「プレミアリーグ史上最高の選手」への道:リヴァプール新契約で偉大な記録更新へ

「More in than out」。リヴァプールのSNSチームのセンスには脱帽だ。昨年11月、モハメド・サラーが「More out than in(部外者のように感じる)」と語った時は全関係者が震撼したが、長く苦痛を伴うストーリーを経て2年契約を結んだことで、今ではこれを冗談として笑い飛ばすことができるようになった。

プレミアリーグ最高の選手の将来が決着するまであれから5カ月待たなければならなかったが、最終的にはアンフィールドで新たなストーリーを繋いでいくことが決まっている。そしてこの新契約により、サラーは名実ともに「プレミアリーグ史上最高の選手」として歴史に名を刻むことが可能となったのだ。

  • 「キャリア最高の時」

    もちろん契約が半年を切った中でも、サラーの残留を期待する声は常に上がっていた。それは、彼がこのクラブと街を愛しているというのが本心だったからだ。2年契約を結んだ後、彼はこう語っている。

    「キャリア最高の時を過ごしていると思うよ。ここで生活を楽しみ、フットボールを楽しんでいるんだ。家族もここを我が家のように感じているしね。アンフィールドでプレーするのはいつも特別だよ。こんな場所は他にないんだ。心に感じる温かさ、試合前の合唱、すべてが特別だ。ゴールを決めるたびに、自分のチャントを歌ってくれるしね」

    「そして物語は続いていくんだ……」

    フェンウェイ・スポーツ・グループ(FSG)とリチャード・ヒューズ(スポーツダイレクター)にとっても、朗報以外の何物でもない。クラブ史上最高の選手をフリーで失えば、サポーターの強烈な反発は免れなかっただろう。

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  • ヨーロッパ・ゴールデンシュー受賞へ

    6月には33歳となる選手へ高額な新契約を渡すことを疑問視する声はある。だが、リヴァプールに残された選択肢はそれ以外になかったのだ。今のサラーは、過去最高の状態であると言っていい。これまで31試合で27ゴールを記録。ティエリ・アンリの持つプレミアリーグ得点王獲得記録「4」に並ぶことはほぼ間違いなく、キャリア初のヨーロッパ・ゴールデンシュー受賞の可能性も見えてきた。

    そしてアルネ・スロットは、「(ゴール数以上に)さらに素晴らしいのは、毎年それを続けていること。それができる選手は多くない。これこそが彼のクオリティを物語っているよね」と語っている。

  • 伝説的なシーズンに

    そして今季のサラーは、これまで一部で批判されてきた「利己的な態度」も見られない。本人も『TNT Sports』でこう語る。

    「リーグ優勝は1人じゃできないんだ。だから他の選手にも活躍して欲しい。それがここ数カ月、シーズン当初から僕がチャレンジしていることなんだ。みんなのプレーを研究し、何を好むかを理解しようとしている。もっと若かった時はもっと自分のことだけに集中していたからね」

    「今季はみんなが僕をもっと良くしてくれているし、自分にとって最高のシーズンだと思っている。選手全員のスタッツが前より良くなるはずだ。そうすると、僕のアシスト数も多くなるかもね。つまり、僕は本当にみんなに助けられているんだ」

    その主張を裏付けるがごとく、サラーは今季プレミアリーグで17アシスト記録。これまで1シーズンで20アシスト以上を記録したのはアンリだけであり、アーセナルのレジェンドに匹敵するようなシーズンを送っている。

  • 金ではなく…

    現在、サラーに代わる選手は地球上に存在しない。しかし心の奥底では、キャリアハイのシーズンを過ごしてプレミアリーグ制覇に導いた後、巨額を手にするためにサウジアラビアへ行くことも確かに考えたはずだ。

    だがこのエジプト代表のモチベーションは、常に金ではなくタイトルにあった。ユルゲン・クロップからスロットへの移行を中心選手として見守ってきた彼は、今後もリヴァプールがタイトルにチャレンジできるチームであることを確信し、それこそが契約延長につながったことは間違いない。サラーはこう語っている。

    「今の僕らには素晴らしいチームがある。以前もそうだったけど、さらに新たなタイトルを獲得できるチャンスがあると信じたんだ。だから契約を結んだんだよ」

  • Liverpool FC v Chelsea FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    真のタイトル獲得へ

    プレミアリーグのトロフィーは目前だ。リヴァプールは現在、2位アーセナルに11ポイント差をつけて首位を独走中。サラーにとってはキャリア2度目のプレミアリーグ制覇となるだろう。2019-20シーズンはコロナ禍によって心からサポーターと祝うことはできなかったが、今度こそマージーサイドで歓喜を分かち合うことができそうだ。

    そしてもちろん、サポーターも待ちわびているはずだ。13日のアンフィールドで行われるウェストハム戦、このエジプト代表を大歓声で迎えることになるだろう。サラーはこう語る。

    「今季の最初にも言ったと思うけど、何よりもプレミアリーグで優勝したいんだ。心から勝ちたいと思っている。ファンはそれ(優勝)に値するんだ。前回優勝した時はあまりお祝いできなかったね。だからこそ、今回は優勝したい。まだ7試合残っているし、アーセナルも追い上げてきているので、簡単ではないだろう。全力を尽くし、最終的に優勝できることを願っている」

  • プレミアリーグ史上最高の選手への道

    サラーはすでにリヴァプールの「生ける伝説」だ。そして、「プレミアリーグ史上最高の選手」として語り継がれるべき存在でもある。現在通算ゴール数(184:5位)と通算アシスト数(86:10位)の両方でトップ10に入っている。これはウェイン・ルーニー、フランク・ランパードに次ぐ記録だ。そして彼には、少なくともあと2シーズンは残っている。現在の状態を見れば間違いなく記録を伸ばし続けるだろう。そうなれば、アーセナルでの8年でレガシーを築いた偉大なアンリを上回る存在にもなれるかもしれない。

    一時はリヴァプールサポーターに大きな不安を与えたかもしれないが、サラーは愛するクラブ、街とのストーリーを続けることを望んだ。そして「プレミアリーグ史上最高の選手」として歴史に名を刻むため、新たに美しいストーリーを描いていくことは間違いない。