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2022-23シーズンのブンデスリーガ、9名の日本人選手の今季展望。日本代表主力も多数、チームでの現状は?

17:37 JST 2022/08/05
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2022-23シーズンのブンデスリーガが、5日のフランクフルトvsバイエルンを皮切りに開幕。

今季は開幕戦から、長谷部誠と鎌田大地が所属するフランクフルトが、10連覇中のバイエルンをホームに迎える注目の一戦が開催される。また、吉田麻也がシャルケに加入し、フライブルクには堂安律が移籍。そのほかにも、原口元気、板倉滉、浅野拓磨、遠藤航、伊藤洋輝と総勢9名の日本人選手がトップチームに在籍している。ここでは、ドイツサッカーに精通する島崎英純氏が9選手の現状と今季の戦いを展望する。

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  • genki_haraguchi

    原口元気(ウニオン・ベルリン)

    原口元気はウニオン・ベルリンのウルス・フィッシャー監督に新たな道筋を見出された。切れ味鋭いドリブルとパンチ力あるシュートを武器に両サイドのウイングポジションを主戦場とした彼は今、ブンデスリーガ1部の舞台で無骨なインサイドハーフとして自身の存在感を高めている。

    フィッシャー監督は3-3-2-2システムを採用している。その中で、GK、3バック、アンカー、両サイドアタッカー、ダブルインサイドハーフ、2トップという各ユニットはそれぞれが近接しつつ、そのポジション特有のタスクを果たす。原口が任されるユニオンのインサイドハーフは高速な攻守転換の嵐の中で、敵陣での激しいボール奪取争い、2トップのサポート、アンカー+バックラインと連動したディフェンスブロックと、様々な役割が課せられている。しかし今の原口はその責任を担う気概と、相応の実力、そして溢れるばかりの意欲的な姿勢を兼ね備えている。

    相手に倒されたら、倍返しでピッチに叩きつける。純然たるファイターとして、クラブ史上初のUEFAヨーロッパリーグにも参戦するウニオンの中軸として、原口は敢然とその舞台に立つ。

  • doan

    堂安律(フライブルク)

    堂安律はヨーロッパシーンで輝くきっかけを得られる、意義のあるクラブへ加入した。

    ドイツ南部のフランス国境沿いの街を本拠とするフライブルクは、確立されたクラブメッドとチーム構築、そして卓越したスカウティング網を武器に、高額資金を無理に捻出することなく好成績を挙げるチーム作りを目指し、それを現場の最高責任者であるクリスティアン・シュトライヒ監督が見事に具現化させている。

    そんな中、今季のフライブルクはクラブ史上3番目の高額移籍金となる800万ユーロ(約11億円)でPSVアイントホーフェンから堂安を獲得した。そして堂安は、その金額に見合うパフォーマンスを今季公式戦初戦のDFBポカール1回戦・カイザースラウテルン戦で早くも見せた。

    ブンデスリーガ2部のカイザースラウテルンを相手に苦戦を強いられたフライブルクは90分間を終えて1-1で延長戦を強いられた末にPK決着に委ねられる直前まで行きかけたが、ここで堂安の左足直接FKが火を噴いた。堂安の決勝ゴールによって辛くも2回戦に進出したフライブルクはこれで、昨季の同大会決勝でライプツィヒに敗れた雪辱を果たす余地を残した。

    シュトライヒ監督はカイザースラウテルン戦で堂安を4-2-3-1の右MFで起用したが、この指揮官は試合毎にシステムや戦略を変化させるため、堂安のポジションが明確に定まっているわけでもない。ただし、それでも決勝ゴール後の116分にお役御免で交代させたように、シュトライヒ監督は堂安を攻撃のキープレーヤーに据える思惑がうかがえる。そして堂安もまた、監督の期待に応えつつ、ブンデスリーガ、ポカール、そして今季フライブルクが出場するUEFAヨーロッパリーグの各大会で確固たる実績を刻む覚悟を決めている。

