Manchester City FC v Manchester United FC - Premier LeagueGetty Images Sport

「息子の一歩目を見逃したんだ」アントニーが明かすマンチェスター・ユナイテッド在籍時の苦悩

  • アントニーが2022年8月にアヤックスから9400万ユーロでマンチェスター・ユナイテッドに加入した際、大きな期待があった。

    しかし夢はすぐに色あせた。

    2シーズンでプレミアリーグ90試合に出場しながらわずか12得点5アシストに終わり、批判に晒されながら移籍金の正当性を証明できずに苦しんだ。その後、プロとしても個人としても完全に孤立する時期が続いたという。

    『ESPNブラジル』のインタビューで、アントニーはレアル・ベティス(ラ・リーガ)移籍前にトップチームから疎外された経緯を明かした。

    「7月14日に合流したが、1カ月以上も別メニューで練習させられた。非常に複雑な状況だった。40日以上もホテルに滞在したんだ。父と二人で待機していた。チームが午前中に練習する中、僕は午後5時にトレーニングしていた」

    「敬意の欠如、いや礼儀すら欠けていると感じた。誰も『おはよう』も『こんにちは』も言わない。それすらなかった」

    この孤立は、アントニーの忍耐と信念を試すものだったという。

    「自分を試す瞬間だった。信じ続けること。疑念が頭をよぎっても、良いことが起きると確信していた」

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  • Newcastle United v Manchester United - Premier LeagueGetty Images Sport

    ピッチ外でもアントニーの葛藤は深いものとなった。

    アントニーはイングランドでの生活によって故郷を離れ、家族の大切な瞬間を逃したことについて打ち明けた。

    「息子の一歩目を見逃したんだ。それは本当につらかった」と語り、ユナイテッド在籍中最も痛ましい記憶だと振り返った。

    それでも家族こそが心の支えとだったという。

    「彼らはこう言ってくれた。『いまはつらいけど、ソファで寝ていたスラム時代よりマシだ』と。その言葉が物事の良い面を見る助けになった」

  • アントニーのオールド・トラッフォードでの章は失望に終わったが、それが自分をより良く形作ったと信じている。

    「もしもすぐに爆発的な成功を収めていたら、後で自分を見失っていたかもしれない。あの過程を経る必要があった。いまの自分はより良い人間、より良い父親だと感じている」

    また、同選手はあまり知られていない事実も明かした。

    レッドデビルズ加入前、リヴァプール移籍が目前だったというのだ。

    「ユナイテッドと契約する直前まで、リヴァプールと非常に近いところまで行っていた。だが、運命はそうあるべき道へと導いたんだ」

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    アントニーの復活劇はスペインで幕を開けた。

    昨季後半にレアル・ベティスへレンタル移籍したことで、かつて欧州で最も期待されたアントニーは再び輝きだした。

    26試合で9得点5アシストを記録し、ベティスのカンファレンスリーグ決勝進出に貢献したのだ。

    その活躍に感銘を受けたベティスは今夏、移籍を完全移籍に切り替え、2030年までの契約でアントニーを約2500万ユーロで獲得。マンチェスター・ユナイテッドは売却額配条項を保持しており、アントニーは既に今季全大会で通算5試合に出場している。