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ベリンガムは別格!ついにイングランド代表は主要大会を制することができるのか

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ジュード・ベリンガムは、バーミンガム・シティFCにいた際、完璧なMFになりたいと本人も思い、ユースの監督もそれを期待して、背番号4(ボール・キープ)、背番号8(ボックス・トゥ・ボックス)、背番号10(司令塔)を合わせた背番号22のユニフォームを着ていたことで有名である。

だが、セルビア戦での彼の電光石火のヘディングが、イングランドにEURO2024の白星発進をもたらしたのを見た後では、その背番号を31に増やすべきかもしれない。そのゴールはベリンガムがアラン・シアラーやクリスティアーノ・ロナウドにも匹敵する、伝統的な背番号9であることを示すものだった。

その試合の唯一の得点がベリンガムのゴールだったことは差し引いても、ベリンガムはゲルゼンキルヘンで最も輝いたイングランド代表の選手であり、時にはGKを除くすべての役割を担っていた。それどころか、何らかの理由でグローブをはめてゴールを守れと言われたなら、ジョーダン・ピックフォードも逃げ出すようなプレーをしたのではないかとすら想像してしまう。

セルビア戦でのイングランドのプレー全体はいつもの見慣れたもので、力強いスタートというよりは試合をコントロールする力に欠けていた印象であった。だが、別の見方をすれば、まったく独特な感じがした。スリー・ライオンズには、これまでの代表にはいなかったタイプの選手がいる。バーミンガム近郊の出身ではあるが、ベリンガムは他の同郷の選手たちとはまったく違うのだ。

  • Jude Bellingham England 2024Getty Images

    万能

    ベリンガムはプロになってからずっと、大胆不敵な選手である。16歳の誕生日の1カ月後、バーミンガムでトップチーム・デビューを飾ってから、マンチェスター・ユナイテッドやチェルシーを蹴ってイングランドを離れ、ボルシア・ドルトムントに移籍しても、ずっとそうだった。

    さらに、レアル・マドリーと契約して歴代2位の高額契約選手となった時も、ベリンガムにはまったく臆するところがなかった。出場した最初の15試合で、クラブのレジェンドであるC・ロナウドやラウル、アルフレッド・ディ・ステファノよりも多くの得点を決めたのである。

    ベリンガムはさらに伝統的な意味において、大胆不敵だった。顔を強打するという実際の恐怖に直面しても勇敢だったのだ。ブカヨ・サカのカーブのかかったクロスに飛びこんだとき、もう少しで相手のDFミロス・ベリコビッチの頭とベリンガムの顔がぶつかるところだった。だがベリンガムは果敢にボールへ飛びこみ、まるでこのクロスにびったり合わせることこそ、世界で最も重要なことなのだと言わんばかりだった。自分の身の安全や前歯のことなど何も気にせず、得点することだけを考えていたのだ。

    『BBC』でこのゲームの解説をしていたシアラーは、クラブでも代表でも多くのヘディングシュートを決めた選手だったが、何より思いだすのは、レヴァークーゼンやマンチェスター・シティ相手に決めたゴールだった。C・ロナウドのヘディングと言えば、マンチェスター・ユナイテッド在籍中の2008年、ローマで決めたものが思い浮かぶ。

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  • Jude Bellingham England SerbiaGetty

    優雅な剣闘士

    さらにベリンガムの性格は、セルビアのフィリップ・コスティッチへのチャージや、ファンに向かってもっと声援しろと両手を振りあげた姿にもよく表れていた。公正を記して言うならば、イングランドにはこれまでも、剣闘士精神を持ったカリスマ的な選手が大勢いた。ジョン・テリー、スチュアート・ピアース、ポール・インス、テリー・ブッチャーといった名前が即座にあがるだろう。だが、そのうちの誰も、ベリンガムのような優雅さを持ち合わせていなかった。

    20歳のベリンガムは、時にバレエを踊るようにプレーする。ドリブルで窮地を脱するかファウルをもらうかといったプレッシャーのかかる場面で、ワルツのリズムで相手選手を抜いたり、後半、何とかリードを保とうとするイングランドにとって貴重な時間を稼いだりするのだ。

    ベリンガムのパスも独特だ。イングランドのどの選手よりもボールタッチ数が多く、最も多くパスを出しながら、パス成功率98%で試合を終えることがある。ベリンガムの深いところからのパスはスティーヴン・ジェラードを思い出させる。だがジェラードがしばしば性急にボールを扱い、急ぎすぎることがあったのに対し、ベリンガムは落ち着いてプレーしている。

    ベリンガムは汚れ仕事をすることもいとわない。チームメイトの誰よりもタックル数が多く、4回に3回はボールを奪っている。デュエルにも9回勝っている。

  • Jude Bellingham England 2024Getty Images

    巨大な個性

    ゲルゼンキルヘンの試合で、ベリンガムは、今シーズンずっとレアル・マドリーで見せてきたもの、その前にはドルトムントでやってきたことを、ヨーロッパの人々に披露した。それは、彼が完璧なサッカー選手であるということだ。だが、彼のキャリアを注意深く見てきた者なら誰でも、いつかこうなることはわかっていた。