  • itakura

    板倉滉(ボルシアMG)

    昨季、レンタル移籍先のシャルケで堂々とセンターバックのレギュラーを勝ち取り、クラブの1シーズンでの1部再昇格の担い手となった板倉滉。シャルケ側はレンタル元であるマンチェスター・シティとの交渉で何としても板倉の完全移籍させたかったが、金銭面でそれは叶わず。しかし、板倉が1シーズンで示したプレーパフォーマンスを他のブンデスリーガクラブが放っておくわけもなく、シャルケの本拠、ゲルゼンキルヒェンから僅か80キロの距離にホームタウンがあるボルシア・メンヘングラートバッハが白羽の矢を当て、板倉は晴れてブンデスリーガ1部のピッチに立つ権利を得た。

    ボルシア・メンヒェングラートバッハでの板倉のポジションは4バックのセンターバックで、シャルケでの役割とほぼ同じだ。ドイツでの板倉は常にバックラインで構える役割だが、彼が他のCBと異なるのはスキルフルなボールタッチ、正確無比なフィード、そして巧みなドリブルでの前進技術が突出している点だ。すなわち板倉は4バックでも3バックでもリベロ的な動きをする。フランツ・ベッケンバウアー、ローター・マテウス、マティアス・ザマーなど、数々の名リベロを輩出してきたドイツにとって、板倉は純然たる評価を得られる素養を有している。

  • hasebe

    長谷部誠(フランクフルト)

    昨季のUEFAヨーロッパリーグを制し、今季はクラブ史上初となるUEFAチャンピオンズリーグの舞台に立つアイントラハト・フランクフルトは、11位に終わった昨季のブンデスリーガでの成績向上をも目論んでリニューアルを図っている。

    現状では、オリバー・グラスナー監督の中に長谷部誠をスターティングリストに加える心積りはないようだ。3バックのリベロの絶対的なレギュラーだったマルティン・ヒンターエッガーが29歳にして一線を退く選択をした中で、同ポジションは本来右ストッパーのトゥタがその責務を任されている。しかし、このポジジョンでの経験値が不足している彼にどんな有事が待ち受けているかは予測が不可能でもある。

    ただ、そんなとき、このチームには監督の意図を忠実にピッチへ投影させ、かつ、チームメイトを熱く鼓舞する頼れるリーダーがいる。

    DFBポカール1回戦のマグデブルグ戦。3点リードの67分からトゥタに代わってリベロ役を務めたのは長谷部だった。様々な事態が起こるリスクを鑑み、グラスナー監督はチーム最年長の試合勘を養う采配を執った。長谷部もまた、その意を汲んで安定したプレーパフォーマンスを見せ、最終的にチームは4-0で勝利した。

    長谷部はリベロ、そしてボランチと、自陣中央でチーム戦術を促進させる稀有な能力がある。俯瞰して全体を観察して最適な選択を施せる彼は文字通り、ピッチ上の指揮官たる風格がある。

    フランクフルトと2027年6月までの契約を残す長谷部だが、その条項は現役選手に加えて引退後のコーチングスタッフ職にまで及ぶものだ。その境目がいつになるかは分からない。ただし、これだけは言える。長谷部はすでに、現役でありながら指導者としての“眼”でチームを捉えている。

    そんな聡明なプレーヤーが味方にいること。それだけで、フランクフルトの優位性が高まる。

  • kamada

    鎌田大地(フランクフルト)

    マリオ・ゲッツェの獲得が決まったとき、鎌田大地のアイントラハト・フランクフルトでの境遇に暗雲が漂った。しかし鎌田は自らの実力で周囲の見方を覆し、その潜在能力を発現させる新たなる扉を開いた。

    昨季の鎌田はイェスパー・リンドストロムと共にインサイドハーフのポジションを務めることが多かった。ただ、先述したゲッツェはバイエルン・ミュンヘンやボルシア・ドルトムント在籍時の輝かしい時代に今ポジションで活躍した選手であり、彼の加入でチーム内競争が激化することは十分に予測されていた。

