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【CL特別企画】中村憲剛“監督”が指揮したい欧州最強ベストイレブンを選出。サッカー観も明らかに

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 新フォーマットに基づいて開催されている今季のUEFAチャンピオンズリーグはリーグフェーズを終え、ノックアウトフェーズに突入。そこで元日本代表であり、昨年JFA Proライセンス(S級ライセンス)を取得した中村憲剛氏に、ノックアウトフェーズに残ったチームの中から自身が指揮したい“最強のイレブン”を選んでもらった。

 選考に先立ち、憲剛氏が選んだフォーメーションは1-4-1-2-3。現役の頃から注目してきた強豪バルセロナ(スペイン)の伝統的な布陣であり、憲剛氏はチームのヘソにアンカーが収まる形を1つの理想として掲げる。ただ、相手の出方を見ながら各々が立ち位置を変える“可変式”の含みがあり、あくまでも初期配置という位置づけだ。憲剛氏の選んだイレブンとその理由とは?


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  • zommer(C)Getty Images

    GK:ヤン・ゾマー(インテル)

     守護神と聞いて、真っ先に思い浮かぶ選手です。必ずしもサイズには恵まれていませんが、ボルシア・メンヒェングラッドバッハでプレーしていた頃から卓抜したセービングに注目していました。なかでも、特大のインパクトを放つのがショットストップです。ゴールネットを揺らす寸前だった決定的なシュートをことごとく防ぐ姿を何度も目にしてきました。現代のGKには安定したセービングのほかにビルドアップの能力も必須の要素になりつつあります。かつてのゾマーはこの分野のスペシャリストではなかったと思いますが、近年は進歩の跡が見て取れます。とりわけ、インテルに加入して以降、その印象がさらに深まりました。若き守護神の選出も考えましたが、やはり経験値の高さがプラスに働くポジションでもあります。コーチングの質や厚みはもちろん、最後尾から味方を動かす統率力に加え、冷静沈着な立ち回りがチーム全体にもたらす安心感と、周囲から寄せられる信頼の厚さは別格のものがあると思います。

  • Kimmich(C)Getty Images

    RB:ヨズア・キミッヒ(バイエルン)

     このポジションには複数のタスクをこなせるユーティリティー・プレーヤーを求めました。そこでチョイスしたのがサッカーIQの高いキミッヒです。技術レベルが高く、周囲の選手たちとうまく連携しながらビルドアップにコミットし、ボールを速やかに前進させる力を持っている点は大きな魅力の1つでしょう。高い位置に攻め上がり、多彩なクロスでサイドアタックの起点になることもあれば、中盤の深い位置に陣取り、ピボットの役割を担うケースもあります。守から攻へ転じた際に守備側の目線をずらして、混乱に陥れるという意味でも“偽サイドバック”の適材だと思います。あとは自分が監督をやるならば、戦術眼を含め、理解力に卓越した選手を最もベンチに近いポジションの1つに据えたいという思いもありました。試合中に声をかけた際、こちらの狙いや企図を素早く汲み取り、それをチームメイトに伝える仲介者として、大いに期待できるからです。その点においてもキミッヒは最も適した選手だと思います。

  • Pau-Cubarsi(C)Getty Images

    CB:パウ・クバルシ(バルセロナ)

     このポジションに求めたいのは守備力もさることながら、攻撃の起点となりうるビルドアップの能力です。その点において、最も目を引く存在がクバルシでした。年々、守備側の圧力は高まる一方で、プレス回避の力量に欠けると、失点につながりかねません。しかし、クバルシにはその手の不安がないばかりか、遠くを見る力があり、最後尾からやすやすとライン間の味方へパスをつける力を備えています。その点は大きな魅力ですね。肝心の守備に関しても対人に強く、駆け引きが上手で、おいそれとはやられません。18歳という若さながら、攻と守の両面における安定感が名門バルセロナで定位置を確保している理由でしょう。今季はフリック新監督の下で大胆なハイラインにトライし、ライン操作を含めた経験値が一段と向上。それこそ、ベテランのような落ち着きと全体を俯瞰しながら冷徹に戦況を見極める様はディフェンス・リーダーそのもので、年齢的な伸びシロまであるのですから、期待しかありませんね。

  • Pau Torres(C)Getty Images

    CB:パウ・トーレス(アストン・ヴィラ)

