Cristiano Ronaldo Al Nassr Al Ahli

アル・ナスルが連勝を継続。スターの輝きを放つC・ロナウドの今季のプレーを評価

この夏サウジ・プロリーグには新規加入の選手たちが殺到したが、他の誰よりもファンがそのプレーを注目する選手はひとりしかいない。そう、クリスティアーノ・ロナウドだ。1月にアル・ナスルに加入してから、このポルトガルのスーパースターは、初めてこのクラブのためにリーグの全日程を戦おうとしている。

昨シーズン、C・ロナウドと彼の新しいチームはリーグ優勝をあと一歩のところで逃した。同じことは二度と繰り返さないと決意していることだろう。5度のバロンドール受賞者以上に活躍するつもりで同じリーグに加入した有名選手たちのことを思えば、C・ロナウドは新天地での勝ち組の地位を守ろうと、以前にまして熱心であるべきである。

そこでGOALは、中東で初めてフルシーズンを戦うことになるC・ロナウドのプレーを、つぶさに見ていくことにする。2023-24シーズン、彼が出場した試合に逐一目を光らせ、彼がどんなプレーをしたか評価していくつもりだ。

  • Sadio Mane Jordan Henderson Al-Ettifaq Al-Nassr 2023-24Getty

    8月14日:アル・イテファク 2対1 アル・ナスル、プロリーグ

    なんということか。アル・ナスルは、タイトル獲得のための理想から程遠いスタートとなった。だが、C・ロナウドはケガのためにこのプロリーグ開幕戦を欠場しており、なんの責任もない。チームも彼の復帰を待ち望んでいることは明らかだ。

    この試合、少なくとも出だしはよかった。新たに加入したサディオ・マネが、するすると抜け出して、リーグ戦デビューから4分で得点したのである。C・ロナウドにとって残念なことに、楽しかったのはそこまでで、ロビン・クアイソンとムサ・デンベレのゴールで、スティーヴン・ジェラード監督のチームが2対1で勝利した。評価:無し

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  • Cristiano Ronaldo Al-Nassr 2023-24Getty Images

    8月18日:アル・ナスル 0対2 アル・タアーウン、プロリーグ

    アル・タアーウン戦でのアル・ナスルは瀕死の状態だったが、C・ロナウドはひとり気を吐き、リヤドでの退屈な夜の後、名誉を挽回しようとしていたようだった。ところが、彼の近距離からのシュートはポストの内側をとらえることができなかった。さらに、傷口に塩を塗るように数分後、オフサイドの旗が上がったのだった。

    C・ロナウドと仲間たちにとって、この夜は灼熱の夜となった。4日間で2度目の衝撃的な敗戦を喫したのだ。ケガのためアル・イテファク戦を欠場した後、アル・ナスルのスターはシーズンを軌道に戻すのに必死だったことだろう。

    だが、結果として彼はチームのお荷物になってしまった。そもそもプレーできる状態だったのかも怪しかった。明らかに本調子ではなく、しばしばチームの攻撃スピードを遅らせ、何度もオフサイドの判定を受けた。審判団にむけて数分おきにフラストレーションをぶつけていたが、この試合に負けたのはレフェリーのせいでは全くない。評価:D-

  • Cristiano Ronaldo Al-Nassr referee 2023-24Getty Images

    8月22日:アル・ナスル 4対2 シャバーブ・アル・アハリ・ドバイ、AFCチャンピオンズリーグ

    ずいぶん前から、C・ロナウドはいつもこんな夜を過ごしていた。

    シャバーブ・アル・アハリ・ドバイ戦で、彼は前半だけで3回、PKを要求したが却下された。そのうちのひとつはセットプレーのキックが妨害されたもので、このストライカーのスペクタクルなボレーシュートがゴールに向かうのを、相手ディフェンダーがまったく明らかに手を使ってブロックしたのだった。

    まるでバレーボールを見ているかのようなプレーだったが、主審は微動だにせず、C・ロナウドはひどく立腹した。この奇妙な判定により、この夜もまた、恐ろしくフラストレーションが溜まる夜になるところだった。だが、C・ロナウドのおかげで、アル・ナスルは冷静さを取り戻し、試合に勝つことができたのだった。

    その前の週のアル・タアーウン戦と違い、ポルトガルのレジェンドはAFCチャンピオンズリーグのプレーオフを戦うチームの中で、堅実なプレーを見せていた。そう、確かにあの絶好のチャンスを逃すこととなったとはいえ、彼は終始、チームを泥沼から抜け出させようと必死だったのだ。

    そしてその努力は、ぎりぎりのところで報われた。後半アディショナルタイム中のマルセロ・ブロゾヴィッチへのアシストが、試合を決定づける得点となったのである。評価:B-

