Best Value Signings 2023 GFXGOAL

ギュンドアン、マクアリスター、マディソン…2023年夏の移籍市場で最も価値ある19の契約

2023年夏の移籍市場は、とんでもない契約が多かった。サウジ・プロリーグがヨーロッパ市場に参入し、ヨーロッパ最高の選手や代理人たちに、これまでとは違う交渉の切り札を提示したのである。しかしながら、中東の各国が高額を提示したことだけが、市場をおかしくした理由ではない。

巨大な放送権料を後ろ盾に、プレミアリーグが再び大金持ちの浪費家たちのターゲットとして名をはせるようになり、デクラン・ライスとモイセス・カイセドはともに、イングランドのクラブ間を1億ポンド(約185億円)超えで移籍した。他のヨーロッパのチームも、その経済力を大いに発揮し、バイエルン・ミュンヘンは、ハリー・ケインをトッテナムから移籍させるのに1億ユーロ(約158億円)を使って、トップニュースをにぎわせる忙しい夏を送った。

それでも、インフレの激しいこの市場で、妥当な取引をすることもまだ可能なのだと証明してみせたチームもある。以下に、この夏、ヨーロッパのクラブによるお買い得契約ベスト19を見てみよう。

  • Granit Xhaka Bayer Leverkusen 2023-24Getty Images

    19グラニト・ジャカ:アーセナル→レヴァークーゼン, 2,140万ポンド(約40億円)

    2019年11月、グラニト・ジャカがアーセナルのキャプテンの座を剥奪されたとき、エミレーツ・スタジアムでのジャカの契約がまだ3年半も残っているのは馬鹿げていると思われたかもしれない。だが、結局このスイス代表選手が去ったのは今年の夏であり、ガナーズのファンの大半は彼が去っていくのを寂しそうに見送った。

    それは、ここ数シーズン、ジャカが自分の評判を高めてきた結果であり、彼の加入はレヴァークーゼンにとって朗報だった。ブンデスリーガにはイングランドのトップリーグのような魅力がなく、シャビ・アロンソ監督は、ジャカのような優秀なベテランをリーズナブルな価格で獲得できたことに満足していることだろう。

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  • Amrabat (C)Getty Images

    18ソフィアン・アムラバト:フィオレンティーナ→マンチェスター・ユナイテッド, レンタル移籍

    必要な努力はしたのだろうが、マンチェスター・ユナイテッドは、ようやく最終日にソフィアン・アムラバトという守備的ミッドフィルダーを獲得した。モロッコのスターであるアムラバトは、2022年のワールドカップで準決勝に進出した母国の快進撃において大活躍をして以来、フィオレンティーナからの移籍が取りざたされていた。

    マンチェスター・Uは、この夏、今シーズンにアムラバトをレンタル移籍で獲得するために1,000万ユーロ(約15億円)を支払い、買取オプションを2,500万ユーロ(約40億円)に設定した。アムラバトがカタールで見せたのと同じような活躍ができれば、これは非常に良い取引だったことになる。特にこの夏は、彼のような選手の価格が青天井で高騰していたのだから。

  • Alexis Mac Allister Liverpool 2023-24Getty Images

    17アレクシス・マクアリスター:ブライトン→リヴァプール, 3,500万ポンド(約65億円)

    リヴァプールの中盤の再建は、さかのぼること6月、ブライトンからアレクシス・マクアリスターが来たときから始まった。お手頃な契約解除条項のおかげで、レッズは、ワールドカップ優勝選手であるマクアリスターのために3,500万ポンド(約65億円)しか払わずにすんだのである。

    この夏、プレミアリーグ最高のミッドフィルダーたちがこれの3倍近い金額で移籍していったことを考えると、この金額は非常に驚くべき安さである。マクアリスターはアンフィールドで堅実なスタートを切っており、今後何シーズンも、ユルゲン・クロップ監督のチームの大黒柱となるだろう。

  • Marco Asensio PSG 2023-24Getty

    16マルコ・アセンシオ:レアル・マドリー→PSG, フリー

    パリ・サンジェルマンは、通常はお買い得な契約と結びつきにくいチームである。しかしながら、この夏、リーグ・アンの王者は何やらやり方を変え、自由契約で信頼できる選手を獲得していった。