     左利きのセンターバックでは世界最高峰だと個人的には思っています。なかでも、守備側の中盤ラインを鮮やかにブレイクして味方につけるパス能力はピカイチ。東京五輪でU-23日本代表を大いに苦しめたハイパフォーマンスが鮮烈な記憶として残っています。ビジャレアル時代に師事したウナイ・エメリ監督率いるアストン・ヴィラに移籍して、さらにワンランク上のセンターバックに脱皮した感があります。当然ながら水準以上の守備力を備え、190cmを越えるサイズも強みと言えるでしょう。右のクバルシと同じスペイン人を選んだのは偶然ではなく、意図したものです。どちらも相手側の防御システムを無効化する立ち位置からプレス回避の手立て、それを実践するための技術に至るまでビルドアップのイロハを知り尽くしており、敵を守備に回せるにはうってつけの存在と言ってもいいでしょう。強いチームと戦う場合も受け身にならず、主導権を握って戦いたいという僕の考えに合致する選考だと思います。年始に負傷離脱してしまいましたが、復帰が期待されるラウンド16でのプレーにも注目したいですね。

  • Gvardiol(C)Getty Images

    LSB:ヨシュコ・グヴァルディオル(マンチェスター・シティ)

     左サイドバックにはセンターバックの仕事もハイレベルにこなす“左利き”のグヴァルディオルを選びました。理由は大きく2つあります。1つは右サイドバックとの兼ね合いですね。キミッヒはビルドアップの際に右のワイドや中盤センターに立ち位置を取る機会が多くなると思うので、左サイドバックには最後尾に残って、2センターバックと“3枚回し”の一角を担える人材がほしい。それならば、シティで同種のタスクをこなすグヴァルディオルが適材だと考えました。もう1つの理由は左ウイングとの兼ね合いです。ここにはワイドから鋭く仕掛ける突破型の選手を置こうと考えているので、左サイドバックには後方支援をベースにしながら、機に乗じてインサイドから攻め上がるタイプを求めました。さらに細かい点まで触れると、全体的に最終ラインの“高さ”がやや足りないため、それを補うという意味でも貴重な存在になりうると思います。もちろん、トータルで見ても守備力の高さは大きな魅力ですね。

  • Casadó(C)Getty Images

    DM:マルク・カサド(バルセロナ)

     アンカーはチームのヘソとなる重要なポジション。そこでどう立ち回るべきか――その術をしかと心得るカサドを据えたいですね。小柄ですが、確かな戦術眼を備え、相手をよく見ながらプレーする点など、先達のセルヒオ・ブスケツと重なる部分が少なくありません。さすがはバルセロナのカンテラ育ちといった感じです。ビルドアップを試みる際、アンカーの選手が隠れてしまうと、プレスの的が絞りやすくなり、守備側の思うツボですが、カサドは相手FWの背後に生じる隙間から積極的に顔を出してボールを引き出し、素早く前を向いて四方にパスを散らす力を持っています。そのうえ、強度の高い守備力をも備えているのですから、文句なしの優等生と言ってもいいでしょう。ヘソのポジションに絶えずアンカーがいないと、攻守のバランスが崩れやすいですが、カサドがいれば、その不安も解消されます。個人的に2センターバックとアンカーを含む“トライアングル”はワンセットと考えており、結果としてスペイン人トリオを選ぶことになりました。

  • Valverde(C)Getty Images

    CMF:フェデリコ・バルベルデ(レアル・マドリ―)

     右のインサイドMFに求めたのは攻守両面に深くコミットする“8番”。そのハマり役として、ケタ外れの行動範囲を誇るバルベルデを選択しました。ピッチの至るところに現れては消え、また現れる神出鬼没のB to B(ボックス・トゥ・ボックス)です。彼以外の中盤2人が“軽量級”ということもあって、不安要素とも言うべき中盤のバトルでおいそれとは負けない強度の高さは大いに頼りになると考えました。実際、危機察知能力に卓越し、プレスバックも厭わない優等生です。また、ミドルレンジから繰り出される強烈な一撃も魅力の1つでしょう。持ち前の推進力を生かしてゴールに絡めるところも強みになります。あとは右サイドバックにチョイスしたキミッヒとのポジションチェンジも守備側をかく乱する武器として十分に期待できるところです。右サイドバックはすでにマドリ―で適応済みですからね。いかにも南米の選手らしく技術もしっかりしているので、パスワークを軸にしたスタイルでも十分にやれるはずです。

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    CMF:フロリアン・ヴィルツ(レヴァークーゼン)

     中盤3枚のラストピースがヴィルツです。いまや守備側のボランチの背中を取らせたら、彼がナンバーワンなんじゃないかと。実際、ライン間でボールを受けてから前を向くと、守備側にとって怖い仕掛けができる選手ですね。自らボールを持って切り込むこともあれば、味方を使うこともあるので、守備側は的を絞るのが難しい。そのあたりも彼の強みでしょう。また、彼を選んだ理由の1つに、ひたすら前線で待ち続けるだけでなく、少し後ろに落ちてビルドアップに絡み、相手をかく乱できるところです。最終局面の崩しに特化したセカンドアタッカーとしてだけではなく、中盤の一角として振る舞う感覚と技量を兼ね備えていることが選考の決め手になりました。彼がやや後方に落ちて守備側の選手を釣り出し、空いたスペースにバルベルデが走り込み、フィニッシュを狙うような場面が容易に想像できます。3トップと高密度で連動する才覚も折り紙付きで、9番や両ウイングの持ち味を存分に生かすキーパーソンとなるでしょう。