  • Cristiano Ronaldo Al-Nassr 2023-24Getty Images

    8月25日:アル・ファトフ 0-5 アル・ナスル、プロリーグ

    これこそC・ロナウドの本領発揮の試合だった。38歳がフル回転して暴れまくったのである。チャンスとみるや前線に飛び出し直接、驚異的なゴールを決める。あるいはチームメイトと連携して、絶好のパスを生みだす。相手チームがこの試合のC・ロナウドを止めることは不可能だった。

    先制点のアシストは、まさにCR7だった。ボールはまっすぐに彼のもとに送られ、C・ロナウドは何をすべきか正確にわかっていた。電光石火のヒールパスでサディオ・マネの進路にボールを送ったのだ。タイミングも強さも完璧で、セネガル代表のスターがネットを揺らし損ねることなど不可能だった。

    ほとんどその直後、C・ロナウドは自身で得点するのに絶好のポジションまで進入したが、シュートは外れてしまった。だが、ほどなくしてゴールを決めるチャンスが訪れ、空中で完璧なポジションに入りこむと、スルターン・アル=ガナムのクロスをネットに叩きこんで2対0とした。

    元レアル・マドリーとマンチェスター・ユナイテッドのスターの活躍は、それで終わりではなかった。前進をつづけ、アブドッラフマーン・ガリーブと横パスの交換をしあうと、ガリーブが相手GKを交わしてボールを出し、それをC・ロナウドがガラ空きのゴールに流しこんで、3対0となった。

    アル・ナスルの4点目でもC・ロナウドは重大な役割を果たした。相手ディフェンスに向かって突進すると、彼らを自分にひきつけ、ガリーブにワイドなパスを供給。ガリーブのクロスがマネの頭にピタリと合って、得点となったのである。

    しかしながら、C・ロナウドの活躍はそれで終わらなかった。ペナルティボックスに進入すると、マークを外してフリーに。パスを受けてからゴールマウスの下隅にシュートを決めて、ハットトリックを達成したのである。評価:A

  • Cristiano Ronaldo Al Nassr 2023-24

    8月29日:アル・ナスル 4対0 アル・シャバブ、プロリーグ

    ベテランのC・ロナウドはしばらく前から、この試合のような役割を果たすようになってきている。ほとんどの時間、走ったりワイドに開いたりしながら、滅多にプレーに関与しなかった。それでも、C・ロナウドの数少ないボールタッチが著しく重要な決定機を生みだした。

    5度のバロンドール受賞者は12分にPKを蹴ることになるまで、一度もボールを蹴っていなかった。結果は予想どおりで、アル・ナスルのキャプテンはキーパーと反対側に冷静にゴールを決めたのであった。

    数分後、2点目を決められそうなチャンスがあったが得点にはならなかった。CKの際、高く飛んでヘディングシュートを決めたのだが、残念ながらボールが来た瞬間にファールがあったと判定され、得点は取り消された。だが、3度目にネットを揺らしたシュートは得点となった。C・ロナウドはこの夜の2点目をハーフタイムに入る直前に決めたのだが、それは再びPKからの得点でチームは2対0のリードとなった。

    アル・ナスルの3点目にもC・ロナウドは関与している。C・ロナウドからのパスを受けたマネが、相手GKの金承奎をかわしてニアポストにシュートを決め、3対0のリードをもたらしたのだ。ハーフタイム明け直後に3度目のPKのチャンスがあったが、それはアブドッラフマーン・ガリーブに譲ったところ、そのキックはポストに当たって派手な音を立てたのだった。

    C・ロナウドは2試合連続でハットトリックを決めることができず、ファンはがっかりすることになるのだが、アル・ナスルが4点目を決めてリードを広げるまでのC・ロナウドは実に楽しそうだった。ヒールパスやフェイント、シザーズを繰りだし、冷酷にゴールを決める時のC・ロナウドの姿とは違っていた。本当に最高の姿でもなかったがC・ロナウドは2得点し、チームはライバルチームに4対0で勝った。これ以上のことを要求するのは難しい。評価:B

  • Cristiano Ronaldo Al-Nassr 2023-24Getty

    9月2日:アル・ハズム 1対5 アル・ナスル、プロリーグ

    記録的大勝を飾ったハズム戦でナスルが良かったことすべての中心にC・ロナウドがいた。

    前半のナスルは流動性に乏しかったが、先制点で鍵となる役割を果たしたのはC・ロナウドであった。ゴールから30ヤード(約27メートル)ほどの距離でボールを受けると、ハズムの守備陣に立ち向かい、間を通してアブドッラフマーン・ガリーブにパスを出し、これをガリーブが冷静に決めた。C・ロナウドにとって、4試合で4つ目のアシストであった。

    ナスルは、アブドッラー・アル=ハイバリーがCKからボレーシュートを決めて2点目を獲得。この時C・ロナウドは自分と反対側のポストでゴールが決まるのを見守っていた。

    ハズムは後半開始早々に1点を返したが、ポルトガルのスーパースターには相手が試合をひっくり返すことを許す気はなかった。

    まず、オタヴィオのチーム3点目をアシスト。オタヴィオはゴールエリア内で、C・ロナウドの横パスをゴールに軽く押しこんだ。それからC・ロナウドは4点目をみずから決めた。ペナルティーエリア内での見事なワンツーから、ゴール上隅にボールを叩きこんだのである。

