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急成長のガルナチョに「マンチェスター・ユナイテッドは相応しい」のか?若手スターの強烈な野心に応える必要性

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アレハンドロ・ガルナチョは、もはやマンチェスター・ユナイテッドの「将来の希望」ではない。現時点では「チーム最高の選手」と推すファンも多いだろう。過去4カ月以内にプレミアリーグで5ゴール5アシスト、直接10ゴールに絡んでいるが、これは主将ブルーノ・フェルナンデスと並ぶ数字である。

しかし、彼は数字だけではない。ピッチ上で見せる迫真のプレーに、オールド・トラッフォードのファンは総立ちだ。ボールを持つたびに大歓声が上がり、「ビバ・ガルナチョ、ウイングを駆け抜けろ、ユナイテッドの歌を受け」のチャントが湧き上がる。サポーターたちの間では、一種の「救世主」のような立ち位置にまで到達した。

2022年のFAユースカップで栄光をもたらして以来、ユナイテッドファンとガルナチョの間には特別な絆がある。トップチーム昇格によってその絆は強固なものとなり、並外れた才能とメンタリティによって絶大な信頼を得ているのだ。

もはや、ガルナチョは俗に言う「マンチェスター・Uに相応しい選手」であるだろう。だが、問題は「今のマンチェスター・Uはガルナチョに相応しいクラブなのか」ということだ。

文=リチャード・マーティン

  • Alejandro GarnachoGetty

    象徴的なウイングに

    ユナイテッドファンがガルナチョを愛する理由は簡単だ。この偉大なクラブを象徴するポジションはウイング。かつてのジョージ・ベスト、ライアン・ギグス、デイヴィッド・ベッカム、クリスティアーノ・ロナウド……例を挙げれば切りが無い。

    しかし、その後はアントニオ・バレンシアやシュリー・ヤング、アントニー・マルシャル、マーカス・ラッシュフォードらバトンを受け継いだ選手たちはやや迫力に欠けていた。そんな中で現れたガルナチョは、このポジションにおける新たなスターだ。16歳でアトレティコ・マドリーからユナイテッドの育成組織に加わり、ベストやギグス、ベッカムと同じくFAユースカップ優勝を達成している。そしてそれ以上に、彼のプレースタイル、スリリングなショーを披露する力こそ、彼を真のユナイテッド選手としているのだ。

    ユナイテッドのアカデミー部長、ニック・コックスは昨年『GOAL』のインタビューでこう話している。

    「我々のスタイルは、サポーターを椅子から立ち上がらせるものだ。それが彼の血に流れていると思う。創造的かつセンスを発揮しなけれないけないんだ。アレハンドロは、サポーターは選手を楽しませるというだけではなく、若手選手も自分たちの仲間だと感じて応援したいと思っていることをわかっているんだ」

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  • Alejandro Garnacho Manchester United Aston Villa Premier League 26122023Getty Images

    決定的な選手へ

    ガルナチョはただのショーマンではなく、この4カ月で決定的な選手へと成長した。まだ19歳であり、トップチームでのフルシーズンは初めてだが、苦しむチームの中でますます重要な存在になっている。第28節エヴァートン戦(2-0)を例に挙げると、ユナイテッドはホームで押され続け、90分間で23本のシュートを許した。ラスムス・ホイルンドのケガの影響で攻め手が殆ど見つからない中、責任を引き受けたのはガルナチョだ。エヴァートン守備を自ら切り裂き、2度もPKを獲得している。

    試合後、エリック・テン・ハーグ監督も「彼を愛している。若い選手であるために挑戦が必要だが、それを彼は愛しているんだ。とても勇敢で、自信に満ち溢れているね。彼を高いレベルまで押し上げなければならない」

  • Alejandro Garnacho Bruno FernandesGetty

    朝食の遅刻がキッカケに

    ガルナチョの才能は秘密ではなかったが、以前にはオフ・ザ・ボールの献身性や集中力に疑問もあった。テン・ハーグは称賛しながらも、「若い選手は、経験が浅いために難しいこともある。しかし、この集中力と姿勢を維持できれば試合ごとに成長するだろう」とその部分についても言及している。

    2022年のプレシーズン、ガルナチョはアジア遠征に帯同したものの、朝食に遅れて登場したことがあった。就任直後のテン・ハーグは規律を高めることの重要性を認識していたため、その後4つの親善試合でチームから外し、開幕後も11月のアストン・ヴィラ遠征まで先発はなかった。

    だがガルナチョはこの罰を受け入れ、それを真剣に取り組むことへのキッカケとしている。『The Times』によると、この期間中に彼はクラブに対し、専属の栄養士を雇うこと、さらに筋肉量を増やすために個人的なトレーニングプログラムを考案するように依頼したという。

    ブルーノ・フェルナンデスは、レアル・ソシエダ戦で彼が初ゴールを決めた際、「シーズンの初めはベストの状態じゃなかったし、ツアー中の姿勢は最高とは言えなかった。それがチャンスを掴めなかった理由だよ。でも、今は素晴らしいトレーニングをしているし、姿勢も以前とは全く違う。チャンスを得るに値するよ」と変化を語っている。

