
Yoshiyuki Kawaji
【記者のJ1展望】2024シーズン優勝争いの本命、対抗、有力、サプライズは? 前年王者・神戸は“未経験”の戦いへ
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(C)Getty images本命:浦和レッズ
[昨季成績]
J1:4位
天皇杯:ベスト16
ルヴァン杯:準優勝■新指揮官下で始動
ノルウェーの名将として知られるペア=マティアス・ヘグモ監督の1年目だが、マチェイ・スコルジャ前監督によって鍛えられた主力の大半が残り、そこにスウェーデン代表MFグスタフソン、2022年シーズンのJ1得点王であるFWチアゴ・サンタナなど“ヘグモ式”4-3-3にマッチする主力級のタレントが加わった。
「ドミネート(支配する)」を合言葉に、全体がコンパクトに高いポジションを取りながら、シンプルに選手の個性を発揮するスタイルであり、選手たちも役割を整理してビジョンを共有しやすい。新監督と言っても昨年ベスト11に輝いたGK西川周作、DFアレクサンダー・ショルツ、マリウス・ホイブラーテンが健在であり、右サイドバックの酒井宏樹がコンディションを戻すなど、守備のベースはあるだけに、ベースの完成度はこの時期としてはかなり高そうだ。
■リーグ戦専念のシーズン
年間60試合を戦った昨年と違ってACLが無く、天皇杯の出場資格も無いため、日程的に緩やかであることも「リーグ戦に全振りできる」と酒井が語る通り、アドバンテージになることは間違いない。ただ、言い換えるとスタメンが固定化されやすく、何かあったときにサブの選手が好パフォーマンスで応えられるかは長いシーズンを考えると重大なポイントになる。その意味では、グスタフソンが来たことによりアンカーの2番手になりそうな昨年の主力MF岩尾憲やFC岐阜から帰ってきたベテランDF宇賀神友弥の存在は大きい。彼らの姿勢や振る舞いが、序盤戦で試合に出られない若手のモチベーションを維持するための支えになるからだ。
またへグモ監督も全員と個人面談をするなど、チームマネージメントに優れているということは現時点でも想定できる。あとは2006年以来のリーグ優勝がノルマに近い目標となる中、クラブ内外のプレッシャーに打ち勝てるか。また戦い方がシンプルであるがゆえに、相手の対策が進んできた時に、プランBなのか、プランAなのか、ヘグモ監督がどう対応していくはシーズンが進む中での注目ポイントになっていくだろう。
(C)Getty images対抗:ヴィッセル神戸
[昨季成績]
J1:優勝
天皇杯:ベスト8
ルヴァン杯:グループ敗退■ビッグネーム+生え抜き
悲願の初優勝を飾った昨シーズンからバージョンアップして、リーグ二連覇と国内外のカップ戦でもタイトルを狙いにいくべく、各ポジションに実力者を補強。戦力は間違いなく厚みを増した。昨シーズン8得点で、伸びしろも期待できるFW宮代大聖や昨年アビスパ福岡のルヴァン杯優勝に大きく貢献したMF井手口陽介、アカデミー出身のDF岩波拓也など、ライバルも羨むような陣容だ。
それでも神戸のビッグピースとして君臨するのが昨シーズンMVPのFW大迫勇也を筆頭とした既存の主力選手たちで、酒井高徳、山口蛍、武藤嘉紀と言った実績抜群のビッグネームに、昨年大きく成長した、佐々木大樹や山川哲史と言った気鋭の生え抜きが組み合わさる形で、勝負強いチームを作り上げている。
■王者としてのシーズン
タイトルで得た自信は間違いなくプラスだが、どの相手も神戸をチャンピオンとして挑んでくるという構図はクラブとして未体験であり、スーパー杯の川崎F戦でも早速その難しさが見られた。今シーズンから20クラブ制に変わり、3つのクラブが自動降格することから、神戸戦でなんとか勝ち点1でも掴み取ろうとする相手も増えてくることが予想できる。
