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セリエA制覇のインテルを徹底採点!最高点は絶対的なルカク、期待外れはたった1人?

ロメル・ルカクが絶対的な主役を担い、ニコロ・バレッラとアレッサンドロ・バストーニは決定的な役割を果たした。ステファン・デ・フライとミラン・シュクリニアルは継続性を示し、マッテオ・ダルミアンとアレクシス・サンチェスは大一番で重要な仕事を成し遂げ、アントニオ・コンテはピッチサイドで大声を張り続け……。

インテルは最後の優勝から11年の年月を経て、再びセリエAのタイトルを獲得。祝杯をあげた。インテルの快進撃において、圧倒的な主役の座を担ったのは、ベルギー代表のエースストライカーであることは間違いない。しかし彼だけでなく、ラウタロ・マルティネスやバレッラも絶対的な役割を演じていた。守備陣も絶賛に値する。その一方で、守護神サミル・ハンダノヴィッチにはムラもみられた。唯一の落第はアレクサンダル・コラロフだろう。

今回は、11年ぶりにスクデットを獲得したインテルの2020-21シーズンを採点する。

文=レナート・マイサニ(『Goal』イタリア)

  • Samir Handanovic InterGetty Images

    サミル・ハンダノヴィッチ【7】

    特に後半の数試合において、いくつかのミスが目立った。インテルにおける“ハンダノヴィッチ派”と“反ハンダノヴィッチ派”による果てしない議論が再燃したと言える。しかし、ネラッズーリ(黒青の意味でインテルの愛称)の主将は常に、そのカリスマ性によって優れたメンバーで構成される3バックの守備陣を統率してきた。経験豊かなスロヴェニア人GKは3人に対し、幾度となく有益な指示を与えたほか、奇跡的なセービングを見せてチームを救った試合があったことも、忘れてはならない。
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  • Alessandro Bastoni InterGetty Images

    アレッサンドロ・バストーニ【8】

    今シーズンのインテルにおいて、プラスアルファの存在となったのが彼だろう。1999年生まれの若者がチームの強みになることを予想していた者は少なかったはず。カバーリングにおいて常に注意深く、ビルドアップにおいても貴重な貢献を見せた。彼の不意を衝く縦への展開には、1ゴール以上の価値があった。前半戦のユヴェントス戦におけるバレッラへのロングパスは、彼の今シーズンを象徴する瞬間と言える。
  • Danilo D'Ambrosio, Inter vs Shakhtar Donetsk, Europa League 2019-20Getty

    ダニーロ・ダンブロージオ【7】

    フィオレンティーナ戦の壮大な逆転劇において、決勝ゴールを決めたのは彼。出場機会は少なかったが、少ない時間でさらに2ゴールを決めてみせた。その後はひざの不調に悩まされた末、回復すると、今度は新型コロナウイルスに阻まれた。苦難のシーズンではあったが、これまで通り確かな実力が際立っていた。どこで起用してもハマる。どこでも非常によくフィットする選手だ。
  • Matteo Darmian Inter 2021Getty

    マッテオ・ダルミアン【7.5】

    シーズン開幕後に加入したダルミアン。なぜマンチェスター・ユナイテッドが数年前、彼をトリノから引き抜いたのかを思い出させてくれた。注意深く、正確でユーティリティ性があり、常に最後まであきらめない。さらに、3ゴールのうちの2ゴールは非常に重要な決勝点であるという充実した内容だった。
  • De Vrij - InterGetty Images

    ステファン・デ・フライ【8】

    オランダ人選手はもはや、現在のインテルにおける確固たる存在であると言える。一度も決定的なミスを犯さず、精彩を欠いた試合は5本指にも満たない。一方で、彼が決定的な役割を果たした試合はざっと見ても10試合ほどに及ぶ。これまでとは違い、ケガに苦しむこともなく、丸1年満喫できたシーズンだった。
  • Kolarov InterGetty Images

    アレクサンダル・コラロフ【5】

    本当に期待外れ。おそらく2020-21シーズンのインテルにおいて、彼が唯一の期待外れかもしれない。古巣ローマにおいても、3バックで起用された際にかなり失望させられたが、コンテも同ポジションで彼を起用した。フィオレンティーナ戦でのデビューは悲惨なものだったが、あろうことかインテルが敗れたミランとのダービーはそれを上回る悲惨さだった。彼のシーズンは事実上、この時点で終了。得点数「0」が今シーズンの多くを物語っている。
  • Milan Skriniar, Inter, 2020-21Getty

    ミラン・シュクリニアル【7.5】

    2020-21シーズンのインテルの強さを象徴するもう1人の選手だ。一時はコンテの構想外であるかと思われたが、スロヴァキア人DFは、与えられたチャンスを最大限に活かし、数シーズン前のような“越えられない壁”として復活した。
  • Nicolò Barella InterGetty Images

    ニコロ・バレッラ【8.5】

    主役の座を奪うルカクさえいなければ、おそらく彼がインテルのスクデットを飾る表紙に選ばれたことだろう。若手ではあるが、今シーズンも並外れた継続性を示し、さらには3ゴールも挙げてカンピオーネ(王者)らしいパフォーマンスを立て続けに見せた。
  • Eriksen InterGetty

    クリスティアン・エリクセン【7】

    シーズン前半は正真正銘の悪夢だった。爪痕を残すことができず、コンテの構想外に。ピッチに送り込まれた時は、たいてい試合終了間際のごくわずかな時間しか与えられなかった。しかし彼はあきらめず、反発もしなかった。ネラッズーリの首脳陣には放出要員とみなされたが、もう一度チャンスを与えられると、新たなポジションに適応。その座を手放すことはもうなかった。“スクデットをもたらすゴール”を決めた選手としても記憶に刻まれ、望みを叶えたことだろう。
  • HakimiGetty

