Raphinha Saka Diaby GFXGetty/GOAL

アーセナルはブカヨ・サカに休息を:不可欠なローテーションと夏に獲得すべき候補は?

アーセナル下部組織出身にして、デビューからまたたく間にスターダムにのし上がったブカヨ・サカ。今季はマンチェスター・シティとの激しいプレミアリーグ優勝争いをエースとして牽引すると、カタール・ワールドカップでもイングランド代表に欠かせない存在に。市場価値1億ユーロを超える(Transfermarkt)21歳ウインガーは、今やアーセナルの顔となっている。

しかし、その依存度は高まり続けている。サカは現在プレミアリーグで79試合連続で出場中。そのパフォーマンスからピッチ上で削られる機会も増え、ここ数週間は疲労によってパフォーマンスも低下しているように見える。アーセナルは昨夏、サカの負担軽減のために右ウインガーの補強へ多くの時間を費やしたが、トップターゲットであったハフィーニャの獲得は失敗(リーズからバルセロナへ移籍)。長い間目をつけていたムサ・ディアビ(レヴァークーゼン)も見送り、最終的に到着したのは19歳のマルキーニョスだった。しかし彼の獲得は将来を考えてのことであり、バックアッパーとしては不十分。結局、サカへの依存度は変わっていない。

今回は『GOAL』のアーセナル番記者チャールズ・ワッツが、いかにサカのバックアッパーが必要か、そしてその候補者を分析する。

  • Bukayo Saka Arsenal 2022-23Getty

    守らなければいけない選手

    サカの耐久性は、彼の最大の長所の1つだろう。どれほど多くの時間プレーしても、いつだって試合に出続けることができる。それは過去2年間のアーセナルにおいて非常に重要だった。彼が長期間欠場した場合、代わりを務める選手がいないからだ。リース・ネルソンはオプションの1つだが、アルテタは彼を左サイドで考えているようだ。

    しかし、サカが大ケガを負っていないのは幸運でしかない。毎週のように激しいタックルを受け続け、チームメイトやアルテタは常に彼を守るように訴えてきた。だが、その訴えが聞き入れられたことはない。

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  • Bukayo Saka Arsenal Getty Images

    プレミアリーグ79試合連続出場

    サカは今季、プレミアリーグの試合全てに出場している。唯一先発から外れたのは4月のリーズ戦だが、体調不良で前日練習から外れていたにも関わらず、後半途中からピッチに立っている。

    そして現在、サカはプレミアリーグで79試合に連続で出場中だ。最後に欠場したのは、2021年5月のニューカッスル戦。90分間をベンチで過ごした。これは、現時点でリーグ最高記録だ(2位はダビド・デ・ヘアの75試合)。また2021-22シーズン開始から数えると、出場74試合中、先発は71試合。並行してイングランド代表でもプレーしていたことを考えると、これは驚異的な数字である。

    だがそれと同時に、いかに今夏の移籍市場でサカをカバーできる選手を獲得することが重要かを示すデータである。

  • Bukayo Saka Arsenal 2022-23Getty Images

    直近9試合で1ゴール

    サカは常にピッチに立ち続ける力がある。とはいえ、ここ数週間のパフォーマンスを見ると、膨大なタスクが彼のキャパシティをいっぱいにしていることがわかる。3月半ばのクリスタル・パレス戦で2ゴールを挙げて以降、9試合で1ゴール。シーズン序盤に見せた圧倒的なプレーは影を潜めている。

    直近9試合での成績は1ゴール1アシスト。それまでは90分平均のゴール関与数が「0.82」を記録していただけに、直近9試合の成績(0.29)は深刻だ。90分あたりのシュート数(2.6→2.3)、チャンスクリエイト(2.3→1.6)、タッチ数(59.6→53.3)も減少。ウェストハム戦ではPKも失敗している。

  • Mikel Arteta ArsenalGetty

    アルテタに必要なローテーション

    過去2年間、アーセナルとイングランド代表でプレーし続けることが求められてきたサカ。彼の仕事量を考えれば、このシーズン終盤戦でフィジカル的に苦しみ始めていることに驚きはない。

    だがアーセナルにおいて、それはサカだけにとどまらない。サカの出場時間3041分がトップであるが、ベン・ホワイト、ガブリエウ・マルティネッリ、ガブリエウも第36節まですべての試合でプレーした。

    ちなみに優勝したマンチェスター・シティを見てみると、35試合消化時点でベルナルド・シウバが2119分、ジャック・グリーリッシュが2063分、リヤド・マフレズが1669分、フィル・フォーデンは1612分だ。選手を入れ替えてもクオリティが変わらないため、ペップ・グアルディオラは自由に選手を選べることを意味している。その結果、この終盤戦でもまた選手たちはシャープなままだ。

    だが、アルテタにそんな余裕はない。アーセナルでは主力グループがほぼ全試合で先発している。さらに、来季はチャンピオンズリーグへの挑戦も控えている。この状況は変えなければいけないだろう。

  • Raphinha(C)Getty Images

    ハフィーニャへ再チャレンジ?

    アーセナルには忙しい夏が待っている。中盤の補強が最優先であり、大幅な入れ替えも予想される。デクラン・ライス(ウェストハム)への最初のファーはまもなくであり、1月に逃したモイセス・カイセド(ブライトン)も依然としてターゲットだ。

    だが、サカの負担を軽減するために、役割を共有できる右ウイングの獲得も重要だ。そして。ハフィーニャは再び候補になるかもしれない。リオネル・メッシ復帰のためにバルセロナは資金を必要としており、アルテタはハフィーニャの大ファン。また、代理人のデコとエドゥSD(スポーツディレクター)は親密な関係を築いている(さらにデコはまもなくバルセロナのSDに就任予定)。

    一方で、レヴァークーゼンのディアビもアーセナルが好む選手の1人だ。現在はグラニト・ジャカの移籍を巡って両クラブは交渉を行っているが、現時点ではこの取引にディアビは関係がない。それがどう変化していくかも、現時点で確かなことはない。

  • Wilfried Zaha Crystal Palace 2023Getty Images

    夏の優先順位

    そして、ウィルフレッド・ザハも選択肢になるかもしれない。クリスタル・パレスとの契約は今季限りで満了し、新契約を結ばない場合、フリーで獲得可能だ。アーセナルは過去に興味を示していた。

    現在アーセナルは獲得選手を絞る際に膨大なデータを集めて分析し、世界中のタレントのスカウトに動いている。上記の選手だけでなく、数多くの候補がリストアップされるはず。そしてそのうち、最低1人は獲得することが不可欠だ。

    ここ数年、アーセナルはウイングのポジションにおいてこれ以上無いほど幸運だった。しかし、ビッグチャンスが巡ってきた時に一息つく時間がなければ、その幸運もやがて尽きてしまうだろう。