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リヴァプールの大苦戦、SDはどれほど責任を負うべき?6つの重要な決断を評価:成功の裏で「すべてが間違い」だった判断も

先週金曜日、マーク・グエイのマンチェスター・シティ移籍が決定した。すると一部のリヴァプールファンは、昨夏にクリスタル・パレスDFの獲得を決められなかったことでリチャード・ヒューズSD(スポーツダイレクター)を非難していた。しかしその後、22日のマルセイユ戦で昨夏獲得した3選手が活躍したことで、今度は別のサポーターが「彼の手腕は今後数年高く評価される」と主張し始めている。

では、真実はどこにあるのだろうか? イングランドフットボール界で最も厳しい監視下に置かれる立場において、ヒューズはどう評価されるべきなのだろうか? 2024年6月に就任した彼がリヴァプールで行った重要な決断・判断を1つずつ検証していく。

  • Liverpool FC v Real Betis - Pre-Season FriendlyGetty Images Sport

    スロットの招聘

    ヒューズがリヴァプールに正式加入したのは2024年6月1日だったが、そのずっと前から活動は始まっていた。3月に就任が決まった瞬間から、退任するユルゲン・クロップの後任として最適な指揮官探しに奔走。数週間にわたる綿密な調査の末、ヒューズは一見不可能に思えるこの任務に最適な人物として、アルネ・スロットを見出した。

    7月5日のスロット就任会見の際、ヒューズは「アルネに惹かれた哲学とプレースタイルは、当然のことながら主観的なフットボール観とデータの両方に基づいている。あらゆる指標において、アルネが率いるフェイエノールトのチームは非常に優れた結果を残していた」と語っている。

    「フェイエノールトで実践した攻撃的なスタイルは、知性と情熱に満ちていた。これらは全て、リヴァプールが求める資質である。現在の戦力、サポーター、クラブ全体と非常に相性が良いと思っている」

    ヒューズの指摘は正しかった。スロットは就任初年度でリヴァプールをプレミアリーグ2度目の優勝に導いたのだ。しかも補強はわずか1人、ほとんど出場機会すら得られなかったフェデリコ・キエーザだけだ。

    結論:現状の問題を考慮してもなお、驚異的な成功

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  • Rayo Vallecano v Real Sociedad - La Liga EA SportsGetty Images Sport

    2024-25シーズンの補強

    2024-25シーズン全体を通じて、獲得した選手はキエーザのみ。これは優勝したことによって正当化されている。しかし、シーズン終盤の数カ月間、チームが限界ギリギリで戦っていた事実を覆い隠すべきではない。

    春までに優勝をほぼ確実なものにできたのは少し幸運だったと言える。3月のわずか5日間で、チャンピオンズリーグのラウンド16でパリ・サンジェルマンに敗れ、カラバオカップの決勝ではニューカッスルに敗れたが、チームに漂う疲労感はもう隠せないものとなっている。

    もしもマルティン・スビメンディともう1人のディフェンダーを獲得できていたら……と考えずにはいられない。もちろん、スビメンディの件に関してはヒューズを過度に責めることは難しいし、その判断によってライアン・フラーフェンベルフが覚醒したのも事実だ。しかしスペイン代表MFを逃したことは、特に今季のタイトルレースにおいて決定的な差となっている。

    またプランBがなかったことも、フラーフェンベルフを酷使することに繋がっている。それはスロットも認めたとおりだ。その結果として、このオランダ代表MFはシーズン終盤に疲れ果てていた。スカッド層がもう少し厚かったならば、タイトルは1つではなく3つになっていたかもしれない。

    結論:チャンスを活かせなかったことは失敗

  • FBL-EUR-C1-LIVERPOOL-REAL MADRIDAFP

    主力3名の契約

    ヒューズが正式に就任したとき、リヴァプールで最も重要な3選手、フィルジル・ファン・ダイク、モハメド・サラー、トレント・アレクサンダー=アーノルドは契約最終年を迎えようとしていた。この状況は彼のせいではないが、この問題をどう解決しようとしたかを評価することはできる。

    サラーとファン・ダイクの両選手がアンフィールド残留を望んでいることは当初から明らかだったが、ベテランの域に達する2人に有利な新契約を渋ったことは理解できる。だが、舞台裏で何が起こっていたかに関わらず、交渉の進捗状況についてはより透明性を高めるべきだっただろう。情報が不足していたことにより、余計な雑音が膨れ上がったのも事実だからだ。スロットは会見で何度も、チームの象徴である2人が残留するかどうかを問われ続けた。この混乱がタイトルレースに影響しなかったのは不思議である。特にアレクサンダー=アーノルド決断は悪影響を与える可能性もあった。

    それでも最終的には、サラーとファン・ダイクとの契約延長を実現できたことは称えるべきである。この2人の契約が賢明だったかどうかは、おそらく今シーズンが終わって初めて明らかになるだろう。それでも当時、そしておそらく今も、これは間違いなく理にかなっていた。2人とも契約延長に値する十分な成果を上げ、未だ重要な選手であり続けている。また仮にサラーが夏に退団するとしても、サウジ・プロリーグからかなりの移籍金を得られるはずだ。