  • Alejandro Garnacho overhead kick Manchester United 2023-24Getty

    チーム屈指の存在

    そんなガルナチョだが、デビューシーズンはスーパーサブ的な評価が高く、先発出場ではあまり効果的ではなかった。それは今季序盤戦も同じであり、一時はやはりベンチに落ち着いている。しかし繰り返しになるが、彼は自分の欠点に取り組み、大幅に改善できるメンタルがある。

    あのエヴァートン戦の衝撃的なバイシクルキックの2日後、1年前に態度の問題があったことを話していたブルーノ・フェルナンデスは、ガルナチョのメンタリティを絶賛している。

    「彼は重要な場面で決定的な決断を下す特別な才能を持っている。エヴァートン戦でのオフ・ザ・ボールの働きは嬉しいいよ。僕としては、あの試合が彼の最高の試合だ。ゴールを奪うことと前線でチームをサポートするという自分の資質を組み合わせることができれば、素晴らしい選手になるだろう。年齢と才能を考えれば、もっと偉大な選手になれるはずだ」

    ガルナチョは、公式戦の直近25試合すべてに先発出場している唯一の選手だ。今季プレミアリーグにおけるプレータイムは、アンドレ・オナナ、ブルーノ・フェルナンデス、ディオゴ・ダロト、マーカス・ラッシュフォードに次ぐチーム5位。そして、試合への影響力もチーム屈指であることは間違いない。

  • Alejandro GarnachoGetty

    ユナイテッドはガルナチョに相応しいのか?

    アカデミー部長のコックスは「ガルナチョはサッカーに夢中だ」と語っており、ビデオ通話で初めて話した時から「可能な限り最高の選手になりたいと思っており、そのためにはどんなことでもやってのける」と感じていたと話す。

    彼のここ1年半の成長を見れば、3~4年以内にバロンドール候補の1人なれる可能性は十分だ。ピッチでの姿もそうだが、あの強烈な野心は信じる証拠になり得るだろう。その一方で、ユナイテッドはその野心に応えられるのだろうか?ガルナチョのような選手であれば、今後はプレミアリーグ優勝争いに参加し、チャンピオンズリーグでも決勝での活躍を期待されても当然だ。

    だが、今のユナイテッドにその機会を提供するのは難しい。今季はチャンピオンズリーグでグループステージ最下位、プレミアリーグでも4位アストン・ヴィラに8ポイント差をつけられている。過去5年間、ユナイテッドはチャンピオンズリーグ(18試合)よりもヨーロッパリーグ(33試合)の方がはるかに試合数が多い。来シーズンも、木曜夜の試合に挑むことになりそうだ。

  • real madrid(C)Getty Images

    ビッグクラブの関心

    16歳でガルナチョと契約した際、ユナイテッドは複数クラブとの争奪戦を制した。しかしその時ですら多くの関心を集めていた彼が、トップレベルでの名声を手にした今、他クラブが放って置くわけがない。例えば、レアル・マドリーから話が来た場合、どうなるのだろうか? 本人は子供の頃からマドリーファンであり、ロナウドに憧れていたことは周知の事実だ。それは今も変わらない。

    現時点で、マドリーにはベリンガムがおり、キリアン・エンバペとの契約に大忙しのため、ガルナチョに接触している兆候はない。しかしガルナチョが今のプレーを続ければ、『マルカ』や『as』の紙面を飾り、マドリーと結びつくまでそう時間はかからないだろう。

    エンバペの後継者が必要なパリ・サンジェルマン、リーグ優勝とチャンピオンズリーグ制覇の機会を提供できるバイエルン・ミュンヘン(今季は難しそうだが)など、今後ビッグクラブが触手を伸ばすことは間違いないだろう。

  • Garnacho-Man-UtdGetty

    ユナイテッドは成長についていけるのか?

    ユナイテッドは、依然として偉大な歴史と世界的なファンによって最大のクラブの1つである。だが、現時点でリーグ優勝は夢のまた夢であり、大きな国際大会には出場すらできていない(2025年にスタートする新生クラブ・ワールドカップの出場権もない)。

    そうした中、株式25%を取得した『INEOS』がサッカー部門の主導権を握ることが決定し、クラブ内部の変革は始まっている。だが、ジム・ラトクリフ卿は「間違った解決策に逸るのではなく、正しい解決策に向かって進んでいく」と話し、時間がかかることを強調した。

    ラトクリフ卿は、ユナイテッドが再びリーグ優勝を争うために「3年間」と見積もった。だが、本当に今の状況から3年間でその位置にまで行けるのだろうか? そして、恐ろしいスピードで成長し続けるガルナチョは、そんなに長く待つつもりなのだろうか?

    このまま行けばガルナチョは、ベリンガムやアーリング・ハーランドらユナイテッドが獲得を逃したスターに匹敵するレベルになるだろう。そして、ユナイテッドは彼のスピードについていかなければならない。さもないと、そのまま自分たちが届かない場所にまで駆け上がってしまうだろう。