    「ささやくような才能もあれば、面と向かって大声で叫ぶ才能もある、それがジュードだ」と、13歳から16歳までベリンガムが属していたイングランドのユース世代の代表監督だったケビン・ベッツィーが『タイムズ』紙で語っている。

    「ピッチの上での彼の個性は巨大だ。ジュードは一世代にひとりの逸材だ。ジュード並みのレベルの選手は大勢いるが、個性とメンタル、勇気、ボールを要求したり、自分が試合をコントロールできるよう、必要な方向に試合を導いたりする個性は、小さいころから常に明らかだった」。

    その個性は、ベリンガムのプレーや、試合後の『BBC』のインタビューでも見てとれるだろう。彼はこう宣言した――「イングランドがこの大会で優勝できるよう、必要なことは何でもするし、全力を尽くす準備はできている」。

  • Jude Bellingham Trent Alexander-Arnold England Serbia Euro 2024Getty

    頼れる男

    彼の個性は大いにイングランドの役に立つだろう。巨大な個性や巨大な将来性のある選手がいながら、イングランド代表に何年にもわたってなかったものがひとつあるとしたら、それは、一線を超えようとする信念だからである。

    イングランド代表の自信のなさは、2018年ワールドカップの準決勝のクロアチア戦やEURO2020の決勝で先制した際にも見受けられた。セルビア戦の後半でも徐々に表れつつあった。しかし、ベリンガムは集中を切らさず、イングランドを牽引し続けた。

    「彼はまさに首の皮1枚で試合を決めた。これこそが必要なものだ」と、『BBC』の解説者マイカ・リチャーズは言った。「彼の落ち着きは素晴らしい。あの若さで、このチームのリーダーとなっていて、それを自分でもわかっている。彼の態度は素晴らしいし、彼はすべてをもっている。まったく見事に試合をコントロールしていた。大会中ずっとあの姿勢をキープできるのなら、頼れる男だと言える」

    リオ・ファーディナンドもこう言った。「今日の彼は、これは自分の試合だとわかっているという態度で試合に臨んでいた。『やあ、みんな、これは僕の試合だ。僕がヒーローだ』と言っていた」

  • Jude Bellingham Real Madrid 2023-24Getty Images

    「王者のメンタル」

    ガレス・サウスゲート監督は大会前、イングランド代表を鼓舞するのにベリンガムに頼るつもりはないと主張し、ベリンガムに責任を負わせたくないと警戒していた。だが、ベリンガムはその役割を背負って成長しているように見える。ハーフタイム明けにセルビアの選手たちが挽回しようとしてきた時、イングランドを鼓舞し続けたのはベリンガムだった。

    「彼の一番の強みはメンタルだ。彼には王者のメンタルがある。ごくごく少数の選手にしかないものだ。常に、試合はうまくいっている、自分たちは勝てると思える選手だ」と、16歳のベリンガムがバーミンガムでデビューした時の監督であるペップ・クロテートが『デイリー・テレグラフ』紙で語っている。

    クロテートは、今をときめくベリンガムがなぜそこまで特別なのかについても総括し、こう言った。「現代サッカーは、特別であることが求められる時代だ。誰もが何かひとつ優れた才能をもっていなければならない。ジュードは全部を持っている。アシストもできるし、ポケットを取ることもできる。スペースへ走りこむことも、守備も攻撃も、敵陣深く走りこむこともできるし、空中戦に強く、得点力もある。中盤のどのポジションでもプレーできるのだ」。

    「イングランド代表では、彼は中央で背番号6のようにプレーしてきた。私たちのチームやレアル・マドリーでは偽のウィングとして多くの自由を与えられてプレーしていた。深いところから攻撃できるポジションだ。背番号8や10としてもプレーできる。まさに完璧なMFで、今、世界中を探してもこんな選手はいないだろう。つまり彼はとても、とても特別なのだ」。

  • Bellingham Inghilterra SerbiaGetty

    唯一無二

    クロテートが言うとおりベリンガムは「真のMF」だが、ひとつだけ、次のように言ったのは間違いである――「イングランドには常に、非常に完璧で何でもできるMFがいた。ジュードはその歴史を継ぐ者だ」

    確かにイングランドには多くの優れたMFがいた。インスやビー・スタイルズ、オーウェン・ハーグリーヴスのような縁の下の力持ち的な選手から、ポール・ガスコインやデビッド・ベッカム、ポール・スコールズ、グレン・ホドルのような司令塔、ブライアン・ロブソン、ジェラード、フランク・ランパード、ボビー・チャールトンのような点取り屋もいた。だが、ベリンガムは彼らの誰にも似ていない。独特のセンスとともに先輩たちの才能すべてをあわせ持った選手なのだ。

    おそらくベリンガム最大の長所は、年少のうちにイングランドを出ていこうとしたことだろう。ドイツでサッカーの高等教育を習得し、スペインで大学院を卒業したと言える。ヨーロッパを股にかけてサッカーの教養を身に着け、すでに最高の選手たちとともにプレーして、その考え方やメンタリティを吸収してきたのだ。

    イングランドはベリンガムひとりに頼るべきではないが、彼からインスピレーションを受けるべきである。木曜にフランクフルトでデンマークと対戦する際には、ただベリンガムを仰ぎ見るだけではなく、短いながらもすでに驚異的なキャリアを通して彼が見せてきたのと同じスピリットを体現すべきである。

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