それを上回る形で勝ち点3を積み上げていくには攻撃のバージョンアップが不可欠だ。武藤の出遅れやスーパー杯での井出遥也の負傷交代も気になるが、FWジェアン・パトリッキがスタメン起用される試合が多くなることも想定すると、前線の層に薄め感はある。もう一枚、決定的なアタッカーがほしいところ。秋にはAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)に参戦する事情を考えても、夏の補強はマストになってきそうだ。
(C)Getty images有力:サンフレッチェ広島
[昨季成績]
J1:3位
天皇杯:3回戦敗退
ルヴァン杯:グループ敗退■熟成路線の3年目へ
ミヒャエル・スキッベ監督が3年目を迎える広島は熟成路線でリーグ優勝を狙う。戦力のほとんどが残留。そこに昨シーズン湘南ベルマーレで13得点のFW大橋祐紀が加わった。チームの完成度はNo. 1だろう。特に攻守のトランジションは素早く的確だ。スキッベ監督は相手によって戦い方を大きく変える指揮官ではないが、ベースをぶらさない中で選手たちが関係の中で、どうアレンジを加えていくか。
補強の人数は少ないが、大橋の他にもJ2水戸ホーリーホックから戻った小原基樹、アカデミー出身の大卒ルーキー細谷航平、7年ぶりの広島復帰となったイヨハ理ヘンリーと、早期に戦力化できそうなタレントが加わっている。ただ、新スタジアムをピッチレベルで完全なホームにするには時間を要するはず。また、広島の場合は地理的に首都圏や関西のクラブに比べて、海外遠征の負担が大きい。後半戦に入る時期に新設のAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)が入ってくることが、どう影響してくるかは気になるところだ。
(C)Getty images有力:横浜F・マリノス
[昨季成績]
J1:2位
天皇杯:ベスト4
ルヴァン杯:3回戦敗退■最強3トップ健在
昨季2位の横浜FMはポテンシャルを考えれば「本命」か少なくとも「対抗」に推すべきだが、経験の少ないハリー・キューウェル監督が慣れないJリーグの環境で手探りになることを考えても、未知数なところが多い。また4-3-3をベースとした新機軸にトライしていく中で、後ろは角田涼太朗、前は西村拓真という主力級の2枚が海外移籍でいなくなったこと、タイミングの遅かった西村の穴が、現時点で埋まっていると言い難いことも割引材料ではある。
それでも昨シーズン得点王のFWアンデルソン・ロペスにヤン・マテウス、エウベルというJリーグ最強の3トップが健在で、2年目となるMFナム・テヒの順応や天野純の韓国からの復帰、昨シーズンは東京ヴェルディのJ1昇格を支えた新加入DF加藤蓮が、左右サイドバックとして計算できることなど、プラス材料もある。春秋で別シーズンのACLを戦う負担も含めて、現時点で「有力」に留めざるを得ないが、現役時代に「オズの魔法使い」と呼ばれた指揮官のもと、シーズン中の進化が楽しみだ。
(C)Getty images有力:川崎フロンターレ
[昨季成績]
J1:8位
天皇杯:優勝
ルヴァン杯:グループ敗退■守備陣に不安要素も
川崎フロンターレは昨シーズン、まさかの8位フィニッシュだったが、鬼木達監督の7年目となるチームは復権に向けて効果的な補強で巻き返しを図っている。ACLでベスト16敗退に終わってしまったのは残念だが、日程を考えるとリーグ戦の予想も上方修正するべきだろう。
また、ACLやFUJIFILM SUPER CUPを通じて、新戦力のMF山本悠樹や左サイドバックの三浦颯太、ブラジル人FWエリソンなどが、開幕戦から稼働できることを証明した。新戦力の好パフォーマンスで、Jリーグの展望が明るくなったことは間違いない。山根視来がMLSに去った右サイドバックも、オランダから“逆輸入”のファンウェルメスケルケン際がフレッシュな風を吹かせている。
不安要素はセンターバックのところか。経験豊富な丸山祐市の加入は大きいが、長期離脱からの復帰後もケガの不安を抱えるジェジエウがどこまで稼働できるかが生命線だろう。
(C)Getty imagesサプライズ:鹿島アントラーズ
[昨季成績]
J1:5位
天皇杯:3回戦敗退
ルヴァン杯:ベスト8■大卒ルーキーのブレイクも?
