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なぜフランスはこんなにひどいのか?デシャンが解決すべき6つの問題

ポーランド戦を1-1で引き分けた後、フランス代表のディディエ・デシャン監督はこう言った。「新しい戦いが始まろうとしている。グループステージを突破しただけでは、今後どうなるかはわからない」。

もちろん、まったくその通りだ。EURO2016ではグループステージで1勝もできなかったポルトガルが最終的に優勝した。その反対に、2008年にイタリア、フランス、ルーマニアを見事に下して全勝となったオランダが、準々決勝でロシアにまさかの敗戦を喫している。

しかしながら、グループステージの結果が、決勝トーナメントに進出した各チームがどう仕上がっているかを見るのに絶好の要素であることは否定できない。今大会の優勝候補に挙げられていたフランスが、その期待に応えられそうな戦いができていないという事実を隠すことはできないのだ。

フランス代表はひどい。イングランドと同じくらいひどい。実際、スリー・ライオンズが眠気を誘うようなサッカーをしていなかったら、フランスは現時点でもっとずっと辛辣な目を向けられていただろう。なにしろ、ガレス・サウスゲート監督のチームと違い、フランスは無様なプレーをした報いとして、決勝トーナメントで厳しい山に入ってしまったのだから。

フランスは、どんな時でも――特に最も困難な時にでも――必ず勝利への道を見つけられそうなチームであり、最終的には物事がうまく行くようになるのではないかという推測があるのは理解できる。ただし、フランスが2大会連続でEUROのベスト16で敗退することはないという保証は、まったくない。グループステージが散々だったことを受けて、デシャン監督が解決すべき問題はいくつもある。

  • Dayot Upamecano France Poland Euro 2024Getty

    アクシデントを呼ぶ男

    奇妙なことに、デシャン監督は、長らくウィリアム・サリバを守備の要にすることを躊躇し、ダヨ・ウパメカノの起用に固執していた。当然のことながら、このミスの多いバイエルン・ミュンヘンDFを妄信したツケがポーランド戦で回ってきて、ウパメカノが献上したPKのせいでフランスはグループDを首位で突破することができなかった。

    もちろん、リュカ・エルナンデスのケガのためにデシャン監督には選択肢が限られていたし、イブラヒマ・コナテは昨シーズン終盤、リヴァプールでの先発の座を事実上ジャレル・クアンサーに譲っていたが、ウパメカノはずいぶん前から典型的な「アクシデントを呼ぶ男」だった。

    実際、バイエルンでトーマス・トゥヘル監督が好んでセンターバックに起用するコンビがキム・ミンジェとエリック・ダイアーであることは確かで、チャンピオンズリーグの決勝トーナメントのアーセナル戦とレアル・マドリー戦でウパメカノがプレーした時間は1分ほどしかなかった。

    だから、デシャン監督がベルギー戦でウパメカノを起用するかどうかは、大きな決断となるだろう。そうなる可能性は高いが、そうなればミスが生まれる可能性はさらに高くなるだろう。

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  • Rabiot Tchouameni France GFXGetty Images

    ラビオとチュアメニの苦悩

    アドリアン・ラビオは自信喪失の危機に陥っているだろうか。引き分けだったオランダ戦では奇妙な瞬間があった。MFラビオは、自分でシュートを打つべきだった時にアントワーヌ・グリーズマンへパスをしようとしたのである。

    それは、それまでのラビオの意思決定のまずさを象徴するようなプレーだった。それまでは決して悪くなかった――何度もボールを取り返したり、ボールを動かし続け、大半のチームメイトよりも多くのチャンスを作っていた。とは言え、2022年のワールドカップでフランスを決勝まで導いた中心選手だった頃の、ボックス・トゥ・ボックスのキレ味鋭いMFだった姿は失われてしまっていた。

    そんなラビオの苦悩は、オーレリアン・チュアメニにケガの影響が明らかに残る中、最悪の時期に表れてしまった。MFチュアメニは守備ではかなり強力に見えたが、ポゼッションに関しては理解できなくもないが慎重であるがゆえに、デシャン監督に、もっと推進力のあるパスを出せる選手、たとえば並外れた才能のあるウォーレン・ザイール=エメリやユスフ・フォファナを起用することや、活力を取り戻したエンゴロ・カンテを、このベテランが最高のプレーを発揮できる場所である、4バックの前に戻すことを考えさせることとなった。

    とにかく、何かをしなければならない。これまでのところカンテが今大会のフランス代表の中で最高の選手である一方、中盤の構成はまったく正しくないのだから。

  • Antoine Griezmann Netherlands France Euro 2024 21062024Getty

    偉大なるグリーズマンの不調

    中盤の機能不全の一因がグリーズマンにあるのは明らかだ。2022年のワールドカップではフランスの英雄だったグリーズマンは、通常は完璧なつなぎ役で、背番号6のようなハードワークのできる創造的な背番号10であるが、ドイツでのプレーは絶頂期に遠く及ばない。

