AFCアジアカップ カタール2023決勝トーナメント1回戦でバーレーン代表と対戦し、3-1で勝利した日本代表。9大会連続のベスト8入りを果たしたチームの中で今、一際輝きを放つ男がいる。【取材・文=林遼平】
(C)Taisei Iwamoto森保ジャパンで圧倒的存在感…毎熊晟矢、Jリーグから現れた”ワールドクラス”。バーレーン戦飛躍の舞台裏/レビュー
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(C)Taisei Iwamoto連結役として完璧以上の働き
昨年の9月に初めて代表招集されてから約5カ月。一歩一歩、日本代表での地位を高めてきた毎熊晟矢は、アジアカップのラウンド16・バーレーン戦のピッチに立っていた。グループステージ第3戦となったインドネシア戦で得た先発のチャンスをしっかりとモノにし、自身の力を表現することでアピールに成功したからこそ掴んだ舞台。ここで自分に何ができるかワクワクしていた。
「決勝トーナメントでもどんどん自分の力を出していきたいなと。グループステージより厳しい戦いになると思いますし、相手のレベルも高くなってくると思う。そういった時にうまくいかない時もあると思いますけど、自分がどれだけやれるかが楽しみです」
迎えたバーレーン戦。右サイドで人一倍、存在感を放つ毎熊がいた。立ち上がりから堂安律とうまく連携しながら攻守にアグレッシブな姿勢を見せていくと、状況を見ながら中に入ったり、外に出たりしつつビルドアップの連結役として機能。何度もボールに触りながら攻撃の打開を図った。
31分には先制点の起点となる。「相手に1本打たれたあと、モニターに(枠内シュート数が)1-0と出ていてシュートを打てていないんだなと感じた」と振り返る毎熊は、得意のインナーラップで中央のスペースに入っていくと、「相手も後ろに重かったので、中のスペースで受けたら打てるなと」思い切りのいいミドルシュート。「軌道的には入ったと思った」と苦笑いしたシュートは惜しくも左ポストに阻まれたが、その跳ね返りを堂安律が決めて日本に先制点がもたらされた。
このシーンをきっかけにさらに積極的なプレーを披露していく毎熊は、堂安や久保建英とうまく絡みながらサイドを起点に攻撃。わずかにオフサイドになってしまったが上田綺世へ見事なスルーパスを通したり、「彼の個人技で決めてくれた」と謙遜した3点目となる上田のゴールをアシストするなど存在感を放ち続けた。
(C)Taisei Iwamoto「どこでやるかではなく何をやるか」
代表でのデビュー戦を含めともにピッチに立つ回数の多い久保は、右サイドに入る堂安の名前も出しながら「僕も結構わがままなタイプですし、堂安選手も見てわかるようにわがままなタイプな中、それに毎熊選手がうまく合わせてくれている」と毎熊とのプレーのしやすさを表現。また、現在の代表チームには欧州リーグで活躍する選手が多い中で、Jリーグのセレッソ大阪でプレーしながらもクオリティの高さを示し続ける毎熊について思いを口にした。
「彼はすごくいい選手で、サッカーを知っている人なら知っているほどわかると思う。よく海外組、国内組と言いますけど、彼のような選手がいることで、どこでやるかではなく何をやるかというのが、日本代表に選ばれるには大事なんだよというのを、日本でやっている選手にも他の国でやっている選手にも示してくれていると思います」
近年、海外組が増えた影響で国内リーグの選手たちが代表で主軸を担うことはなかなかない。しかし、Jリーグでプレーしていてもこういった大きな舞台で活躍できることを示したのは、他のJリーガーに勇気や希望を与えたことだろう。
代表に入り始めてからまだ5カ月。「最初に選ばれた時はなんとかアピールしないといけないという形でしたけど、今は日の丸を背負う以上負けられない、勝利に貢献しなければいけないというまた違うプレッシャーを感じながらやっている」と話す毎熊は、そういう状況でも「ミスの恐れやプレッシャーもありますけど、それ以上にゲームの流れだったり、味方の状況や相手の状況を考えてプレーすることができている」と視線を前に向けた。
対戦相手や味方からさまざまなものを吸収しながら成長を続ける毎熊は、これからも海外組、国内組関係なくチームの力になれることを証明していく。
