【ベンゼマ：レアル・マドリー最高の瞬間トップ10】奇跡の優勝へ誘うゴールに魔法のスキルも！

2011年12月、試合自体は1-3で敗れ、マドリーにとって記憶に残る一戦ではないだろう。だが、ベンゼマがわずか25秒でバルセロナのネットを揺らしたことは記録として残っている。この試合の彼は最高のパフォーマンスではなかったかもしれないが、相手のミスを見逃さずに歴史的なゴールを奪っている。

2021-22シーズンのチャンピオンズリーグ準々決勝、敵地でのファーストレグを3-1で制していたレアル・マドリーだが、セカンドレグは1-3とリードされて延長戦へ持ち込まれる。しかし、またもエースが負け試合を歓喜の瞬間へといざなった。延長戦開始早々、ヴィニシウス・ジュニオールのお膳立てからヘディングを叩き込み、準決勝へと導いている。

ベンゼマのゴールのほとんどは、憎らしいほど繊細なタッチや巧みなヘッドだ。決定的なフィニッシャーであるが、ゴール自体は派手なものはそれほど多くない。しかし2010年10月のチャンピオンズリーグ・アヤックス戦、このゴールは伝説だ。C・ロナウドとマルセロが空けたスペースにカカが飛び込み、上げたクロスはベンゼマの後方へ。しかし、このストライカーは衝撃的なバイシクルシュートを叩き込んでみせた。記憶に残る一撃だ。

ディエゴ・シメオネが統率するアトレティコ相手に、囲まれた時は突破するチャンスはほぼゼロに等しい。しかし、ベンゼマは決して諦めない。2017年のチャンピオンズリーグ準決勝、相手陣内右端までボールを追いかけて拾ったものの、3人に囲まれてしまう。しかし信じられないようなタッチとボディフェイントを駆使し、たった5タッチで状況を打開。イスコのゴールを呼び込んだ。ファーストレグを3-0で制したが、セカンドレグは前半で1点差まで詰め寄られる苦しい展開に。それをたった1人で変えてみせたのだ。

2023年2月、エルチェ戦で2ゴールを記録。偉大なレジェンドであるラウールを超え、クラブのゴールランキングで歴代2位に躍り出た。歴代1位であるC・ロナウドに追いつくことはできなかったが、通算353ゴールは途方も無い数字である。

2018年の決勝、リヴァプールにとっては悪夢の一夜だろう。GKロリス・カリウスが投げる瞬間に足を出し、がら空きのゴールに押し込んでみせた。これがビッグイヤーに繋がったことは間違いない。確かに魅力的なゴールではないかもしれないが、ベンゼマにとってチャンピオンズリーグ決勝戦での唯一のゴールだ。

2022年の奇跡のチャンピオンズリーグからもう1つ。ロドリゴの後半アディショナルタイムの2発も驚異的だったが、決勝まで導いたのはまたもベンゼマだった。延長戦開始早々、ボックス内で倒されてPKを獲得。強烈な重圧も、GKエデルソンの妨害も意に介さず、ひたすら冷静に成功させ、サンティアゴ・ベルナベウに歓喜をもたらした。

2023年4月にコパ・デル・レイのクラシコを迎えた際、ベンゼマは決して良い状態とは言えなかった。ファーストレグを0-1で落としており、敵地で苦戦も予想されていた。だが、この男に「流れ」など関係ないようだ。後半だけでハットトリックを達成。カンプ・ノウを沈黙させた。結果的にレアル・マドリーでの最後のタイトルに繋がったこの一夜は、これからも語り継がれるだろう。

2022年3月、PSGとの決勝トーナメント1回戦セカンドレグ。レアル・マドリーはハーフタイム時点で2点を追いかけていた。確かにPSG側は試合を完全にコントロールできていなかったが、スコア的には厳しい状況だったことは間違いない。しかし、ベンゼマには関係ない。61分に1点を返し、76分に同点弾を奪い、78分に逆転弾を決める……。伝説的なチャンピオンズリーグ制覇の始まりだった。

リオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドの独占が長く続いたバロンドール。2018年には最高のパフォーマンスを見せたルカ・モドリッチが受賞していたが、またすぐにメッシかC・ロナウドが取り戻すだろうという雰囲気は漂っていた。実際、その後2年間は再びメッシが手にしている。

しかし2022年、メッシでのC・ロナウドでもなく、圧倒的な得票差でベンゼマがバロンドールに輝いている。2位のサディオ・マネとは「356ポイント」差であり、これは史上最大の大差だ。あまりにも長い間過小評価されてきたこのストライカーにとって、すべての努力が報われた瞬間であり、その偉大さが正式に評価された瞬間でもある。