    そんな中、オリバー・グラスナー監督が発案した編成は意外なものだった。それは鎌田のボランチへのコンバートである。

    鎌田はボールキープ力に優れ、正確な右足キックを駆使した展開力にも定評がある。守備時の局面強度については今後も精査が必要だが、ダブルボランチで組む相棒の特性次第で、鎌田がプレーメーカーとして同ポジションで輝く可能性は確かにある。

    鎌田は周囲の期待に瞬時に応えた。DFBポカール1回戦のマグデブルグ戦で、彼は圧巻のゲームコントロール力を見せつけながら、要所で相手ゴールへ飛び込んでの2ゴールで大車輪の活躍を果たした。

    今後、ブンデスリーガやUEFAチャンピオンズリーグでのプレーインテンシティを加味しなければ“ボランチ”鎌田の能力を正確に判断できない。それでも日本が誇る生粋のトップ下は今、自らのアクションで斬新なモデルチェンジを図ろうとしている。

  • asano

    浅野拓磨(ボーフム)

    今の浅野拓磨は充実一途を辿っている。ボーフムを率いるトーマス・ライス監督から左右のウイングポジションを与えられ、その類まれなスピードを生かした縦突破でチャンスを作るだけでなく、ときには高速プレスバックで守備にも貢献する。これまでは最前線の1トップ、もしくは誰かとコンビを組んで2トップでプレーすることを好んだが、今では味方を生かし自らも生きる能動的なプレーを求めるようになった。

    今季のボーフムはチーム全体の共通理解をより深めていくだろう。それは昨季のブンデスリーガ2部で33試合19得点をマークしたFWフィリップ・ホフマンをカールスルーエから獲得した影響が大きい。195センチ、89キロの体躯を誇る彼の能力を生かすには明確にサイドからのクロスワークが望ましい。また、たとえホフマン自身がフィニッシュできなくても、彼をターゲットとしたボール供給からのセカンドボール回収でシンプルに相手ゴールを襲うこともできる。実際に浅野はDFBポカール1回戦のヴィクトリア・ベルリン戦でホフマンのポストワークを受けて今季公式戦初ゴールをマークしている。しかも、この試合での浅野はウイングではなく4-3-3の右のインサイドハーフでプレーしていた。

    以前のような一心不乱さは若干影を潜めた代わりに、落ち着き払った所作で戦況を把握できるようになった。そして浅野は、自らの最大のストロングポイントであるスピードをどのタイミングで発動するかの機微を備え始めた。ポジションのユーティリティ性も含めて、浅野はボーフム、そして日本代表でもマルチな役割を果たすキープレーヤーとなるだろう。

  • endo

    遠藤航(シュトゥットガルト)

    遠藤航は今季もシュトゥットガルトの純然たるキャプテンだ。ペジェグリーノ・マタラッツォ監督からの信頼が厚いのはもちろんのこと、彼は昨季のリーガ最終節のケルン戦で劇的な逆転ゴールを決めてクラブの1部残留を成し遂げた殊勲者でもある。すでにサポーターの間では伝説と化した彼への期待は大きく、だからこそ不動の精神で戦うことを旨とする遠藤自身も心の内でさらなる飛躍を期している。

    今季の遠藤も多岐に渡るタスクを求められそうだ。3-3-2-2システムを用いるマタラッツォ監督の戦術では遠藤をダブルインサイドハーフの一角に置くケースが多い。この場合、彼には攻守を連結させるリンクマン的働きと共に、相手ゴール前付近での決定的なチャンスメイク、あるいはフィニッシュワークをも求められる。

    一方で、遠藤は森保一監督率いる日本代表での役割であるアンカー役も当然こなせる。シュトゥットガルトでは当該レギュラーのアタカン・カラゾールが休暇中のスペイン・イビサ島でスペイン女性から告発されて6週間勾留された末に保釈されたが、彼はようやくチームへ合流したばかりで9月以降まで戦力として見込めないと予測されている。したがって、少なくともシーズン序盤は遠藤が最も適正のあるアンカーのポジションでチーム全体を統率する可能性が高い。

