このページにはアフィリエイト リンクが含まれています。提供されたリンクを通じて購入すると、手数料が発生する場合があります。
Champions League play-off draw GFXGOAL

チャンピオンズリーグ“新方式”は成功と言えるのか?スリル満点の順位争いと憂慮すべき国内リーグ

CL・EL2024-25シーズンをWOWOWで独占生中継!

WOWOWオンデマンド

CL・EL決勝トーナメントの全試合をWOWOWで独占生中継!

今すぐWOWOW公式サイトでチェック

WOWOWオンデマンド

CL/EL/ECLを独占ライブ配信!

今すぐ視聴
  • champions league draw(C)Getty Images

    「リーグフェーズ」の賛否

    今シーズンから新フォーマットが導入されたUEFAチャンピオンズリーグ。その“目玉”ともいうべき「リーグフェーズ」が1月29日の第8節で終了して最終順位が確定し、ベスト16に直接勝ち上がる8チーム、プレーオフを戦う16チーム、敗退する8チームが決まった。

    CLのスタート以来、30年以上にわたって慣れ親しんできた「グループステージ」を廃止し、耳慣れない「スイス方式」というルールに従って参加36チームがそれぞれ異なる8チームと対戦する「リーグフェーズ」を導入したこのフォーマット変更に対しては、期待と不安が入り交じった賛否両論が飛び交ってきた。

    「シーズン前半から強豪同士のビッグマッチが数多く見られる」、「グループによる難易度の偏りが平準化される」、「順位争いがより激しくなる」といったメリットが喧伝される一方では、「ホーム&アウェーという“伝統”が無視されている」、「試合数の増加(6試合→8試合)により日程がさらに過密になる」、「チームごとに対戦相手が異なることに変わりはないため難易度の偏りは残る」といったデメリットを指摘する声もあった。

  • 広告
  • FBL-EUR-C1-MAN CITY-CLUB BRUGGEAFP

    スリリングな最終節

    全8節の日程を終えた今、上で見たようなメリットとデメリットを改めて天秤にかけてみると、どんな結論になるだろうか。少なくとも筆者は、メリットの面では期待通りの内容だった一方で、心配されたデメリットの多くは杞憂に終わったと考え、この新フォーマットをポジティブに受け止めている。

    それを象徴していたのが、全18試合が同時開催された最終節だ。第7節を終えた時点ではまだ、ほぼ全チームの順位が確定しておらず、試合結果はもちろん得失点差によっても、今後の運命が左右される状況にあった。なにしろ、ベスト16に直接勝ち上がれるトップ8入りが決まっていたのはリヴァプール、バルセロナ、アーセナルの3チームのみ。4位インテル~17位ユヴェントスまでの14チームが残る5枠を争っていたのだ。下位でも、PSGやマンチェスター・シティにはプレーオフにすら勝ち残れずに敗退する可能性が残されていた。

    そして実際に試合がスタートしてみると、展開はめまぐるしく、またスリリングだった。18試合で次々とゴールが決まり、前半の45分だけでもトップ8の顔ぶれがくるくると入れ替わる。ミランが滑り落ち、アストン・ヴィラ、ドルトムント、フェイエノールトは入ったかと思えばまた落ち、そのフェイエノールトを逆転したリールが入るという展開。中位のプレーオフ圏でも、クルブ・ブルッヘに先制を許したマンチェスター・シティが25位に落ちて敗退の危機に直面するというドラマがあった。

    最終的な順位を見ても、グループステージ時代と比べて予定調和的な印象はむしろ薄い。当初の組み分けでポット1だった強豪9チームのうち、トップ8に入ったのはリヴァプール、バルセロナ、インテルの3チームのみ。ポット2からアーセナル、アトレティコ・マドリー、レヴァークーゼンの3チーム、ポット3からリール、ポット4からアストン・ヴィラがそれぞれベスト16への勝ち上がりを決めている。

    順位表そのものも、6位レヴァークーゼンの勝ち点16から25位ディナモ・ザグレブの勝ち点11まで、わずか6ポイントの間に20チームが固まる大混戦。同じ勝ち点11にもかかわらず得失点差だけマンチェスター・シティがプレーオフに勝ち残り、ディナモ・ザグレブが敗退するという明暗もあった。

    最後までこれだけの接戦が続き、しかも得失点差が死命を分けるとなると、全てのゴールが何らかの意味を持つため、8試合を通して一瞬たりとも気を抜くことはできない。グループステージではしばしば見られた「消化試合」も、この新フォーマット下では皆無だった。

    ▶CL・ELプレーオフの注目試合と決勝トーナメント全試合をWOWOWで楽しもう!