    マルコ・アセンシオはそうした選手の一人で、3度のチャンピオンズリーグ制覇を誇るアセンシオは今夏に7シーズンを過ごしたレアル・マドリーに別れを告げた。このスペイン代表は、ベルナベウでは決して中心にいるスーパースターではなかったが、何年にもわたって、重要なゴールに関与した以上の活躍をしてきており、そのマルチな才能で、今シーズンはルイス・エンリケ監督にとって、きわめて有益なオプションとなるだろう。すでに新しいクラブのために2得点も挙げている。

  • Tyler Adams Bournemouth 2023-24Getty Images

    15タイラー・アダムス:リーズ→ボーンマス, 2,300万ポンド(約42億円)

    最近ケガをしたようだが、タイラー・アダムスは、ボーンマスにとって賢い契約であったことを証明するだろう。昨シーズン、レスターやリーズ、サウサンプトンが学んだように、移籍市場で立ち止まることはプレミアリーグでの災難を意味する。

    アダムスの加入は、ヘフェルソン・レルマが去ったチェリーズことボーンマスの終盤に、多くの躍動をもたらした。報酬に関しても、多くを要求しない選手であるらしい。彼が本気になれば、この移籍の価値は増すばかりであろう。ボーンマスは、この夏アメリカのキャプテンと契約寸前までいったチェルシーに、アダムスを売ることさえできるかもしれない――いずれは。

  • Romelu Lukaku Roma MilanGetty

    14ロメル・ルカク:チェルシー→ローマ, レンタル移籍

    タミー・エイブラハムの負傷を受けて、ジョゼ・モウリーニョ監督は夏の間、ローマの上層部に新しいストライカーをとってくれと頼んでいた。最近、あわただしくトップチームの写真に新加入選手のスペースを空けたほどであった。

    そして最終的に、監督はロメル・ルカクという選手を手にしたのである。最近の騒動からすると、このベルギー代表がどれほど素晴らしい選手か、簡単に忘れてしまいそうだが、2017-18シーズンには、マンチェスター・ユナイテッドで、当時もモウリーニョ監督の下で30近いゴールを挙げた選手であり、セリエAの歴代最多得点記録の保持者でもある。お手頃なレンタル料金でルカクを獲得したことは、ローマのような地位にいるクラブにとって、まさにクーデターである。

  • Youri Tielemans Aston Villa 2023Getty Images

    13ユーリ・ティーレマンス:レスター→アストン・ヴィラ, フリー

    惨憺たる2022-23シーズン以前のユーリ・ティーレマンスは、プレミアリーグで最高のミッドフィルダーの一人だと、広く認められていた。レスターがあれほど頑固でなければ、かなりの移籍金を要求できたことだろうし、資金を供給して降格を免れることができたかもしれない。

    ウナイ・エメリ監督率いるアストン・ヴィラは、キング・パワー・スタジアムでの契約が満了となったこのベルギー代表を、フリーで獲得。プレミアリーグの上位チームの中には、ヴィラが移籍市場で早々とティーレマンスを獲得させてしまったことを悔しく思うチームが出てくるかもしれない。

  • Christian Pulisic AC Milan 2023-24Getty Images

    12クリスチャン・プリシッチ:チェルシー→ミラン, 1,700万ポンド(約31億円)

    この夏、ついにクリスチャン・プリシッチは、ACミランに割引価格で移籍し、チェルシーの悪夢から解放された。ロッソネリにかかった取引額はわずか1,700万ポンド(約31億円)で、ピッチの上でも商業的にも有望な選手にしては異常なほど安価に思える。

    このアメリカ合衆国のスターがイタリアに到着して以来、すでにユニフォームはとてつもなく売れているし、ステファノ・ピオリ監督のシステムに理想的なプレーも見せている。プリシッチはセリエAにデビューしてから2試合連続でゴールを挙げており、ロンドンにいたときよりも、はるかに良い結果を出しそうだ。

  • Joao Felix Barcelona 2023-24Getty Images

    11ジョアン・フェリックス:アトレティコ・マドリー→バルセロナ, レンタル移籍

    2019年、ジョアン・フェリックスがアトレティコ・マドリー行きを選択したことは、少し奇妙に感じられていた。ディエゴ・シメオネ監督のハードワークが要求されるスタイルは、どこか覇気のないフォワードにとって、必ずしも居心地のよいものではなかった。メトロポリターノでは前途有望な輝きを見せることもあったが、辛辣な最後が予想されていたようなところもあった。

