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フィルミーノ、エリオットに南野拓実も…クロップがリヴァプールで飛躍を求める5人の男たち

リヴァプールの今シーズンは、移籍市場という面では静かな夏だったかもしれない。しかし、プレミアリーグ王座奪還へ堅実なスタートを切ったことは間違いない。開幕3試合で2勝1分け。十分な結果だろう。

ユルゲン・クロップにとっては、ようやくフットボールの話に集中できるのは嬉しいことだ。8月は移籍の話ばかりだった。それでも、彼はイブラヒマ・コナテの加入やフィルジル・ファン・ダイク、ジョーダン・ヘンダーソンらの復帰を挙げ、チーム強化に成功したと考えている。「疑っている人たちは、自分のチームが結果を出すことを信じるべきだ」そう語っている。

もちろん、そうなるかは時間が教えてくれる。だがもちろん、有力な獲得選手がいない中で、昨季からのレベルアップのために飛躍すべき選手は存在する。以下は、クロップが今シーズンの活躍を期待する選手たちだ。

文=ニール・ジョーンズ/『Goal』リヴァプール番記者

  • Roberto Firmino Liverpool Chelsea Premier League 2021-22Getty Images

    ロベルト・フィルミーノ

    彼のリヴァプールでの重要性を疑うことは、アンタッチャブルだ。ディオゴ・ジョタが本格的な競争相手として久しぶりに現れたが、ブラジル代表FWはクロップの構想の中心であり続けている。

    クロップはこの9番を「ゴールだけで判断することはない」と主張するが、昨季の全公式戦9ゴールという結果は、2015年に加入して以来、最低のものだった。それでも、回復の兆しは見せている。今季は開幕戦(対ノリッジ)で途中出場から早速ゴール。スタジアムにファンが戻ってきたことで、彼が笑顔を見せる機会は増えるはずだ。

    クロップもそれを望んでいる。相変わらずモハメド・サラーが試合を決められることは理解されているが、フィルミーノがベストな状態に戻れば、再びリヴァプールは飛躍することができる。

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  • Thiago Alcantara Liverpool 2021-22Getty

    チアゴ・アルカンタラ

    チアゴのマージーサイドでの1年目を一言で表現するなら「フラストレーション」だろう。昨年9月に契約を結んだが、コロナウイルス感染や負傷が長引き、1月までに1試合しか出場できなかった。バイエルン・ミュンヘンで世界最高のMFとして見せた輝きは、鳴りを潜めた。

    チアゴが復帰した時期は絶不調に陥り、厳しい時期を過ごしていたリヴァプール。だが終盤に調子を上げてシーズンを乗り切ることができたのは、チーム全体の強烈な意志とキャラクターをよく表しており、選手たちがステップアップしたことも大きい。そして、彼もまたその1人だ。昨季最後の10試合ですべてに先発し、その間チームは8勝2分け。期待された「スター選手」のようだった。

    EURO2020後のプレシーズンではフィットネスの問題を抱え、今になってようやく試合での鋭さを取り戻しつつある。ワールドカップ欧州予選のメンバーから外れたが、これはクラブにとっては朗報である。クロップはチアゴをチームに組み込むことに躍起になっているはずだ。それが実現すれば、リヴァプールは1段階上のステージに行くことができる。

  • Naby Keita Liverpool 2021-22Getty

    ナビ・ケイタ

    ナビ・ケイタに興奮するのはまだ早いだろうか?

    正直に言うと、そうかもしれない。だが、このギニア代表MFが良いスタートを切ったのは確かだ。関係者の間では、コンディションさえ整っていれば試合を変える力があると信頼されている。

    チアゴと同じく、彼もまた完全な能力を発揮できていない1人だ。だがクロップは、また同じく貴重な才能を持つ選手だと確信している。中盤中央の支配と創造性という点において、さらなるレベルアップが期待できる存在だ。彼が健康な状態であれば。

    今夏はチームで最も安定感のある活躍を見せていたジョルジニオ・ワイナルドゥムが去り、直接の後継者を獲得しなかったことは驚きをもって伝えられた。代わりの選手が必要であることは間違いない。だからこそ、契約が残り2年を切ったケイタにとって、その輝きを確かなものとする絶好機ではないだろうか。

  • Harvey Elliott Liverpool 2021-22Getty Images

    ハーヴェイ・エリオット

    「ハーヴェイの魅力は、まだ18歳であるのに、そんなプレーはしないことだ」

    現チームにおいて、現在から未来に渡って重要な役割を担うことは明らかだ。このティーンエージャーは開幕から3試合中2試合に先発し、右インサイドハーフで違和感なくプレーしている。彼がこれまでのウイングではなく、規律あるエレガントなNo.8に変化したのは興味深い。下がり目の位置でも安心してプレーができる。チェルシー戦では、アレックス・オックスレイド=チェンバレンやチアゴ、ケイタよりも優先的に起用されたのだ。

    これほど若い選手に過度のプレッシャーはかけてはならない。だが最近のエリオットを見るに、本物であることも間違いない。今シーズン、それを証明していくだろう。

  • Takumi Minamino Liverpool 2021-22Getty

    南野拓実

    開幕3試合、出場なし。南野拓実を取り巻く状況はどうなっているのだろうか。

    クロップによれば、この日本代表FWは「信じられないほど調子が良い」という。だが、まだピッチに立つ姿を見られていない。トレーニングでの活躍はもちろんなのだろうが、試合でまだ存在感を発揮できていないのだ。

    昨季後半はサウサンプトンへ行っていた彼だが、今夏リヴァプールが「アタッカーを獲得すべき」と散々指摘されていたのを見ているはずだ。そしてその疑念を払拭するために、自分にやるべきことがあるのも理解しているはずだ。2020年1月にザルツブルクから加入したときには「完ぺきな契約」と見られたが、リヴァプールでは(プレミアリーグ)4試合の先発にとどまっている。

    今夏の放出も噂されたが、多くの買い手がついたかは議論の余地がある。南野が今後、計画のどこで、どのような役割でフィットするかはわからない。ワイドに開いたプレーは向いていないし、9番にはフィジカルが足らない。ザルツブルクでは10番やセカンドストライカーとして輝いたが、クロップは4-3-3をほとんど崩さないこともわかっている。

    「現時点で、彼を外すのはとても難しい」クロップは最近語っていた。何かが変わるかどうかは、これからの数週間、数カ月で明らかになるだろう。