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【一覧】もしアンチェロッティ退任なら後任は? レアル・マドリー、次期監督候補にラウールやポチェッティーノら

レアル・マドリーを率いるカルロ・アンチェロッティ監督が退任するとすれば、どのような人物が後任に挙がるのだろうか? 新指揮官候補者たちを紹介していく。

2021-22シーズンよりキャリアの中で2度目となるレアル・マドリー指揮官就任を果たし、同年にはラ・リーガとチャンピオンズリーグ(CL)を制覇したアンチェロッティ監督。史上初の5大リーグ制覇という偉業を成し遂げただけでなく、自身の持つCL最多優勝回数を4回に更新した。

2022-23シーズンもCLで勝ち残り続けており、連覇する可能性を残している。さらに、カリム・ベンゼマをバロンドール受賞者に押し上げ、ヴィニシウスの得点力を見事に開花させた手腕は高く評価されている。

一方で、ラ・リーガではバルセロナに大幅なリードを許しており、自身もブラジル代表からの関心が浮上。次期指揮官候補と見なされていることは公となっており、そのことについて当人も率直に「嬉しい」とこぼし、「未来ついては、誰も知ることがない」と否定しなかった。

これらのことからレアル・マドリーでの仕事を終える可能性も囁かれおり、次なる人事に向けて騒がしい夏を送るかもしれない。

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    マウリシオ・ポチェッティーノ

    トッテナムやパリ・サンジェルマン(PSG)で指揮官を歴任してきた男がレアル・マドリーの役員たちの興味を引いていると、多くのメディアが報じている。そして、そのための条件をいくつか満たす人物の一人であることも確かだ。

    ポチェッティーノのチームはエキサイティングなサッカーを繰り広げており、ビッグクラブを率いることができるカリスマ性とエネルギーを備えている。国内での成功が限られたものであることも指摘されるが、一方で2019年にはトッテナムをCL決勝に導き、2022年にはPSGでリーグ制覇も果たした。

    また、トッテナムではメガクラブと比較すれば少ない予算で奇跡を成し遂げてきており、当時の欧州でも最も興味深いチームの一つと評価された。デレ・アリやクリスティアン・エリクセンと言ったクリエイティブな選手がハリー・ケインの後方でプレーし、2026年にはプレミアリーグを2位でフィニッシュ。続く2019年にはCL決勝ラウンドでマンチェスター・シティを撃破する試合も演じた。

    当時のトッテナムに似たレアル・マドリーのような若いチームで、ポチェッティーノが同様のことを成し遂げることはそれほど難しくなさそうだ。特に、ロス・ブランコスがとあるイングランド代表の若手MFジュード・ベリンガムと契約して選手層を厚くすることができればなおさらだろう。

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    ラウール・ゴンサレス

    レアル・マドリーは、内部からの引き上げだろうと心配することはない。過去にはBチームであるカスティージャからジネディーヌ・ジダンを昇格させ、多くの成功を味わってきた。クラブのレジェンドは、最終的にリーグタイトルを2度、CLタイトルを3度獲得している。

    そして、ラウールもその道をなぞることになるかもしれない。現役時代のジダンの元同僚でもある男は、指導者として驚くほど似た道を歩んでいる。

    ラウールは2018年にレアル・マドリーU-15を率い、1年足らずでカスティージャの指揮官に昇格。レジェンドの指導の下でカスティージャは成功を収めており、2022-23シーズンのプリメーラ・フェデラシオン(ラ・リーガ3部)30試合消化時点で首位アルコルコンと暫定勝ち点差1の2位につけている。ロドリゴ、アルバロ・ロドリゲス、そして復帰が近づくフラン・ガルシアのような選手たちも、ラウールの下で成長を果たし、トップチームに割って入る存在となった。

    一部ではリーズからの関心が報じられ、ドイツのいくつかのクラブからの関心も噂に。しかし、当人がそれらをすべて跳ね除けたのは、別の仕事に目を向けているためかもしれない。

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    ユリアン・ナーゲルスマン

    バイエルンから解任されたばかりのナーゲルスマンは、仕事に復帰するまでに数カ月の休養をとる決意をしたと伝えられている。夏までにリフレッシュが完了したとすれば、ロス・ブランコスにとっては如才ない登用となる可能性がある。

    1年半前にバイエルン指揮官に就任した時、このドイツ人は若き戦術の達人として歓迎されたが、クラブで上手く働くことはできなかった。バイエルンでは就任初年度にリーグ制覇を果たし、今季もその可能性を残していたが、取締役会との関係は微妙なものに。サッカーのスタイルやチームに関する一貫性について、正当でありながら厳しい懸念があり、任期を早々に終えている。

    しかし、だからと言って他のチームが敬遠することはないだろう。ナーゲルスマンはロベルト・レヴァンドフスキを失いながらエリック・マキシム・シュポ=モティングをトップクラスのストライカーに育て上げた。また、バイエルンをCLベスト8まで進出させており、それらは簡単なことではない。

    レアル・マドリーでの挑戦はまた違ったものとなるが、ナーゲルスマンであればそれに取り組むことができる頭脳を備えている。

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    シャビ・アロンソ

    アロンソはレヴァークーゼンで驚異的な働きを見せた。元レアル・マドリーMFが指揮を取り始めた時、ドイツクラブは残留争いに巻き込まれていたが、その数か月後には欧州で戦っている。

    これは偶然ではなく、若くエネルギッシュなチームを率いたアロンソは数々の抜け目ない戦術で、その潜在能力をフルに引き出した。才能豊かなフロリアン・ヴィルツに創造力を発揮させ、ムサ・ディアビのスピードを生かし、水漏れがあったバックラインを補強している。それがトップレベルでの初めてのマネジメントであったことが、その成果をより印象深いものとした。

