England snubbed XI

イングランド代表に呼ぶべき選手は?EURO2024当落線上の11人…スターリングやホワイトも

イタリアやウクライナと難敵揃いのグループCに入った“スリー・ライオンズ”。しかし予想されたほど難しい戦いを強いられることなく、早々に本大会出場を決めた。首位通過でポッド1に入ることは確実で、イタリアとの決勝でPK戦の末に敗れた前回大会の雪辱を果たしにいく。

来年の本大会へ挑むイングランドだが、フランスを除けば彼らほど層の厚いチームはない。ガレス・サウスゲート監督は、各ポジションで3人以上から選択することができそうだ。デイヴィッド・ベッカムやウェイン・ルーニー以来、最も才能に恵まれた世代であることは間違いない。

しかし続々と才能あふれる選手が育つ一方で、大会に連れていけるメンバーの枠が大きく変わることはない。11月のインターナショナルウィークでも、指揮官の招集メンバーは大きな注目を集めた。主力の一部がケガで外れているにも関わらず、好調の選手が選出されなかったことで批判の声すら上がっている。それは本大会でも同様だろう。何人かのスターは、確実に出場を逃すことになる。

EURO2024開幕まで残り期間はわずか。今回は、イングランド代表で各ポジションの当落線上メンバーでスタメンを組んでみた。

文=マット・オコナー=シンプソン

  • Nick Pope Newcastle 2023-24Getty Images

    GK:ニック・ポープ(ニューカッスル)

    ポープに対するサウスゲート監督の扱いは、控えめに言っても奇妙だ。今季はチャンピオンズリーグにも出場するなど豊富な経験を積んでいるし、それが代表チームにも良い影響を与えるはずだったが、昨年3月から一度も呼ばれていない。アーロン・ラムズデールはアーセナルで出番を失い、最近代わりに招集されているサム・ジョンストンも目立ったシーズンを送っているとは言えないだろう。ジョーダン・ピックフォードのバックアッパーとして、31歳守護神は適切に見える。だが、来夏ドイツ行きの飛行機に乗る可能性はますます低くなっている。

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  • Reece James EnglandGetty Images

    右サイドバック:リース・ジェームズ(チェルシー)

    オールラウンドな能力を評価すれば、ジェームズはイングランド最高の右サイドバックだろう。しかし、フィットネスの問題で最近も招集外に。指揮官は「(ジェームズの前には)多くの才能溢れる選手がいて、リスクもある。EUROまであと1チームしかない。それは彼も理解している」と語っている。おそらく、右サイドバックはイングランドで最も競争の激しいポジションだ。このままコンディションを整えることができなければ……もうあまり時間はない。

  • Ben White Arsenal 2023-24Getty

    センターバック:ベン・ホワイト(アーセナル)

    ホワイトは現チームに最適な存在なのか? サウスゲートは「そうだと思うよ」と答えたが、「ベンはアーセナルで非常に堅実なプレーを見せている。サイドバックとは違うプロフィールだね。実際は、サイドバックでプレーするセンターバックだ。クラブで良い仕事をしているのは確かだが、他の数選手の後ろにいる」と語っている。2022年のワールドカップで途中離脱した後、指揮官は関係性に問題ないと主張している。これだけのパフォーマンスをアーセナルで見せている中で代表チームに呼ばなければ、噂が止まることはないだろう。

  • Fikayo Tomori Milan 2023-24Getty Images

    センターバック:フィカヨ・トモリ(ミラン)

    過去数回の招集で、サウスゲートはイングランド国外の才能をますます信頼してきた。しかし、トモリは長年無視され続けている。指揮官のハリー・マグワイアに対する執着は変わらないし、ジョン・ストーンズの先発は確実。さらにエズリ・コンサ、レヴィ・コルウィル、ルイス・ダンク、マルク・グエイ……ポジションを争う選手は数えきれない。プレー内容ではなく過去の招集傾向から見ると、トモリがメンバーに食い込む姿は想像できない。

  • Luke Shaw Ben Chilwell Man Utd Chelsea 2023-24Getty Images

    左サイドバック:ベン・チルウェル&ルーク・ショー(チェルシー&マンチェスター・ユナイテッド)

    左サイドバック争いは、今後数ヶ月で全体像がはっきりするはずだ。ファーストチョイスであったはずのチルウェルとショーはケガが続いており、最近ではキーラン・トリッピアーとコルウィルが務めている。そして、サウスゲートは同ポジションのスペシャリストを1人しか呼ばない方向で動いているようだ。そして早くフィットネスを取り戻さない限り、入り込む余地はないかもしれない。