  • champions league fan(C)Getty Images

    多くのメリットがあった一方で…

    リーグフェーズ全体を通しての展開も、意外性に富んだスリリングなものだった。「スイス方式」によって全チームがそれぞれ異なる8チームと、しかもポット1から4まで各2チームずつとバランスよく対戦するというマッチメークは、確かに8試合トータルの難易度を平準化した。しかしその一方で、全8節のどこに難度の高いビッグマッチが来るかはチームによって異なっていたため、順位表は毎節大きく変動し、ほとんどのチームが激しい浮き沈みを経験することになった。

    例えばドルトムントは、第2節の首位から第3節には11位まで転落し、そこから2連勝して第5節には4位に返り咲くも、そこから2連敗して14位に後退、最終節には一時的に8位まで浮上したものの最終的には10位に終わり、トップ8を逃すことになった。逆に、第3節終了時点では29位とプレーオフ圏外に低迷していたアトレティコは、そこから5連勝で最終的に5位までジャンプアップ、ベスト16への直接進出を決めている。

    4節を終えた折り返し点では全勝(勝ち点12)のリヴァプールに続いて3勝1分(勝ち点10)で2位だったスポルティングCPは、そこから3連敗してプレーオフ圏ぎりぎりの23位まで滑り落ち、最終節でボローニャに先制を許して圏外に転落したが、77分に同点に追いついてようやく勝ち残りを決めた。他方、その時点までミランを2-1とリードして24位にぶら下がっていたディナモ・ザグレブは、同じ勝ち点11ながら得失点差で入れ替わりに敗退に追い込まれている。

    こうしたダイナミックで劇的な展開は、各チームのサポーターにさまざまな喜怒哀楽をもたらしただけでなく、ニュートラルなサッカーファンにもより大きなスリルと楽しみを与えてくれたと言えるだろう。

    心配されていたデメリットに関しても、ホーム&アウェーの“伝統”はプレーオフを含めたここからの「ノックアウトフェーズ」に継承されているし、チームごとの難易度の格差もグループステージ時代と比べれば明らかに平準化されており、結果に大きな影響があったようには見えない(例えば『Opta』がAIで算出した難易度ランキングと最終順位の間には何の連関も見出せなかった)。また、「プラス2試合」がもたらしたスケジュールの過密化がパフォーマンスや(とりわけ)故障者数にどんな影響をもたらしたかの評価は、シーズン終了を待つ必要があるだろう。

    ただ、レーガ・セリエAのルイジ・デ・シエルヴォCEOが最近語った「CLの人気が高まれば高まるほど、出場クラブにとって国内リーグの重要度が下ることは避けられない。ファンの注目もそちらに向かうことになる。その意味でCLに出場するチームは少ない方がいい」というコメントは、無視するわけにはいかないだろう。CLを始めとする欧州カップ戦と国内リーグは欧州クラブサッカーの「両輪」であり、双方のバランス維持は持続可能な成長と発展のためには不可欠だからだ。

  • champions league trophyGetty Images

    “伝統”のノックアウトフェーズへ

    さて、「リーグフェーズ」を終えたCLは、2月2週と3週に行なわれるプレーオフを経て、3月1週のラウンド16から「ノックアウトフェーズ」に突入する。このプレーオフおよびノックアウトフェーズの組み合わせは、従来のような完全な抽選ではなく、順位が最も高いチームが最も低いチームと対戦する、いわゆる「テニストーナメント方式」を基本として、そこに抽選を組み合わせる形で決められる。1月31日に決まったプレーオフの組み合わせで言えば、9位アタランタと10位ドルトムントが、23位スポルティングと24位ブルージュのペアのどちらかと当たる枠組みの中で抽選が行なわれた。

    これは、順位が上であればあるほど有利になるため、理屈上ではサプライズが起こりにくい方式ということになる。実際、プレーオフ8試合の多くは、有利不利がかなり明らかな組み合わせと言える。とはいえ、リーグフェーズの順位そのものにサプライズがあったせいで、マンチェスター・シティ対レアル・マドリーという過去2シーズンの優勝チーム対決が早くもプレーオフで実現する運びとなっている。

    このプレーオフが終わり、ラウンド16の抽選が行なわれれば、その時点で決勝までの組み合わせが確定することになる。ここから先はこれまでと同様、伝統的なホーム&アウェーのトーナメント方式。ここにも「テニス方式」が適用されるため、リーグフェーズで上位に入ったチームほど有利な対戦相手を引く可能性が高くなっている。最終的にはバランスの取れた組み合わせになりそうだ。

    まったく新しい、そして思った以上にスリリングだった「リーグフェーズ」と、これまで通りの緊迫した一発勝負が続くであろう「ノックアウトフェーズ」。2つの異なる楽しみを提供してくれるCL新フォーマットは、期待以上の成功を収めつつあると言っていいのではないだろうか。

    ▶CL・ELプレーオフの注目試合と決勝トーナメント全試合をWOWOWで楽しもう!

0