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日本代表チュニジア戦プレビュー/予想スタメン

日本代表は17日、「キリンチャレンジカップ2023」でチュニジア代表をノエビアスタジアム神戸に迎える。

負傷やコンディション不良での離脱者が出ている厳しい台所事情の中、“森保ジャパン”はどのような陣容でこの一戦に臨むのだろうか。【取材・文=河治良幸】

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    チュニジア戦の予想スタメン

    チュニジア戦は11月にスタートするアジア二次予選、さらに来年のアジアカップに向けた最後の親善試合となる。森保一監督は「昨年負けてしまった相手なので、まずはチームとして日本のホームで戦えますし、ホームでの戦いでしっかり勝てるように」と意気込みを語るが、勝利が求められる中でも可能な限りのテストを行なって、公式戦につなげていく流れになる。

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  • 予告されたポジションの2人は?

    スタメン予想ということでは前日会見で、すでに森保監督がスタートは4-2-3-1で行くこと、さらに2つのポジションについて事実上の予告と取れるコメントを出した。左サイドハーフの旗手怜央(セルティック)とGKの鈴木彩艶(シント=トロイデン)だ。旗手については三笘薫(ブライトン)がコンディション不良で不参加となり、カナダ戦で2得点をあげた中村敬斗(スタッド・ランス)も足首の負傷でチュニジア戦には出られないことが確実な中で、旗手のポリバレントな能力に期待する。

    「レオ(旗手)が左サイドのワイドなポジションを取って、幅を活かすというところも、ライン間に入ってプレーするというところも、両方攻撃も守備も関われるところは途中出場の中でも見せてくれたと思います。彼が日常セルティックで、左インサイドハーフでプレーしていることが多いと思いますが、今回我々の中での左サイドのプレーヤーとしても中に入ってくる、人を動かすというプレーは日常やっているところの延長で、良さを出してもらえるかなと思っています」

    旗手としても4-1-4-1の左インサイドハーフで、スペシャルな能力を出せることは森保監督も認めることにプラス、左サイドでも”森保ジャパン”の基準で問題なくプレーできれば、これまでより3人少ない23人枠に戻るアジア予選やアジアカップに向けても、格好のアピールになる。もちろんカナダ戦は4-1-4-1の右インサイドハーフだった南野拓実(モナコ)、体調不良から回復した初招集の奥抜侃志(ニュルンベルク)も左サイドの候補にあがっており、奥抜も「出たらやってやるという気持ちはある」とデビュー戦に意欲を示していた。

    GKのスタメン起用に関して森保監督は「準備を経て最終的に決めますが、彩艶にスタートから出てもらうと思っています」と明言。その理由については「大迫(敬介)も結果を出している部分はしっかり評価していますが、GKも全体的に経験値を上げた中で、アジアカップやW杯のアジア予選で、ベストな選択ができるようにしていきたい」と説明している。

  • 冨安健洋の左SB起用も?

    そのほかのポジションは「総替えとまではいかないですけど、選手を入れ替えて戦いたい」と森保監督が語るように、カナダ戦で出番がなかった常連のメンバーはスタメンで起用されると考えるのが妥当だろう。右サイドバックの菅原由勢(AZ)、センターバックの板倉滉(ボルシアMG)、守田英正(スポルティングCP)、久保建英(レアル・ソシエダ)といった選手たちだ。4-2-3-1の1トップは上田綺世(フェイエノールト)のスタメンが濃厚と見るが、カナダ戦で72分から起用された古橋亨梧(セルティック)も”古巣”ヴィッセル神戸のホームであるノエスタで、お披露目のチャンスはあるはず。

    旗手、鈴木、菅原、板倉、守田、久保、上田(古橋)がスタメンである場合、残るは板倉の相棒となるセンターバック、左サイドバック、もう一人のボランチ、右サイドハーフの4ポジションだ。センターバックはカナダ戦はハーフタイムで下がった冨安健洋(アーセナル)か、あるいは後半からの出場だった谷口彰悟(アル・ラーヤン)か。板倉と冨安をファーストセットと想定すれば、さらに連携を深めておくのは有効だが、冨安はアーセナルでも経験している左サイドバックをオプションとしてテストされる可能性もある。

    その左サイドバックは伊藤洋耀(シュトゥットガルト)が怪我で離脱しており、カナダ戦で90分出た中山雄太(ハダーズフィールド)が”連闘”になるのか。冨安と町田浩樹(ユニオン・サン=ジロワーズ)に加えて、森保監督は「チームの中では橋岡も左サイドをやることがある」とコメントしており、橋岡大樹(シント=トロイデン)も選択肢に入ってくる。冨安をセンターバック、中山を左サイドバックに予想するが、ポジションについて「自由に予想してください(笑)」と語っていた冨安が左サイドバックでも計算がたてば、ディフェンスラインの選択肢が広がる。

  • 活かしたい”第二次・森保ジャパン”の強み

    ボランチは予選前のラストマッチということを踏まえると、キャプテンの遠藤航(リヴァプール)のスタメンが想定できる。カナダ戦で後半16分に交代したのも、チュニジア戦を見込んでのものだろう。ただ、”森保ジャパン”に定着しつつある伊藤敦樹(浦和レッズ)を守田と組ませる形でテストすることで、二次予選やアジアカップに向けて、幅を広げることにつながる。川辺駿(スタンダール・リエージュ)は中盤でも、所属クラブで攻撃的なタスクを担っているが、追加招集という立場から食い込んでいくには、チュニジア戦でスタートであれ、途中からであれチャンスをもらうことはマストになるかもしれない。

    久保はスタメンで出る場合、4-2-3-1のトップ下と右サイドの両方で可能性がある。本人もどちらで起用された場合も問題なくできるイメージを持っているようだ。ただ、森保監督は4-3-3(あるいは4-1-4-1)の右ウイングを久保の得意ポジションとして言及しており、4-2-3-1となると、やはりトップ下で起用される方が妥当と見る。トルコ戦はタスクが多く、全体のプレーの位置が低くなってしまったことを久保は認めており、遠藤や守田がボランチに入る場合、ビルドアップをある程度、彼らに任せて前めで絡むプレーが増えそうだ。

    久保がどちらのポジションで出るかで、2列目のもう一人の予想も変わってくるが、4-2-3-1のトップ下という想定で、右サイドハーフはカナダ戦に引き続き、伊東純也を予想する。欧州遠征ではドイツ戦から中2日のトルコ戦で途中出場だったが、もともと連戦は好きという伊東は「中2日と中3日では全然違う」と語っており、問題なくこなせるはず。ただ、その場合はフル出場ではなく途中から4-1-4-1に変更して久保が右に回るとか、浅野拓磨(ボーフム)や毎熊晟矢(セレッソ大阪)に交代する形になるのではないか。それに応じて、カナダ戦でスタメン起用された南野拓実(モナコ)の出番もありそうだ。

    チュニジアは3-4-3あるいは3-4-2-1で来ると予想されるが、4バックもジャレル・カドリ監督の選択肢としてはあるようだ。また3バックでも4バックでも、立ち位置や距離感など試合で変わってくるところもある。そうしたものを見極めながら、柔軟に対応していけるのも”第二次・森保ジャパン”の強みになってきている。スタートは4-2-3-1でも守備のメカニズム、攻撃のメカニズムをどう調整しながら相手を守備でハメたり、攻撃でズラして行くのかも見どころになってくる。