    アクラフ・ハキミ【8】

    2019-20シーズンと2020-21シーズンのインテルの違いはおそらく、ほぼすべてここにある。ハキミがネラッズーリのあらゆるカウンターの担い手となったことだ。相手陣内でボールを受け取った際、冷静さを失うことは一度もなかった。一方で守備面において、弱点となることもまったくない。リーグ戦での7ゴールも少ないものではないだろう。
  • Gagliardini InterGetty

    ロベルト・ガリアルディーニ【6.5】

    先発でも途中出場でも、インテルにとって“12人目の選手”だった。コンテが彼を90分間、ベンチに置いたままにすることはほとんどなく、“本物のジョーカー”として起用され、常に良いプレーを見せた。
  • Ivan Perisic InterGetty Images

    イヴァン・ペリシッチ【6.5】

    彼のシーズンは複雑なものだった。キャリアにおいて長らく務めてきたポジションとは違う役割を求められたが、クロアチア人選手は開幕直後や2020年の年末にかけてやや苦労しながらも、偉大なプロフェッショナル精神と努力を見せた。得点はわずかに3ゴールだが、間違いなく彼の貢献は少なくない。
  • Stefano Sensi InterGetty Images

    ステファノ・センシ【6】

    シーズンのほぼ半分を負傷により棒に振った。それでもピッチに入れば、自身の任務をこなし、輝きはなかったかもしれないが、落ち度もなかった。
  • VidalGetty

    アルトゥーロ・ビダル【6】

    おそらくインテルのファンたちは、チリ代表MFにもっと多くを求めていたはずだが、彼はコンテの要求を満たすことにかなり苦戦した。それでも出場した23試合では、常に最後の1滴まで汗を流した。古巣ユヴェントスとの直接対決において決めたゴールはおそらく、今シーズンのパワーバランスに大きく影響を与えたことだろう。
  • Young InterGetty

    アシュリー・ヤング【6】

    サイド専門のイングランド人選手は、ギリギリ合格点。明らかに苦戦する姿が何度か見受けられたが、コンテのローテーションにおいて貴重な存在でもあった。確実に、もはや数年前のような選手ではないのだろうが、彼の経験値は、今シーズンのインテルにおいて重みがあるものだった。
  • Romelu Lukaku, Inter 2020-21Getty

    ロメル・ルカク【9】

    24ゴールを記録。そして、その多くが非常に重要な得点だった。アシストに空中戦、デュエルやボール奪取にと活躍し、叫び、また叫ぶ。ルカクはイタリア王者、インテルのリーダーとして君臨した。シーズン開幕からそのカリスマ性でチームをけん引。タイトル奪取の決定的瞬間においても、チームを裏切ることはなかった。ラウタロ・マルティネスとともに組んだ2トップは、近年のセリエAにおいて最上級の完璧なコンビだった。
  • Lautaro Martinez Inter AC Milan 2020-21Getty

    ラウタロ・マルティネス【8.5】

    ミランとのダービーで決めたドッピエッタ(1試合2得点)は、今シーズンの素晴らしいパフォーマンスを代表するものだろう。マウロ・イカルディの代役として静かにミラノへやって来たが、同胞であり友人のマウリートとは違い、スクデット獲得の喜びをかみしめることができた。彼のゴールは非常に重要ものばかりであったが、決して屈服しない勇士、疲れを知らぬ戦士であり、決して個人主義にとらわれず、常にチームのために働く青年にとってふさわしいご褒美であったと言える。
  • Alexis Sanchez Inter GenoaGetty Images

    アレクシス・サンチェス【7】

    初めて耳にする話ではないが、今年もまた、継続性を自身の強みとすることはできなかったようだ。しかしコンテに抜てきされれば、決して期待を裏切るようなパフォーマンスは見せなかった。勝利を収めたトリノ戦では、逆転劇を先導し、月曜開催のパルマ戦では、複雑な試合において勝利のドッピエッタを記録。さらにはヴェローナ戦のように、試合終盤から登場してチームのギアを変えてみせることも多かった。彼にはシーズンを通して、もっと多くを期待したいところではあるが、いずれにしても決定的な場面において正しいプレーを見つけ出すことができるのは、稀有な才能でもある。
  • Antonio Conte InterGetty Images

    アントニオ・コンテ【9】

    まずはあらゆる疑念を明らかにしておこう。採点はカンピオナートに限定されたものであり、今シーズンの全大会を総括したものではない。リーグ戦において、彼を非難すべき点はほとんどないか、おそらく皆無。あえて言えば、90分のエリクセン投入を何度か回避できた点くらいだろう。コンテはインテルのアイデンティティを再構築したほか、バストーニやバレッラをスター選手へと変貌させ、ルカクの破壊力をさらに強力なものにした。そしてチームを守るためであるならば、自ら批判の矢面に立つことも少なくなかった。今回のスクデットは、彼による功績が大部分であり、それを否定することはできないはずだ。
  • Andrea Ranocchia InterGetty Images

    ダニエレ・パデッリ、アンドレア・ピナモンティ、ヨヌーツ・ラドゥ、アンドレア・ラノッキア、マティアス・ベシーノ…採点なし

    2人のGKやベシーノとピナモンティも数試合に顔を見せただけ。ラノッキアは必要に応じてチームに貢献したが、出場数はわずか7試合にとどまった。