Erling Haaland(C)Getty Images

たった53万円が巨大な“損失”を生むことに?15歳のハーランド獲得を見送ったクラブとは…

マンチェスター・シティ加入からすぐさま驚異的な得点力を発揮し、世界最高峰のストライカーとして活躍を続けるアーリング・ハーランド。そんな25歳のノルウェー代表だが、マンチェスター・C加入前のクラブ、ドルトムントでのデビュー戦も圧巻だった。

2020年1月にドルトムントへ加入し、デビュー戦は敵地でのアウクスブルク戦。チームは1-3とビハインドを追っていた。しかし途中出場した当時19歳のストライカーは、わずかな時間でハットトリックを達成。5-3の逆転勝利へと導いている。そのまま半シーズンの17試合で13ゴールを奪い、ドイツ国中に鮮烈なインパクトを与えた。

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    トライアルを受けた過去

    そんなハーランドだが、ブンデスリーガデビューはもっと早く実現していた可能性もある。

    2016年、当時ホッフェンハイムのスカウト責任者であったミヒャエル・ムッツェル氏は、ブリンFKに所属していた15歳のハーランドをU-17チームのトライアルトレーニングに招待している。

    そこでハーランドはやはり印象的なプレーを見せ、ホッフェンハイムのユースアカデミーは彼に感銘を受けていた。しかし『Sport Bild』によると、たった3000ユーロ(約53万円)という金額の差が原因で移籍が実現しなかったという。

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    3000ユーロの差

    ハーランド側は月額5000ユーロ(約90万円)を要求していたのに対し、当時のホッフェンハイムはユース選手たちの上限を月額2000ユーロ(約36万円)に設定していた。これはどんなに才能に溢れた期待の選手であろうと、超えるべき金額ではないと判断してのことだった。結果としてこの金額差により、契約はまとまらなかったようだ。

    当時のホッフェンハイムの責任者が、ハーランドの驚異的なキャリアを少しでも予想できていたならば、特例を認めていたかもしれない。この3000ユーロのために、彼らが将来的に負うことになった“損失”は計り知れないだろう。

    一方のハーランドは、この契約破談を後悔はしていない。『SoccerBible』のインタビューで、「今になって考えると、僕にとって良いことだったと思う。これまでのキャリアは完璧だからね。故郷のクラブに残ったのは良かったよ」と振り返っている。

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    世界的なスーパースターへ

    ハーランドはその後、ブリンFKでさらに1年間プレーし、モルでFKへと移籍。そこでオーレ・グンナー・ソルスクジャー監督の下プロデビューを飾ると、2年後にはザルツブルクへとステップアップ。27試合29ゴールと驚異的な得点力を見せつけ、2020年1月に2000万ユーロでドルトムントへと加入している。そして2022年、マンチェスター・シティへと完全移籍を果たした。

    マンチェスター・シティでの159試合でネットを揺らした回数は「141」。2度のプレミアリーグ制覇に悲願のチャンピオンズリーグ優勝までもたらした。今季はさらにギアを上げ、開幕13試合で17ゴールと、常人には理解できないペースでゴールを積み重ねている。そして彼の得点力は、あと10年は衰えることがなさそうだ。