日本代表は20日のキリンチャレンジカップ2023でペルー代表と対戦する。カタール・ワールドカップ(W杯)後の2度目の活動にて、初勝利を掴んだ新生森保ジャパン。大勝を収めたエルサルバドル戦をベースに、様々なトライが予想されている。【取材・文=河治良幸】
(C)Getty Images【日本代表|予想布陣】”左右の槍”三笘薫と伊東純也の生かし方がテーマに。6選手の大幅変更でも機能性の維持なるか
(C)GOALエルサルバドル戦から6人が変更へ
森保一監督が率いる日本代表は大阪の吹田スタジアムで、ペルーと対戦する。エルサルバドル戦はいきなり相手に退場者が出る展開となり、結果6-0で勝利したが、ペルーは韓国に1-0で勝利しており、ホームの親善試合と言っても簡単な試合にはならないだろう。しかも、韓国戦で出場停止だったディフェンスリーダーのザンブラーノが復帰予定であり、南米予選やコパ・アメリカで世界王者のアルゼンチンなどを苦しめてきた堅守を発揮してくるだろう。
そしてオフェンスは従来の中心選手であるカリージョこそいないが、39歳のゲレーロを筆頭に決め手のあるアタッカーを揃えている。中盤でボールを保持するスタイルではないが、アタッキングサードでは個の仕掛けだけでなく、素早いコンビネーションを駆使して中央を破ろうとしてくる。日本のディフェンスラインにも圧力のある攻撃となるだろう。
日本はエルサルバドル戦に続き4-1-4-1で臨むことが予想される。2日前までの情報を整理するとスタメン変更が見込まれるのは6ポジションで、GK中村航輔、フィールドは左サイドバックに伊藤洋輝、アンカーに遠藤航、右インサイドハーフが鎌田大地、右サイドに伊東純也、1トップにエルサルバドル戦で得点した古橋亨梧が入れ替わりでスタメンに入るとみられる。
つまりディフェンスラインの菅原由勢と板倉滉、谷口彰悟、そして左インサイドハーフの旗手怜央、左サイドの三笘薫という5人の選手はエルサルバドル戦から引き続きスタメンということになる。ただし、エルサルバドル戦は後半途中の出場だった川辺駿や浅野拓磨、そして出番のなかった前田大然にもチャンスが与えられる可能性もある。また本来センターバックがメインの伊藤洋輝は途中でポジションが移るかもしれない。
テーマは”左右の槍”の生かし方
エルサルバドル戦が早い時間帯から相手が10人になったことで、4-4-1の相手に対して、戦術的な狙いがはっきりしにくくなった部分があった。それでも久保建英、堂安律、菅原由勢が近めの距離で絡む右サイドと左の三笘薫を中心に旗手怜央、さらに大外から森下龍矢が積極的に追い越す左側ではメカニズムと個人戦術の組み合わせで違いも見られた。さらに言えば1トップが上田綺世から古橋亨梧に代わることで、前にボールを入れていくタイミングなども変わるはずだ。
相手が10人になった影響はさておき、日本は4バックといっても左の森下が高めの位置に上がり、後ろでセンターバックの2枚に菅原が加わる”3枚回し”でビルドアップすることが多かった。そうすることで、アンカーの守田があまり後ろに落ちずに中盤の底を維持して、旗手や堂安は前めのチャンスメークに関わることができた。左サイドバックに伊藤洋輝が入ることになれば、左寄りの”3枚回し”をベースとして、菅原が高めの位置を取る割合が高くなるかもしれない。
二列目に関しては堂安律が鎌田大地、久保建英が伊東に変わることで、二人が近い距離で連動するというより、鎌田大地が少し引き気味で遠藤航と起点を作り、右サイドの伊東純也を高い位置で仕掛けさせるシーンが増えれば、チームの攻撃は縦方向に迫力を増すはず。ただし、鎌田も推進力のある攻め上がりを備えているので、左の旗手とともにタイミングよくそれを繰り出せれば、伊東純也と左の三笘薫による縦の突破に偏ることなく、中央とサイドを使い分けることができるだろう。
伊東と三笘がスタートから左右に並ぶ”左右の槍”はカタールまではなかなか無かったが、3年後の北中米W杯に向けては三笘がより主力として構想される中で、使われることが増えてくると考えられる。もちろん伊東にしても三笘にしても、所属クラブではインサイドに流れて絡むプレーもしており、闇雲にドリブルで仕掛けるサイドアタッカーではないが、より彼らの武器を生かすために周りがどうリンクしていくか。そして中央でどうアクセントを付けるかは大きなテーマになるだろう。
そしてフィニッシュのところで古橋がどうラストパスやクロスを引き出していくのか。セルティックでは相手センターバックをいかに外すかをずっと磨いてきたというが、元々の持ち味である裏抜けもある。典型的なポストプレーヤーではない分、動き出しで相手ディフェンスを撹乱しながら、危険なフィニッシャーとなれるかどうか。
そうした11人のメカニズムに加えて、森保監督が限られた6枚の交代カードをどう切るかも注目される。先ほど書いたように川辺駿、浅野拓磨、前田大然などは少なくとも交代で出番を得られると見るが、エルサルバドル戦ではぶっつけでアンカーに入った伊藤敦樹や怪我から回復している川﨑颯太、もちろんスタメン組だった久保建英や堂安律もいる。
今回のアピールはドイツとの対戦が組まれている9月の代表活動に直結するとも見られるだけに、チームの勝利はもちろん、周囲との連携も含めた機能性という部分でも注目だ。
日本とペルーによる一戦は、20日の20:55に吹田スタジアムでキックオフを迎える。