    フェリックスはこの夏、頭を下げてバルサに加入したが、7月にはジャーナリストのファブリツィオ・ロマーノが、このカタルーニャ地方のチームへの移籍をSNSでかなり話題にしていた。フェリックスは希望をかなえたわけだが、それは、移籍市場が閉まるぎりぎりのところであった。確かにコンディションには不安もあるが、フェリックスは自分を懐疑的に見ている人々が間違っていることを証明すべく、積極果敢にプレーするだろう。それによって大いに成功するかもしれない。

  • Djordje Petrovic Chelsea 2023-24Getty Images

    10ジョルジェ・ペトロヴィッチ:ニューイングランド・レボリューション→チェルシー, 1,400万ポンド(約25億円)

    ジョルジェ・ペトロヴィッチのように、鳴り物入りでMLSからヨーロッパへ来た若い選手の今後を考えるのは難しい。23歳のペトロヴィッチは、昨年4月、ニューイングランドに加入して以降、MLSで嵐を巻き起こし、2022年の年間最優秀ゴールキーパー賞と新人王を獲得した。

    チェルシーは特にゴールキーパーが弱点のように見えるため、このセルビア代表が、この夏のいつか、マウリシオ・ポチェッティーノ監督の下で背番号1を張っていたロベルト・サンチェスを追い落としたとしても、想定の範囲内ではある。そうした可能性すべてに対してブルーズが払った金額はたったの1,400万ポンド(約25億円)だった。

  • Marcus Thuram InterGetty

    9マルクス・テュラム:ボルシアMG→インテル, フリー

    マルクス・テュラムは、この夏最も話題になったフリーエージェントの一人だった。いくつものプレミアリーグのクラブが、この元ボルシアMGのフォワードの移籍に関して取りざたされていたのである。最終的にインテルが契約を交わし、移籍金を払うことなくルカクの代わりとなる選手を確保したのであった。

    テュラムはこれまでのキャリアにおいて、ルカクほど得点を挙げているわけではないが、無限のエネルギーとボール運びの強さは、シモーネ・インザーギ監督のチームにとってまさにうってつけだろう。もしうまくいかなかったとしても、インテルは純益100%でテュラムを手放すことができる。

  • Timothy Weah JuventusGetty Images

    8ティモシー・ウェア:リール→ユヴェントス, 1,030万ポンド(約19億円)

    規則上、この夏リールはティモシー・ウェアをユヴェントスに売って利益を得た。だが、ここでより良い取引をしたのはユヴェントスの方であることは極めて明確である。多才なアメリカ代表をたった1,200万ユーロ(約19億円)で獲得したのだから。

    ウェアはまだ23歳で、この夏トリノを去ってインテルに加入したフアン・クアドラードの代わりとして賢い選択である。ウェアは、最近残念ながら引き分けに終わったボローニャ戦でも、インパクトを与えた数少ないユーヴェ選手の一人であり、出だしは順調である。

  • James Maddison Tottenham 2023-24Getty

    7ジェームズ・マディソン:レスター→トッテナム, 4,000万ポンド(約73億円)

    そう、確かに、4,000万ポンド(約73億円)は、このところの市場においても、安い金額ではない。だが、ジェームズ・マディソンを獲得するための金額としては、トッテナムはいい買い物をしたと感じているだろう。マディソンを、近年のプレミアリーグで最高のクリエーターの一人と言うのは、決して言い過ぎではない。実際、ノースロンドンに来て以来、インパクトを与え続けている。

    ケインのいないスパーズは、ピッチの中でも外でも、チームのパフォーマンスの責任をとれる、偉大な選手を喉から手が出るほど欲しがっていた。マディソンはそういうことができる選手で、ほどなくトッテナムの信頼を得て、重要な選手としての確固たる地位を確立することだろう。

  • Milan Skriniar Simone Inzaghi PSG InterGetty Images

    6ミラン・シュクリニアル:インテル→PSG, フリー

    年月はかかったが、ついにミラン・シュクリニアルはパリ・サンジェルマンの選手となった。この移籍が話題になり始めたのは去年の夏で、1月には噂が表面化したものの、インテルの不手際でフリーでの移籍になってしまったのであった。

