まずは、両軍の今季の戦いぶりから触れたいと思います。アーセナルはキャプテンでもあるウーデゴールを中心に攻撃面で一段と流動性が高まり、どこからでも点が取れるチームに仕上がりました。主力に負傷者が少なくないですが、プレミアリーグにおいても好調をキープしています。
他方、レアル・マドリーの場合は“いかにエンバペを組み込むか”という一大テーマに挑んだシーズン。ヴィニシウスとの関係性を含め、最適解とは言い難いものの、エンバペ自身は確実に数字を伸ばしており、出口が見えかけているのも確かです。
では、実際にゲームの図式はどうなるのか。どちらも絶えずボールを保持しながら、敵陣で戦いたいチームですが、その色がより鮮明なのはアーセナルのほうでしょう。相手がマドリーであっても、アルテタ監督はできるだけボールを渡したくないと考えるはずです。
そこで強みになるのが左サイドじゃないかと思います。機に乗じた攻め上がりで左ポケットを攻略するライスや“偽サイドバック”として自在に立ち回るルイス=スケリーらの絡みがポイントになりそうです。
これに対し、マドリーはどう出るか。おそらくはミドルゾーンに構え、中盤でのボールゲインから鋭いカウンターアタックを繰り出すプランかと。実際、エンバペ 、ヴィニシウス、ロドリゴの3トップにベリンガムが絡む速攻は当代随一の破壊力を持つことを考えても、勝機は十分でしょう。決して1つのやり方に特化せず、常に相手の出方に応じて、勝つための最適解を選択するのがマドリーの流儀ですからね。
アーセナルとすれば、攻めに回った際にできるだけマドリーの両翼(ヴィニシウスとロドリゴ)を押し下げ、速攻に転じにくい状況をつくり出したいところでしょう。両サイドの攻防、押し引きがカギを握るような気がします。
最後に勝敗を予想すると、圧倒的な経験値を備え、2ndレグをホームで戦う利点を手にしたマドリーが少しばかり有利なのではないでしょうか。