Alexia Putellas Euros revenge GFXGetty/GOAL

3年前の大ケガを乗り越え…スペインの“女王”帰ってきた!アレクシア・プテジャスが迎えた二度目の全盛期とEUROの雪辱

EURO2022の開幕前日、アレクシア・プテジャスが左膝前十字靭帯断裂という重傷を負ったことが一斉に報じられた。バルセロナで三冠達成&チャンピオンズリーグ決勝進出を成し遂げ、2度目のバロンドールとFIFA最優秀選手に輝くなど全盛期を迎えたあの年、彼女の姿がEUROになかったのは女子フットボール界にとって巨大な損失だった。

プテジャスはその後も大ケガの後遺症に苦しみ、復帰後もケガ前のパフォーマンスをなかなか取り戻せず。スペインは翌年のワールドカップで世界女王に輝いたが、彼女は主役になれなかった。悔しい思いを告白した時もあった。

しかし、そのすべてが過去のものになっている。2025年のプテジャスは完全に復活し、全盛期の輝きを取り戻した。3年前と同じく、世界最高の選手として圧倒的な存在感を取り戻したのだ。あの時の雪辱を晴らすべく、EURO2025に最高のコンディションで挑もうとしている。

  • Alexia Putellas Euro 2022Getty Images

    「突然歩けなくなったの」

    プテジャスは、あの大ケガを先日『ガーディアン』でこう振り返っている。

    「宇宙にいるようなレベルでプレーしていたのに、突然歩けなくなったの。ジムは少なくとも自分の場所であり続けたけど、でもピッチでは……最後のプレーの記憶が最高の状態だったから、パスもできない、ターンもできない、コントロールもできない。『もう戻れないかもしれない』とも思ったわ」

    「メディカル的な問題が解決して再びプレーができるようになっても、『まだ終わりじゃない』と告げられたようだった。時間も、適応も、競争も必要だった。『同じようには戻れない。それは現実的じゃない。まだ3~6カ月はかかる』と言い聞かせ、感情をコントロールしなければいけなかったわ。そして、その真っ只中にワールドカップがあったの」

  • 広告
  • Alexia Putellas Barcelona Women 2023-24Getty Images

    消えない輝き

    スペインが世界女王になったワールドカップ、プテジャスは先発わずか3試合に留まった。その悔しさを晴らしたかった2023-24シーズンも再び膝の手術を余儀なくされ、バルセロナが史上初の四冠を達成したシーズンを脇役として過ごしている。チャンピオンズリーグ決勝のリヨン戦もベンチからのスタートとなった。

    それでも、このリヨン戦は彼女が「終わっていない」ことを証明するものだった。チームの勝利を決定づける追加点を奪った後、当時チームメイトだったキーラ・ウォルシュは「彼女がこのチーム、この都市、このクラブにとってどれだけ重要か、みんな知っているわ。2-0にすることも大きな意味があったけど、それを決めたのがアレクシアだったから特別だったの」と語っている。

  • Alexia Putellas Barcelona Women 2024-25Getty Images

    世界最高の感覚

    そしてこの1年間、プテジャスはあの輝きを取り戻した。

    ラ・リーガでは24試合で16ゴール11アシスト、チャンピオンズリーグでは3ゴール4アシスト、コパ・デ・ラ・レイナとスーペルコパ・デ・エスパーニャでもゴール&アシストを記録した。2024-25シーズンの欧州5大リーグで彼女以上にチャンスを作り出した選手はいない。文字通り、世界最高の選手の輝きを取り戻したのだ。

    「痛かったのは膝ではなくて、私の魂だった。あの感覚、『何でもできる』という安心感……あの瞬間はそれを失ったけど、今はもう一度あの時の感覚を取り戻したの」

    『ガーディアン』のインタビューで彼女はこう語っている。

  • Alexia Putellas Aitana Bonmati Spain Women 2025Getty Images

    揺るぎない優勝候補

    昨年のオリンピックではスペイン代表が期待値以下の結果に終わったこともあり、監督の不可解な起用法がメディアでも物議を醸したが、彼女の輝きは失われていない。世界最高の感覚を取り戻したプテジャスが牽引するラ・ロハは、紛れもない優勝候補としてEURO2025へ挑む。

    彼女と同じく2度バロンドールに輝いたチームメイト、アイタナ・ボンマティがウイルス性髄膜炎で入院するなど、チームの状況には不安の声も上がっている。それでもスペインの選手層と絶対的な女王の存在が、揺るぎない優勝候補としての地位を確立させているのだ。

  • Alexia Putellas Spain Women 2025Getty Images

    スペインの“女王”

    おそらく今回のEURO2025は、今年のバロンドールを決める大会になることは間違いない。そしてスペインの“女王”こそ、絶対的な最有力候補である。チームメイトであるオナ・バジェは先日、『ARA』でプテジャスについてこう語った。

    「彼女は努力、犠牲、そして忍耐の完璧なお手本だわ。あの大ケガがあったにもかかわらず、彼女は常に最高の状態に戻れると信じていた。努力を続ければ、最終的には成功がやってくる。彼女が見せる姿勢はそれを約束してくれたの」

    悲劇的な大ケガから約3年、プテジャスがEUROに戻って来る。それも、2度目の全盛期を手にした状態で。彼女の1プレー1プレーから目が離せない1カ月となりそうだ。