Jude Bellingham Borussia Dortmund 2022-23 HIC 16:9Getty

リヴァプールがレースから撤退…ベリンガムがどのビッグクラブにも行くべきでない理由

リヴァプールはこの夏、ジュード・ベリンガムを獲得する候補から外れた。マージーサイドへの移籍はとても理にかなっていただけに、両者にとって残念なことだ。

リヴァプールは新たなスティーブン・ジェラードを必要としているし、ベリンガムが真の世代交代をする才能を証明するため、アンフィールドが完璧な場所になるはずだった。

ベリンガムは、単にスタメンとして活躍するだけでなく、ユルゲン・クロップが次世代の偉大なチームを構築するための土台となったことだろう。

残念ながら、今シーズンの劇的な低迷により、レッズが来シーズンのチャンピオンズリーグ出場権や資金調達を逃すことになりそうで、ドイツ人監督がベリンガムを獲得する望みは絶たれてしまった。

ドルトムントは当然のことながら、彼らの最も貴重な財産について約1億5000万ユーロ(約220億円)以上を求めており、リヴァプールにはそれを支払う資金がないのだ。

もちろん、ベリンガムにはまだたくさんの移籍先候補があるが、そのどれもが本当にアンフィールドほど魅力的なのだろうか?

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  • Guardiola-Man-CityGetty

    マンチェスター・シティ

    マンチェスター・シティは明らかにベリンガム獲得の有力候補の一つであり、ペップ・グアルディオラと一緒に仕事ができるという見通しは、イングランドの若手選手にとって魅力的であろう。

    重要なのは、リヴァプールとは異なり、アブダビに本拠を置くクラブのオーナーにとって、金銭的な問題はないことだ。シティであれば、ドルトムントの要求額とベリンガムの賃金要求の両方を満たすことができるだろう。

    しかし、シティの富は、選手の立場からすれば、確かにマイナス面もないわけではない。プレミアリーグの王者は移籍市場でミスを犯す余裕がある。高額な契約がうまくいかなければ、また別の選手を獲得すればいいという考えが背景にある。

    有望な若手イングランド代表MFに4200万ポンドを支払って、ほぼ1シーズン中ベンチに置いておくことができるのだ。ベリンガムはカルヴィン・フィリップスよりも「はるかに優れた選手であり、まったく違う選手である」と人々は正当性をもって主張するかもしれないが、今シーズンのエティハドでのフィリップスの苦闘は、このスカッドに入ることがいかに難しいかを物語っている。

    ペップは明らかにベリンガムのための計画を持っているだろうが、彼は戦術的な観点から完璧にフィットするようには見えない。シティにはこの19歳のような選手が他におらず、それはある意味では良いことだが、別の意味では問題となる。

    イルカイ・ギュンドアンとベルナルド・シウヴァはこの夏に退団する可能性があるが、ベリンガムはどちらの選手にも似ておらず、穴を埋められる存在とは言いがたい。

    彼はより直接的で、実際にはケヴィン・デ・ブライネに似ているが、今のベリンガムがベルギー人の代わりにプレーするのは難しい。また、彼が自分のプレーに何らかの修正を加えない限り、彼と一緒にプレーすることさえ難しい。あれほどの才能を持つフィル・フォーデンが、今シーズンのシティのスタメンから出たり入ったりしているのを見ればわかるだろう。

    ベリンガムはグアルディオラの下でプレーし、現在のサッカー界で最も知的なサッカー選手たちと一緒にプレーすることで多くのことを学ぶだろうが、彼の年齢では毎週プレーし続けて成長する必要がある。フィリップスは今、そのどちらもできていない。

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  • Tchouameni Real Madrid 2022-23Getty Images

    レアル・マドリー

    現状では、マドリーはこの夏にベリンガムをサンティアゴ・ベルナベウに呼び寄せるのに、十分な資金を持っていないようだ。だが、現金がないからといって、今まで止められたことはない。彼らは通常、自分たちの欲しいものを手に入れる方法を見つける。

    マドリーに移籍したいという選手の気持ちもしばしば助けになる。多くのサッカー選手にとって、マドリーは今でも夢の場所であり、欧州カップ戦の歴史上最も成功したチームの代表として、多くの人が彼らの職業の頂点であると考えるのである。その点では、ベリンガムも同じだろう。

    しかし、ここでもいくつかの赤信号がある。マドリーはここ2年で、オーレリアン・チュアメニとエドゥアルド・カマヴィンガという、大きな可能性を秘めた2人の若手MFを獲得。前者はミッドウィークのチェルシー戦で再びベンチになり、後者は左サイドバックでプレーした。

    どちらも将来を見据えた選手であることは明らかだ。ルカ・モドリッチとトニ・クロースはいまだ存在感を示すが、永遠に続けることはできない。

    しかし、繰り返しになるが、このタイミングでベリンガムがマドリーに移籍した場合、望む以上にベンチで過ごさなければならないかもしれない。結局のところ、現時点でMFはマドリーの優先事項にはない。

