2026年北中米ワールドカップ(W杯)のグループステージ組み合わせ抽選会が5日に行われ、前回王者のアルゼンチン代表はオーストリア代表、アルジェリア代表、ヨルダン代表と同組に。準優勝のフランス代表はセネガル代表、ノルウェー代表、そして大陸間プレーオフ枠の勝者(ボリビア代表、スリナム代表、イラク代表)と同居し、比較的ハードな組となった。今回の抽選結果で悪くない知らせを受けた国はどこか。『GOAL』は紹介していく。
GOAL 2026年W杯組み合わせ抽選の勝者と敗者:フランスは早い段階で試練に直面?
AFP勝者:アメリカ代表
マウリシオ・ポチェッティーノ監督を取り巻く状況が好転しつつあるアメリカ。アルゼンチン人指揮官は就任当初こそ厳しい批判に晒され、いくつかの痛い敗北や絶対的中心のクリスチャン・プリシッチとの関係悪化が指摘されたりもした。だが、何人かの軸を欠いたウルグアイ戦を5-1の大勝で飾るなど、5試合無敗の記録し、ポチェッティーノ監督も来夏のW杯で上を目指せると確信めくはずだ
率直に言えば、開催国は抽選でこれ以上にないほどのアドバンテージで優遇されることで、次のラウンドに勝ち進めない理由もほとんどない。オーストラリアはポット2だが、そのなかで下位のチーム。パラグアイも南米予選でぎりぎりの6位に滑り込み、オーストラリアと同じく得点力に課題がある。また、欧州プレーオフから出場しうるトルコ、ルーマニア、スロバキア、コソボはそこで争う国々のなかで力が劣る国と目される。したがって、これまでに築き上げてきた勢いを保てれば、2002年大会以来の準々決勝進も期待できるだろう。
Getty Images Sport敗者:フランス代表
48チーム制となる今大会でシード国の1つだったディディエ・デシャン監督のフランス。グループステージでの比較的楽な突破が予想されても不思議ではなかったが、早い段階で試練に直面し、実力が試されそうだ。ポット3勢のなかでどの国も避けたがったノルウェーと同居する運びとなり、フランスにとっても、このグループの首位争いで立ちはだかってくる相手なのは間違いなく、アーリング・ハーランドをどう封じるかだけを考えればいいわけでもない。
その他にもFIFAランキング19位のセネガルとも同じグループに。セネガルは今年初めの国際親善試合でイングランドを下しており、力を示す。さらに2002年の日韓大会でフランスを負かしたのがセネガルというのも注目すべきところ。今大会でその歴史が繰り返されるようなら、フランスは早期敗退に追い込まれてしまう恐れもありそうだ。
AFP勝者:ベルギー代表
ケヴィン・デ・ブライネを筆頭とした「黄金世代」が存在感を薄めるベルギーだが、まだ希望が失われたわけでない。カタール大会での惨憺たる戦いの末、数々のスター選手が代表から退いたが、デ・ブライネをはじめ、ロメル・ルカク、アクセル・ヴィツェル、ティボー・クルトワは今も代表でプレーしており、コンディションさえ許せば、この北中米大会に全員が出場する見込みだ。
予選でのベルギーはジェレミー・ドクが認めるように、確かにパフォーマンスが低調で、今大会の優勝候補と言える状況ではない。だが、ルディ・ガルシア監督が率いるチームは質と経験で不足なく、イラン、エジプト、ニュージーランドとのグループを難なく突破できるはず。優勝争いで脅威となりうるのもエジプトぐらいといえる。
Getty Images Sport敗者:スコットランド代表
1998年大会以来のW杯出場となるスコットランド。今回もブラジル、モロッコと同居する運びとなり、決勝トーナメント進出は難しいか。ブラジルはかつてほどの勢いがないとはいえど、史上最多5度の優勝実績を持つ強豪国であり、カルロ・アンチェロッティ監督のもとで確実に結果も上向く。さらに、元レアル・マドリー指揮官とあって、再会となるヴィニシウス・ジュニオールとロドリゴから大会中に最高のパフォーマンスを引き出しても驚きではない。
モロッコに関してもアフリカ勢として初のW杯優勝が期待される国であり、2022年大会は4位。現在も19試合無敗を記録中だ。したがって、スコットランドが次のラウンドに駒を進めるにはデンマーク相手に劇的勝利したような戦いが求められるだろう。熱狂的なサポーターの助力があれば、可能性はゼロではないかもしれないが…。
Getty Images Sport■勝者:スペイン代表
FIFAランキング1位のスペインはたとえ“死のグループ”に入ったとしても、優勝候補に目されるはずで、今回の抽選結果でよりその可能性が高まったことだろう。ウルグアイは予測不可能な感じがあるため、過小評価すべきではないが、先のアメリカ戦で1-5と大敗。マルセロ・ビエルサ監督が率いるチーム内では不穏な空気が漂い、大会までの監督交代も否定できない。
サウジアラビアに関しては国内リーグの巨額投資による外国籍選手の獲得が際立ち、2022年大会でアルゼンチンを相手に番狂わせを演じたが、代表ではやや停滞気味。カーボベルデ代表においては戦力値的にもスペインに敵いそうにない。スペインは準々決勝に勝ち進むと、アメリカか、ベルギーのグループの勝者と当たる。それを考慮すると、スペインが世界一の称号も手にする上で好位置につけているように感じる。
Getty Images■敗者:W杯での夢の決勝
リオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドは依然として時の経過に抗い続けている。この2人の生ける伝説が来夏、再びサッカー界最大の舞台に立つのはほぼ確実だろう。メッシに関してはアルゼンチンの「重荷」になるという兆候はほとんど見られず、むしろ2連覇を目指すチームで重要な存在であり続け、オーストリア、アルジェリア、ヨルダンと同じグループでの首位突破も難しくないはずだ。
一方のロナウドに関しては出場停止疑惑が晴れ、W杯での得点記録更新に期待がかかり、相手も大陸間プレーオフの勝者(コンゴ、ジャマイカ、ニューカレドニアのいずれか)と、ウズベキスタン。ポルトガルにとって、コロンビア戦がグループ首位突破をかけた大一番となりそうだ。
そんな時代を象徴する2人がW杯の決勝であたれば、これまでのライバル関係におけるドラマチックな結末であり、それの実現を期待する者もいたことだろうが、両国は同じブロックに入ったたことで叶わず。とはいえ、準々決勝で激突する可能性があり、実現すれば間違いなく盛り上がるだろう。