  • James Ward-Prowse West Ham 2023-24Getty Images

    CMF:ジェームズ・ウォード=プラウズ(ウェストハム)

    苦しんでいたサウサンプトン時代、サウスゲートは何度も彼を招集していた。しかし今夏にサウサンプトンを離れると、代表チームから外れることとなっている。ウェストハムの公式戦ですでに10アシストと、最高のスタートを切ったのは間違いない。だが、常時1000人以下の観客の前でプレーする選手(ジョーダン・ヘンダーソン)や、マンチェスター・シティでほぼ出番がない選手(カルヴァン・フィリップス)のほうが、どうやら序列は上のようだ。イングランドの中盤は厚みがないにも関わらず……。

  • Mason Mount Man Utd 2023-24Getty

    CMF:メイソン・マウント(マンチェスター・ユナイテッド)

    長きに渡ってサウスゲートが最も信頼してきた司令塔の1人であり、攻撃力への批判が巻き起こる中でも味方であり続けた――以前までは確実にそうだった。しかし、チェルシーとマンチェスター・Uでのこの1年間、クラブレベルで苦しみ続けている。移籍後も好印象を与えることはできていない。サウスゲート政権下で彼よりも出番を得ていたのは11人だけだが、今後もこの状況が続けば難しいかもしれない。

  • Ebereche Eze England 2023Getty

    OMF:エベレチ・エゼ(クリスタル・パレス)

    プレミアリーグでも最もエキサイティングな選手の1人。スピードに溢れ、両足を器用に使い、ドリブル突破やファイナルサードでのチャンスメイクは、最近サウスゲートも注目し始めた。だが、長期的に居場所を確保するのはまだ難しいかもしれない。ジェームズ・マディソンの復帰が迫り、ラヒーム・スターリングも猛アピールを続けている。彼がEURO2024に食い込むには、もう少し目に見える結果が必要だろう。

  • Cole Palmer Chelsea Manchester City Premier League 2023-24Getty

    右ウイング:コール・パーマー(チェルシー)

    歴史的三冠を達成したマンチェスター・Cを離れ、新生チェルシーへと移籍したパーマー。当初は決断に疑問の声も上がったが、これまでのところ大成功だったと言えるだろう。すでに重要な選手の1人となっており、先日には古巣戦でも冷静にPKを成功させた。そして11月、ライバルにケガ人が相次いだこともあり、スリー・ライオンズ招集を果たしている。彼がこのポジション争いに参加すると予想していた人はほぼおらず、それが彼の驚異的な成長を示している。あとは、オープンプレーでのゴール数を増やしていくだけだ。

  • Ivan Toney Brentford 2023-24Getty Images

    センターフォワード:イヴァン・トニー(ブレントフォード)

    彼以上にハリー・ケインの代役が務まる選手はいない。だが、賭博違反による8ヶ月の出場停止が選考に大きなダメージを与えたことは確かだ。サウスゲートは直前まで招集を続けたが、再びカラム・ウィルソンやオリー・ワトキンスとの争いを制す必要があるだろう。処分は1月に明けることになるが、問題はどのクラブでプレーするか。噂されるチェルシーやアーセナルで好スタートを切った場合、無視するのは難しいはずだ。

  • Raheem Sterling Chelsea 2023-24Getty

    左ウイング:ラヒーム・スターリング(チェルシー)

    2022年ワールドカップを最後にチームを外れているが、それまではサウスゲートにとってエース級の選手だった。今季は絶好調であるが、未だ呼ばれていないのは注目に値する。指揮官は先日、「ラヒームだけでなく、ドアは100%開いている。彼のクオリティや性格についてはもう知っているし、ここ数年の歩みにおいて重要な役割を担ってくれた」と語った。もし今の活躍が続けば、サウスゲートはもう無視できないだろう。とはいえ、これほど長く無視するのは衝撃的だ。

  • Loftus Cheek MilanGetty

    その他の候補

    サウスゲートの悩みは尽きないだろう。

    エヴァートンで復活を遂げたFWドミニク・キャルバート=ルーウィンに加え、新生ジャラッド・ブランスウェイトも候補に入ってくるだろう。一方でミランでの生活を楽しむルヴェン・ロフタス=チークも、貴重な戦力になるはずだ。さらにジョー・ウィロック(ニューカッスル)やカーティス・ジョーンズ(リヴァプール)も、虎視眈々とポジションを狙っている。

    本大会まで残り半年近く。スリー・ライオンズのポジション争いは、かつてないほど熾烈を極めている。