    アロンソはレアル・マドリーの指導者育成システムの産物であり、2019年にレアル・ソシエダBを率いる前は、レアル・マドリーU-14を指導。ラウールと同様に、いずれはレアル・マドリーの仕事を引き受けると大方では予想されているが、今がその時となるのだろうか。

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    アントニオ・コンテ

    レアル・マドリーが本当に勝利にこだわるのであれば、コンテの出番だ。イタリア人指揮官はスパーズで成功の呪縛から解放されたかもしれないが、チームを構築する際の冷酷さはまだ強く残っている。

    コンテはレアル・マドリーで必ずしも楽しい思いをすることはないだろうし、ジダンやラウールのようにシャツに対して永遠の愛情を持つこともないだろう。しかし、結果は必然的に残す。

    とはいえ、クラブではスパーズで解任の憂き目に遭った際に取り沙汰されていた暴言から間を置かずに招へいすることには、神経質になっているかもしれない。それでも、コンテがノースロンドンで挙げていた問題点、ピッチ上のクオリティの欠如やトップレベルでの成功に対する無関心は、スペインの巨人にとっては問題にならないだろう。

    実際、その取引は過去に実現しそうになったことがある。元主将のセルヒオ・ラモスがロッカールームで抵抗したと伝えられながらも、レアル・マドリーは以前に何度かコンテ招へいに近づいた。しかし、クラブがアプローチした際には既に他クラブで決まっていたため、破談となった。

    今回は、良くも悪くもタイミングがかみ合っているのかもしれない。

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    ルベン・アモリム

    欧州サッカー界で最もホットな存在であるアモリムは、ポルトガルの有名監督ジョゼ・モウリーニョの後継者的な存在だ。戦術は“スペシャル・ワン”にそれほど似ていないが、若くして低迷していたスポルティングCPを立て直した手腕は、必然的に比較の対象となる。

    2004年にチェルシーがモウリーニョを招へいしたように、アモリムはレアル・マドリーの新時代を切り開く人物となるかもしれない。組織的な3-4-3で、高い位置からプレスをかけることを好む人物だ。また、ヌーノ・メンデスやマテウス・ヌニェス、ペドロ・ポッロなど、トップクラスのタレントを育ててきた実績もある。

    彼のチームは既に欧州で成功を収めており、最近ではヨーロッパリーグ(EL)決勝トーナメントでエミレーツ・スタジアムに乗り込み、アーセナルを撃破。そういった結果は、レアル・マドリーを率いるに十分な人物であることを、フロレンティーノ・ペレス会長に確信させるのに十分なものだろう。

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    マルセロ・ガジャルド

    リーベルプレートの前監督は長い間ヨーロッパでの仕事を切望しており、近いうちにトップクラブから声がかかるかもしれない。

    ガジャルドはアルゼンチンの伝説的な存在であり、リーベルプレートでは現役時代も指揮官としても大きな成功を収めた。リーベルプレートで15年間を過ごし、世界最高の戦術家の一人となり、数々のトロフィーを手にした。

    しかし、アルゼンチンで成功する一方で、ガジャルドは欧州で成功したことがない。ジョゼップ・グアルディオラ監督からも称賛される人物であるだけに、不思議なことだ。

    しかし、今こそ脚光を浴びる時かもしれない。昨季限りでリーベルプレートでの仕事にピリウドを打ったガジャルドは、レアル・マドリーからは縁遠い存在だが、間違いなくエキサイティングな人事となる。

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    ジョゼ・モウリーニョ

    チェルシーでそうしたように、モウリーニョは復帰することを好んでいる。

    とはいえ、レアル・マドリーを去った時は円満だったとは言い難い。モウリーニョは最高の状態で別れを告げることはできなかった。

    モウリーニョは必ずしも変化しているわけではないが、10年前に事実上追放のような形で去った時よりも、より経験豊富で競技力のある指揮官としてレアル・マドリーに戻ってくるかもしれない。マンチェスター・ユナイテッド、トッテナム、そして現在のローマでは試練に臨むことになった。

    おそらく彼は、トップクラブでもう一度チャンスを得るに値する。モウリーニョは挑戦することを恐れず、スポットライトを浴びることが好きだ。また、若い選手たちにとっては、檻に閉ざされることのない監督とともに過ごすことができる機会になるのではないかという議論もある。

    モウリーニョは間違いなく何人かを置き去りにするだろうが、様々なクラブでトップクラスの才能を育ててもきた。勝利の血筋を備えることを考慮すれば、レアル・マドリーが興味を持つ可能性はある。

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    ジネディーヌ・ジダン

    再招へいといえばこの人物だ。

    レアル・マドリーとジズーは、CL3連覇を成し遂げた後、再び手を取って2019-20シーズンにはラ・リーガを制覇している。その時、指揮官は「レアル・マドリーにはもう信頼がない」と口にし、良い結果にならなかった。とはいえ、去るべきタイミングでもあった。そして、今は戻ってくるべき時かもしれない。レアル・マドリーは、すべての中心に据えられるような安定性を必要としている。

    ジダンは完全に型にはまったチームを組織するわけではないし、今ではバルセロナが常にタイトル争いの脅威だ。よりタフな試練になることだろう。

    しかし、ジダンはレアル・マドリーのDNAを受け継いでおり、堅実なチームを作るための戦術的センスも十分に備えている。また、ジュード・ベリンガム獲得に成功すれば、ジダンがヤングスターをどう生かすのかを見ることができるのも素晴らしいことだ。

    現状では、PSGがジダン招へいレースの最有力候補と報じられている。しかし、たとえ現時点で復帰の可能性が低いとしても、除外することのできない人物だ。