    一方アレクサンダー=アーノルドに関しては、ヒューズができることはほとんどなかった。レアル・マドリー加入会見で流暢なスペイン語を話している姿を見れば、ベルナベウへの移籍は随分前から決まっていたのだろう。また、フリー移籍が決定的だった選手から1000万ポンドを得られたことは、見返りとして悪くない。

    結論:判断は良かったが、必要以上のドラマも生み出した

  • Liverpool v Burnley - Premier LeagueGetty Images Sport

    歴史的な大型補強

    そして2025年夏、かつてアンフィールドではあり得なかった夏が訪れる。プレミアリーグ優勝の興奮冷めやらぬ中、サポーターはフェンウェイ・スポーツ・グループ(FSG)が次々と超高額移籍を成立させるのを見て、気が狂ってもおかしくはなかった。

    まず、アレクサンダー=アーノルドが正式に退団したその日にジェレミー・フリンポンが加入。そして誰も予想していなかったが、フロリアン・ヴィルツの獲得を決めている。さらに6月末には、ボーンマスで評価を高めたミロシュ・ケルケズと契約。さらにニューカッスルとのウーゴ・エキティケ争奪戦を制した。それにとどまらず、移籍市場最終日にはアレクサンデル・イサクまで獲得することに成功させた。ヒューズが揃えたこのチームは、レアル・マドリーの「ガラクティコス」に匹敵するとまで評価された。サポーターはこの結果に大満足だっただろう。

    しかし蓋を開けてみると、9月~11月にかけて公式戦12試合で9敗というクラブ史上最悪の結果を記録。連覇が厳しくなったことで、この大型補強は徹底的に批判されることになる。特にイサクに関しては、移籍当時からその必要性が疑問視されていたこともあり、強烈な批判の的になった。またルイス・ディアスの代役として、アントワーヌ・セメンヨらを獲得すべきだったとの声は今も根強い。

    それでも最近では、ヴィルツがようやく自身の価値を証明しつつあり、フリンポンやケルケズも求められるレベルに届きそうなサインを見せている。この3選手は、マルセイユ戦で初めて同時に輝いていた。イサクに関して完全復活は来季に持ち越しかもしれないが、少なくともこれ以上マイナスになることは想像しがたい。この歴史的な大型補強については、これからようやく評価できるかもしれない。

    結論:最終的には成功と言えるかも

  • Marc Guehi Man CityManchester City

    グエイの賭け

    だが、イサクやヴィルツがいくら活躍しようとも、彼らに超高額を投じた一方でグエイの獲得に数百万ポンドを節約しようとした判断は、重大な誤りだった。

    リヴァプールは今季開幕2試合を終えた時点で、イブラヒマ・コナテの代役、あるいは代替選手を獲得することが最優先課題であることは明白だった。フランス代表DFはボーンマス戦とニューカッスル戦で苦しみ、また契約満了も迫っている。そんな彼に依存することを選んだ代償はあまりに大きかった。

    確かに、ジョヴァンニ・レオーニは将来有望な選手である。9月のデビュー後、重傷を負ってしまったのは本当に不運だった。それでもカラバオカップが初出場だったことからも、主力選手と考えていたわけではないだろう。ジョー・ゴメスは残ったが、いつケガを抱えても不思議ではない状況だ。結果として、今のリヴァプールにはコナテ&ファン・ダイクを休ませることすら不可能になっている。もし仮に、移籍期限日よりもずっと前に4000万ポンドという割安な金額を支払ってグエイを獲得していれば、こんな危機的状況は回避できたはずである。

    そして、シーズン終了を待ってフリーで獲得するという判断も、見事に裏目に出ている。結果としてライバル、マンチェスター・シティに引き抜かれてしまった。グエイに関しては、ヒューズの判断はすべて間違っていたと言える。

    結論:すべてが間違い

  • Olympique de Marseille v Liverpool FC - UEFA Champions League 2025/26 League Phase MD7Getty Images Sport

    スロットの続投

    現状、リヴァプールが冬の移籍市場で補強する可能性は低い。昨夏に4億5000万ポンドを投じたことを考慮すれば、当然の判断だ。しかしスロットが改めて語ったように、全選手が万全の状態であっても、ライバルクラブほどの選手層を持っていない。だからこそ、現有戦力で戦うという決断は勇気のいる選択だ。

    それでも、ヒューズのこの判断に驚きはない。与えられた資源を最大限に活用する能力こそ、ヒューズがスロットを推した最大の理由の1つであり、彼への信頼は直近の結果によって揺らいでいない。それがリヴァプールだ。もしこれがチェルシーであれば、おそらくスロットはもういないだろう。

    リヴァプールは忍耐と慎重な判断を行ってきたクラブだ。伝統的に指揮官へ時間を与えるクラブであり、ヒューズはマルセイユ戦が転機になることを願っているはずだ。スロットと彼は運命共同体でもある。

    ヒューズの現行契約は残り18カ月。今季をどう終えるかが、彼の契約更新を左右するだろう。FAカップ優勝、チャンピオンズリーグでの躍進も望ましい。だが、最も重要かつ絶対に逃せないのは、プレミアリーグトップ4フィニッシュである。

    結論:シーズン終了後に判断

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