「本命」「対抗」「有力」で挙げた5クラブに割って入る可能性があるのは名古屋グランパス、セレッソ大阪、鹿島アントラーズなどか。その中で筆者が「サプライズ」に推したいのは、ランコ・ポポヴィッチ新監督の率いる鹿島だ。荒木遼太郎や昌子源、ディエゴ・ピトゥカと言った選手が移籍した一方で、加入選手が少なく、オフの時点で不安視する声は少なからず耳にした。しかし、指揮官の縦に素早く攻め切るスタイルに選手たちがフレッシュな気持ちで取り組んでおり、ポテンシャルを素直にチーム力として発揮できるベースが整ってきている。
運動量を要するスタイルである以上、90分間の体力配分や夏場の闘い方など、シーズンを見通せば明確な課題はあるが、「10番」「キャプテン」「選手会長」の三役を担う柴崎岳がチームをまとめる存在になっていきそうだ。その柴崎はコンディションの問題によって開幕戦に出られない可能性があるが、FWからボランチにコンバートされた知念慶が公式戦でどこまで働けるかは注目したいところ。
新加入選手は少ないが、大卒ルーキーながらブレイクの予感が漂う右サイドバックの濃野公人、俊足の大型FWチャヴリッチは序盤戦から主力として期待がかかる。一方で選手層を考えるとセンターバックは心許ない。現在は植田直通、関川郁万、津久井佳祐の3人体制。二種登録のDF松本遥翔を除くと、ポリバレントでこなせる選手もおらず、選手の登録期間中に一枚加えたいところか。
(C)Getty imagesその他の注目クラブは?
■世界でも稀有なJリーグの魅力
優勝争いという観点では「本命」「対抗」「有力」「サプライズ」で取り上げた6クラブに名古屋とC大阪を加えた8クラブまでか。ただし、一昨シーズンに終盤まで残留争いを強いられていた神戸が、ジャンプアップして昨シーズンの優勝を果たした。その事実を考えても、何かのきっかけで、どのクラブにも優勝チャンスがあるというのが、世界でもあまり見ないJリーグの魅力だ。
またリーグ戦の上位3チームが2025-26シーズンのACLエリートに出場できる。3チームが自動降格という過酷なレギュレーションではあるが、賞金額が現ACLから3倍となるACLEの出場権をめぐっても激しい競争が繰り広げられることを期待したい。その意味で、DF中谷進之介やMF山田康太などの効果的な補強が目立つガンバ大阪、戦力充実のFC東京、攻撃力が自慢の北海道コンサドーレ札幌、JリーグYBCルヴァンカップ王者のアビスパ福岡なども、スタートダッシュに成功すれば十分に手が届く目標だろう。
昇格組のFC町田ゼルビア、ジュビロ磐田、東京ヴェルディはスタートダッシュはもちろんだが、シーズンを通じての成長力に期待したい。その結果、世間を驚かせる躍進を果たすかもしれない。
(C)Getty imagesJ2も群雄割拠
■タレント豊富な横浜FC
J2では戦術的な完成度の高いジェフユナイテッド千葉が「本命」、昨シーズン惜しくも昇格を逃した清水エスパルスが「対抗」と見るが、高精度の左足を誇るDF福森晃斗やFW森海渡などJ1も欲しがりそうなタレントを補強した横浜FCは侮れない。そのほか、新スタジアムのこけら落としを控えるV・ファーレン長崎、ACL16強にして強力な外国人FWを揃えるヴァンフォーレ甲府、気鋭の渡邉晋監督が指揮するモンテディオ山形なども怖い存在。
そして筆者が推す「サプライズ」は藤枝MYFCだ。選手たちが戦術をよく理解しながら、局面で個性を発揮するサッカーは昇格1年目で12位になった昨シーズンも見られたが、さらに磨きがかかりそうだ。これまで数多くの選手をJ1やJ2の上位勢に送り出しているが、理論派で、熱血漢でもある須藤大輔監督のもと、また新たな才能が藤枝の地で開花すればJ1昇格プレーオフには届くと期待している。
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