    このところずっと守備の再構築が必要だったPSGにとっては万々歳の話で、シュクリニアルは、たちまちバックラインの中心を陣取り、これまでリーグ・アンの試合にフル出場している。背中のケガで昨シーズンを棒に振ったことを考えれば、これはシュクリニアルにとって励みとなるスタートである。

  • Callum Hudson-Odoi ChelseaGetty Images

    5カラム・ハドソン=オドイ:チェルシー→ノッティンガム・フォレスト, 500万ポンド(約9億円)

    カラム・ハドソン=オドイの没落は見るも悲しいものである。かつてはバイエルン・ミュンヘンから7,000万ポンド(約129億円)の申し出があったが、この夏、その10分の1以下の金額でスタンフォード・ブリッジを去ることとなった。

    ブルーズの財政にとっては恐ろしい話である一方、ノッティンガム・フォレストは笑いがとまらないだろう。ハドソン=オドイが大成功しないまでも、イングランド出身選手たちはみずからの価値を維持するのがうまい傾向にあり、チームが損失を負う可能性はありえない。

  • Joao Cancelo Barcelona 2023-24Getty Images

    4ジョアン・カンセロ:マンチェスター・シティ→バルセロナ, レンタル移籍

    ジョアン・カンセロは、サッカー選手の運というものがどれほど急激に変わるものかを示す選手である。2021-22シーズン、このポルトガル代表選手は、地球上で最高のサイドバックとしての地位を確立し、バロンドール候補の30人に選ばれた。

    ところが昨シーズンはうって代わって、悲劇が訪れた。厳しいリーグ戦のさなか、ペップ・グアルディオラ、フェルナンド・サントス、トーマス・トゥヘルという3人の監督と仲たがいしたようで、そのときの失望をバルセロナでは忘れてしまえることを望んでいることだろう。

    バルセロナから見れば、カンセロとの契約は夢のようだろう。たいして経費がかからなかったうえ、うまく行けば財政を立て直す時間が持てそうだし、来年の夏には完全移籍で獲得できる可能性もあるのだ。

  • Ansu-Fati(C)Getty Images

    3アンス・ファティ:バルセロナ→ブライトン, レンタル移籍

    このところの移籍市場では、我々にショックを与えるようなことは起こりにくいのだが、ブライトンがアンス・ファティを獲得したと初めて報道されたときは、サッカー界全体が大いに困惑したのだった。

    10代でスペクタクルなプレーを披露してブレイクした後、バルセロナの未来を背負う選手とみなされていたファティは、度重なるケガで、近年はそれなりの活躍ができないでいた。ロベルト・デ・ゼルビ監督のことを自身の全盛期を取り戻させてくれる理想の監督と見ているのは明らかで、このイタリア出身監督がファティを再び躍動させることができれば、このレンタル移籍は金額に見合った素晴らしい価値があったことを証明するだろう。

  • Kim Min-jaeGETTY

    2キム・ミンジェ:ナポリ→バイエルン, 4,300万ポンド(約79億円)

    キム・ミンジェがこのリストの高い位置にいることに驚くかもしれない。確かにバーゲンセールではないが、この韓国代表選手を手に入れるのにたった4,300万ポンド(約79億円)しか使わずにすんだバイエルン・ミュンヘンは、大いに満足していることだろう。

    つまり、現在の調子のキム以上に素晴らしいセンターバックは、この地球にいないと思われるのである。昨シーズンはナポリの英雄であり、2023年にトップレベルのディフェンダーに必要とされたすべての高品質の技術を持ち合わせていた。ナポリは、キムとの契約における契約解除条項を、あれほど低額にすべきではなかったと後悔することだろう。

  • Ilkay Gundogan Barcelona 2023-24Getty Images

    1イルカイ・ギュンドアン:マンチェスター・シティ→バルセロナ, フリー

    バルセロナは財政問題のせいで契約に苦労しているとよく言われているにもかかわらず、実際には、かなりうまく選手を集めている。最も印象的な契約は、イルカイ・ギュンドアンをフリーで獲得したことだ。

    このドイツ代表は、マンチェスター・シティで歴史的三冠を達成したキャプテンの座を捨ててカタルーニャにやってきた。契約が満了し、バルサに行きたいという彼のたっての希望が実現しなければ、彼と契約しようとするクラブは列をなしたことだろう。このミッドフィルダーにとって、これは夢の移籍であり、今シーズンはバルサが予想を覆してラ・リーガを連覇することに貢献しようとするだろう。

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