  • Jadon Sancho Manchester United 2022-23Getty

    マンチェスター・U

    先日、元ドイツ代表シュテファン・エッフェンベルク氏は『シュポルト1』のコラム内でベリンガムにドルトムント残留を促し、「他のクラブでは保証がない。ジェイドン・サンチョがその最たる例」と指摘した。

    それはもっともな指摘だった。サンチョはジグナル・イドゥナ・パルクで3シーズン活躍した後、2021年にマンチェスター・ユナイテッドでスーパースターになるための完璧な準備を整えているように見えた。

    悲しいことに、このウインガーはオールド・トラッフォードで厳しい時間を過ごした。世界のサッカー界で最もプレッシャーのかかる環境の1つでプレーすることによる精神的負担がどれほど大きなものか知れ渡った。サンチョは今、ようやく以前のような姿になりつつある。

    たしかに、サンチョはユナイテッドでの絶え間ない混乱に苦しんだ。優秀なエリック・テン・ハーグが監督に就任したことで、トップチームの状況は改善されたものの、役員レベルでは動揺が続いており、非常に気になるところである。

    実際、多くのサポーターから忌み嫌われているグレイザー一家がシーズン終了前にクラブを売却することが期待されていたが、そのプロセスは夏まで長引き、新オーナーが来シーズンに向けて準備する時間が少なくなる可能性がある。

    それだけに、ユナイテッドがベリンガムと契約する可能性は低いと思われる。今のところ、そんな大それたことを約束できるような状況ではない。ベリンガムはクラブのオーナー問題が解決していない間は、近づかない方がよいだろう。

  • Todd Boehly Chelsea 2022-23Getty Images

    チェルシー

    ユナイテッドからの関心が慎重に扱われるべきものであるならば、チェルシーからのオファーは即座に却下されなければならない。スタンフォード・ブリッジの新オーナーは、昨夏の就任以来、すでに2人の監督を解任し、選手に5億ポンド以上を費やして、前政権がまるで“自制のお手本”のように見えるまでとなっている。

    チェルシーがベリンガムに入札するのは、歴史的な大盤振る舞いですでにファイナンシャル・フェアプレー(FFP)に抵触する恐れがあることを考えると、明らかに意味がないが、だからといってオファーの可能性がゼロというわけではない。

    トッド・ベーリーは、才能ある若い選手とできるだけ多く契約したいと考えているのは明らかだ。しかし、ベリンガムが不安定な状態で運営されているクラブに加入することに興味を持ったとしたら、それは非常に驚くべきことだ。

    来シーズンはチャンピオンズリーグに出場しないし、次の監督が誰になるのか、あるいは新シーズンの6試合で解任されるのか、まだわかっていないのだ。

    ベリンガムはチェルシーを何としても避けなければならない。

  • Lionel-Messi(C)Getty Images

    PSG

    パリ・サンジェルマンは今、大混乱に陥っている。まだリーグ・アンの首位に立ってはいるが、チャンピオンズリーグでまたもやベスト16敗退を喫し、パルク・デ・プランスには失望の色が漂っている。

    キリアン・エンバペは残留を主張しているが、リオネル・メッシが契約延長を申し出た一方で、彼は自分のファンから口笛を吹かれており、クラブでの将来に大きな疑問を投げかけている。

    PSGで次に何が起こるか、予想するのは本当に不可能だ。QSIプロジェクト全体はボロボロで、方向転換が必要な状態である。

    純粋にスポーツの観点からすれば、スター選手で固められた前線3人の後ろにワールドクラスのクオリティが欠けているチームにとって、ベリンガムは理想的な選手であることは間違いないだろう。

    しかし、PSGにはFFPの問題がある。ネイマールを売却するか、メッシを放出しない限り、この夏、1億5000万ユーロを1人の選手に投じることは難しい。

    ベリンガムについては、キャリアのこの時期には安定が必要で、常に混沌としている必要はない。

  • Jude Bellingham Borussia Dortmund 2023Getty Images

    ドルトムント

    それなら、ドルトムントでもう1シーズン過ごすのが賢い選択だろう。エッフェンベルク氏も「彼はまだ若い。将来、3つか4つのトップ契約を結ぶことができる」と指摘するように、ベリンガムには時間がある。

    今、重要なのは最高レベルで定期的にプレーすることであり、ドルトムントはそれを彼に提供できる。ドルトムントは来季のチャンピオンズリーグ出場権獲得に向けて順調に進んでいるだけでなく、バイエルンのブンデスリーガ支配に対する真の脅威として再浮上している。

    シティとマドリーも今夏を最後に彼の下を去ることにはならないだろう。2024年の夏には、残り契約期間が1年となるため、彼との契約にまだ興味を示しているはずだ。

    ユナイテッド、そしてチェルシーやPSGの不確実性もその頃には解消されているはずだし、リヴァプールもアンフィールドでの再建に成功した後、再びレースに参加できる状態に戻っているかもしれない。

    来年の今頃は、本当に選択肢が増え、より明確になっていることだろう。もちろん、この夏に移籍する誘惑は大きいだろうが、ベリンガムは本当に時間を置いた方がいい。