  • Yamal(C)Getty Images

    RWG:ラミン・ヤマル(バルセロナ)

     右のウイングには底知れない可能性を秘めるスペインの超逸材、バルセロナが誇る18歳の“神童”を選択しました。スペインが優勝を果たした昨年のEUROでは最年少ゴールをはじめ、次々と大会記録を塗り替えています。特筆すべきは単騎突破の破壊力のみならず、味方を生かす利他的なプレーを矛盾なく両立させるバランス感覚。それはカットインからの鋭いフィニッシュと繊細なラストパスを上手に使い分ける成熟したスタンスに通じるものです。当代でも指折りのマルチロールであるバルベルデやキミッヒとの右サイドにおける絡み、コンビネーションはただの足し算ではなく、掛け算的な効果を期待できるんじゃないかと。また、クレバーな頭脳の持ち主だけに、左インサイドMFのヴィルツ、さらには9番や左ウイングの担い手とも上手くやっていけると思います。十分な実力を備える候補者が少なくない中で、彼を選択したのも孤高のソリストではなく、協調性に富んだキャラクターゆえです。

  • Mbappe(C)Getty Images

    CF:キリアン・エンバペ(レアル・マドリ―)

     9番のポジションも彼以外の選択肢が浮かびませんでした。昨季までならヴィニシウスと双璧を成す左ウイングの最有力候補でしたが、今季から本格的に9番にトライ。当初はフィットしませんでしたが、徐々に適応し、ついにはド派手なゴールラッシュを演じるまでになりました。その見事な仕上がりぶりを見れば、さすがに選択肢から外す理由はありません。また、左ウイングにヴィニシウスを選んだこともあり、試合中のポジションチェンジも可能になります。また、前線からやや後方に落ちて中盤の3人と絡み、攻撃のテンポをつくり出すというメリットも期待できます。死角があるとすれば、やはり“高さ”でしょう。クロスのターゲットとしては物足りないですが、地上戦における圧倒的な存在感はそのデメリットを打ち消して余りあるものだと思います。さらに付け加えると、敵陣にスペースが広がるカウンターアタックの局面では決定的な存在となりうるだけに、スピアヘッドとしては申し分ないと思います。

  • Vinícius(C)Getty Images

    LWG:ヴィニシウス(レアル・マドリ―)

     僕にとって、左ワイドを担うヴィニシウスはオートマチックチョイスに近いですね。たった1人で局面を打開する破壊力は、いまやエンバペのそれと並ぶ当代屈指の代物かと。実際、左のワイドオープンからアクションを起こす仕掛けは、ほとんど止める手立てがないほどです。なかでも、守備側にとって最大の脅威は鋭いカットインからのフィニッシュかもしれません。右のヤマル同様、インサイドに潜り込んで決定的な仕事もできますが、縦への突破からアシスト役に回ることも厭わない姿勢が左ワイドの第一人者へ押し上げる要因の1つでしょう。懸案事項はやはり強度という点で不安が拭えない守備力ですが、そのマイナス要素を補って余りある攻撃のスペシャリストですね。スピードに恵まれているうえに、相手DFと駆け引きした末の裏抜けも巧み。カウンターアタックを狙える局面ならば、MF陣の放つスルーパスから一発でライン裏に抜け出し、楽々とゴールネットを揺らせるでしょう。それも大きな魅力ですね。

  • kengo-fom2(C)GOAL/Getty Images

    ベストイレブン完成…!

     今回、ベストイレブンを選ぶにあたってのコンセプトは、自分たちがボールを握り、相手陣地でプレーを続け、ボールを失ったら即時奪回を試み、再び攻めに回るサッカーを演じることです。敵陣深く押し込み、相手を釘付けにするサッカーにトライしたいですね。もちろん、理想だけでは戦えないのも事実。そこで相手陣内でゲームを進められない場合の“保険”として、圧倒的な個の力を誇る3トップを選ぶに至りました。無論、彼らに攻撃を丸投げするつもりはありませんが、堅陣を固めて、カウンターアタックから勝機を探るオプションを捨ててはいません。

     ちなみに、今回のベストイレブンに関連する“裏テーマ”は《打倒リヴァプール》でした。リーグフェーズを堂々首位で通過した地力の強さを踏まえても、現時点における最強チームですからね。ベスト11にリヴァプールから1人も選べなかった理由です。いったい、誰を選べば勝てる陣容が整うのか。その問いを出発点にして、11人を選びました。