    5点目を決めたのはサディオ・マネで、ここでもC・ロナウドはビルトアップに絡んだ。

    ナスルの司令塔は素晴らしいパフォーマンスを披露し、プロリーグで減速する兆候など、まったく見せていない。評価:A+

  • 9月16日:アル・ラーイド 1対3 アル・ナスル、プロリーグ

    代表での試合から戻ったC・ロナウドは、アル・ラーイドに対して自分の運を存分に試すことができた。前半は長距離のシュートを何本も放ったが、その間アル・ラーイドの守備陣から荒っぽい挑戦を受けつづけていた。

    幅の狭い、18ヤード(約16メートル)のフリーキックを放ってあわやゴールかと思われたが、先制点はサディオ・マネが、前半のアディショナルタイムに角度のないところからのシュートを決めたものだった。

    ハーフタイム明けに出場したアンデルソン・タリスカが30ヤード(約27メートル)の強烈なシュートで、後半開始早々に2点目を決め、ナスルのリードが広がった。これによって、かえってC・ロナウドは奮起し、自分もスペクタクルなゴールを決めようとしていたようだった。

    そして5度のバロンドール受賞者は、試合時間残り11分のところでついにゴールを決めた。左足で内側に切れこむと、下隅に手の施しようのないドライブのかかったシュートを放ったのである。その後アル・ラーイドは遅まきながらPKで1点を返し、C・ロナウドが2点目を決めたかに見えたシュートはVARでオフサイドが宣告された。

    全体的に見て、この試合はC・ロナウドがサウジアラビアに来てから最高のプレーではなかったが、最悪からはほど遠いものだった。評価:B+

  • Ronaldo Al Nassr 2023Getty Images

    9月19日:ペルセポリス 0対2 アル・ナスル、AFCチャンピオンズリーグ

    アル・ナスルが自分たちのチャンピオンズリーグでの挑戦を始めたこの試合、C・ロナウドのプレーは理想からほど遠いものだった。5度のバロンドール受賞者は、チームが10人になったイランのペルセポリスに危うく負けそうになる中、90分でたった1本しかシュートを打てなかったし、ドリブルも一度も成功しなかった。

    38歳のC・ロナウドにとってこの夜もまた、自分の足跡を残せず、チームの攻撃に貢献するどころか邪魔をしているように見えてしまう夜だった。地上でのデュエルに7回中2回しか勝てず、倒されたり、ボールを奪われたりしてプレーをつづけられず、ファールをアピールしていることの方が多かった。

    ペルセポリスが後半に退場者を出して10人となったおかげで、ナスルは2得点することができたが、どちらの点にもC・ロナウドは関係していない。正規の試合時間である90分間は戦ったにもかかわらず、ボールタッチはわずから27回、正確なパスは12本だけだった。その後、後半アディショナルタイム中に交代した。評価:C-

  • Ronaldo Al Nassr Al Ahli

    9月22日:アル・ナスル 4対3 アル・アハリ、プロリーグ

    ポルトガル代表のキャプテンはあっという間にエンジン全開となった。試合開始からたった4分で先制点を決めたのだ。これは、C・ロナウドの最盛期を思わせるようなゴールでもあり、左サイドを駆けあがって放ったシュートは、キーパーの頭上を越してゴールマウスのファーサイドに吸いこまれた。

    この試合、これだけがC・ロナウドのハイライトではなかった。それから8分後にもあわや2点目かというシュートを放ったのだ。アンデルソン・タリスカのドライブがかかったクロスを背後のポスト方向に突き刺そうとしたのだが、ボールはゴールマウスに吸いこまれることなく、木枠がガタガタ鳴った。その後、フリーキックを蹴ったが、ボールは元チェルシーのGKエドゥアール・メンディの胸元にすっぽりと収まった。ハーフタイム直後に2点目を決めたが、これはアル・アハリの守備陣の間を縫うように進み、左足を鋭く振りきったもので、ボールはゴール下隅に突き刺さり、チームに4対2のリードをもたらしたのだった。

    この試合は、アル・ナスルがどうすれば前進できるのか正確に示す試合となった。タリスカも2得点し、サディオ・マネが試合を創った。アル・ナスルはシュートをもっときれいに打っていたら6点は取れたと思うかもしれない。アル・ナスルとて完璧ではない。バックラインが不安定だったことは確かだし、慎重に試合を締めくくろうとしすぎて、試合終了間際に失点してしまった。それでも、今や7連勝中で、この調子なら――C・ロナウドがゴールを決めつづけるのなら――そうそう崩れることはなさそうである。評価:A