    ゴール前で無駄な動きすることが多く、特にオランダ戦ではそうだった。ポゼッションもよくない。だから、ポーランド戦ではベンチスタートとなったのは無理もない。しかしながら、彼の不在はデシャン監督のチームにとって彼が重要な選手であることを強調しただけだった。フランスはサイド攻撃で敵に恐怖を与え続けたかもしれないが、中央でグリーズマンがもたらしていた狡猾さやエネルギッシュさが著しく欠けていた。

    おそらくグリーズマンは疲れているのだろう。長いシーズンの終盤に33歳が疲労で苦労するのは当然のことだ。それがプレーに大きく影響することは間違いない。だが、フランスがベルギーに勝つためには、グリーズマンが先発メンバーに戻り、あの輝かしい絶頂期に近いプレーをすることが必要だ。

  • Ousmane Dembele France Euro 2024Getty

    デンベレを巡るジレンマは変わらず

    ウスマン・ デンベレの問題は、どう解決すればいいのか。おそらく、解決しないだろうし、解決できないだろう。27歳のデンベレが変わることはありえない。

    ポーランド戦で、デンベレは非常に危険な選手になりうることを示した。何度もヤクブ・キヴィオルの脇を強烈に脅かし、ついにボールを奪おうとしたものの足が届かなかったキヴィオルに倒されてPKを獲得。これを決めたキリアン・エンバペがフランスに先制点をもたらした。

    だが、デンベレは、敵を倒した後、チームメイトの誰にバスをするかの選択を間違うことがしばしばあった。前半には、カンテからゴール前でパスを受けながら決めきれず、フランスの絶好のチャンスを逃してしまってもいた。この結果、デンベレの主要大会での初ゴールはまたもお預けとなったのである。 

    そう、デシャン監督は今や、デンベレがチームの役に立つと言うより害をなしていると考えているのではないだろうか。デンベレはすでに、3試合で47回もボールを失っている。フランス代表のどの選手よりも多いのだ。右サイドに別の選手を起用することを監督が考える時期は来ている。

  • Olivier Giroud Marcus Thuram France Euro 2024 GFX Getty

    顕著な問題

    オリヴィエ・ジルーがまた主要大会に出られるというのはフランスにとって希望であったが、あまりプレーしていないところを見ると、デシャン監督は37歳のジルーをもはや信頼できないと思っているのかもしれない。少なくとも先発としては。

    フランスの歴代最多得点選手であるジルーは、これまでのところわずか45分しかプレーしていない。マルクス・テュラムが、引き分けとなったオランダ戦で華々しく前線でプレーしていたのとは対照的だ。ポーランド戦でもジルーは左ウイングとしてでさえ先発に起用されず、途中出場となった。

    デシャン監督は、フォワードがシュートをミスっても気にしないと言っている。チームがチャンスを作れないことの方が、よほど心配なのだ。だが、フランスが、ドイツでまだ一度も流れの中から得点できていないのも事実である。2022年ワールドカップではフランスより多くの得点を挙げたチームはいなかったことを考えると、かなり衝撃的だ。

  • Kylian Mbappe mask France Euro 2024Getty

    エンバペをどうする

    フランスが今大会を爆走できるかどうかは、エンバペを最大限活用できるかどうかにかかっているのは明らかである。でも、どうやって?

    レアル・マドリー行きが決まっているスーパースターは、まだドイツで絶好調には至っていないが、情状酌量の余地はある。その主なものは、オーストリア戦で鼻を骨折したことで、そのためオランダ戦には出場できなかった。その試合がスコアレスドローだったことは、彼がフランス代表にとってどれほど重要な選手であるかを強調している。

    事実、エンバペは、必然的にフランスがこれまでに挙げたわずか2得点の両方に絡んでいる。オーストリアのマックス・ウーバーのヘディングが味方GKの背後のゴールに吸いこまれたのは、エンバペがペナルティーエリアに侵入して上げたクロスのためだったし、ポーランド戦で決めたPKは、エンバペのいつもどおりの自信に満ちた落ち着きが生んだものだった。

    それでも疑問は残る。骨折した鼻をかばうマスクをかぶったエンバペをどこに配置するのがベストなのか。エンバペは中盤で先発しても、必ずワイドに流れる。実際、ポーランド戦でエンバペが最高に危険だった瞬間はすべて、非常にエキサイティングなブラッドリー・バルコラや、サッカー界最高の攻撃的左サイドバックであるテオ・エルナンデスとの連携から生まれていた。

    エンバペを大好きな左サイドで起用し、右にバルコラ、中央にジルーを配置すべきだという議論がある。ジルーにはもはや90分フル出場は難しいだろうが、少なくともフランスの攻撃の中心になれるし、我々はすでに、エンバペが、MLS行きが決まっている背番号9とプレーするのが大好きなことを知っている。

    いずれにせよ、デシャン監督が用意周到にしなければならないことは明らかだ。監督は常に、派手さよりも質実剛健を好んできた。つまり、選手起用や戦術を大きく変える可能性は非常に低い。

    だが、新たにトーナメントが始まろうとする今、フランスが勝ち進んでいきたいならば、グループステージで見せたよりもずっと大きな自由や流動性、勇気、自信を持ってプレーすることが必要である。