    遠藤は物事に一切物怖じせず、そして寡黙でもある。日本人らしい思慮深さもある彼はしかし、そのような所作も相まって以前まではキャプテンとして相応しい存在だとは地元で評価され難かった。しかし今季はその心配は無用だ。すでに遠藤のパーソナリティを熟知する指揮官、チームメイト、そしてサポーターは、その頼もしき背中に熱視線を注ぎ続けるはずである。

  •  ito_hiroki

    伊藤洋輝(シュトゥットガルト)

    昨季途中に3バックの左ストッパーのポジションを掴み取った伊藤洋輝は、今季も同ポジションの最右翼と目されている。

    伊藤の特長は恵まれた体躯を生かしたフィジカルを基盤にしながら、単純な当たりの強さだけで勝負しない点にある。ボールの勢いや軌道を見極めた上で相手より一歩でも早くその場所へ到達する読みの鋭さ、機敏な身体の入れ方、押し引きを熟知したボディコンタクト、そして左利きを利用した意外性のあるドリブルでの持ち出しやキックなど、彼はディフェンダーが兼ね備えるべき様々なスキルをハイレベルでこなせる。他の選手と異なる特性を持つ伊藤は、今のシュトゥットガルトで様々なアクセントをつけられる選手でもある

    自陣左サイド奥から放たれるロングフィードの精度は絶品で、自陣、敵陣の差異なく、ゴール前での局面勝負で妥協しない。ハードさを売りにはしないが、ベースは兼ね備えている。そのうえで、柳のようなしなやかさで相手をいなす“柔”の対応は、ブンデスリーガの並み居るアタッカーを混乱へと誘う。

    日本が誇る新世代のDFは、ブンデスリーガの舞台に新たな風を吹かせている。

  • yoshida

    吉田麻也(シャルケ)

    イタリア・セリエA、サンプドリアとの契約が満了した吉田麻也には幾つもの移籍先が噂されたが、彼が選択したのは意外にもドイツ・ブンデスリーガに2年ぶりに復帰する古豪・シャルケだった。

    吉田のシャルケへの移籍は電撃的だった。ほとんど報道されていなかったその動向が判明したのは、ドイツ大衆紙の『ビルト』が7月4日にシャルケが吉田へオファーを提示したというニュースが流れたときで、吉田は翌5日にはデュッセルドルフ空港に降り立って車でシャルケのホームであるゲルゼンキルヒェンへ向かっていた。そして同日にメディカルチェックを受け、すぐさま移籍発表と相成ったわけだ。

    シャルケは元々昨季までレンタルで在籍した板倉滉の完全移籍が金銭面で叶わず、センターバックの人材を欲していた。そこへ板倉と同じく日本人で、その板倉と時に日本代表でもコンビを組む吉田の存在を認知した。クラブ、選手双方にとって意味のあるこの移籍劇は、今季のシャルケが再びブンデスリーガ1部に定着するための起爆剤になる。

    DFBポカール1回戦、レギオナルリーガ(4部相当)のブレーマーSV戦、吉田は4バックのセンターバックで先発した。しかもチームキャプテンのダニー・ラッツァ、副キャプテンのシモン・テロッデが負傷で欠場したことで、リーダーメンバーのひとりに加わっていた吉田がキャプテンマークを巻いて仲間を鼓舞した。豊富な経験を兼ね備える33歳のディフェンダーは彼らしい役割を担うと共に5-0勝利という成果をも得た。

    “ブンデス新人”の吉田が、内田篤人、そして板倉が刻んだシャルケでの日本人の系譜を受け継ぐ。その前途は今、希望と期待に満ちている。

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    2022-23シーズンのドイツ・ブンデスリーガは、日本時間8月6日(土)に開幕する。

    昨季に引き続き新シーズンも、スカパー!が全試合を中継・ライブ配信する。

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