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【クラシコ特別企画】メッシ、ロナウジーニョ、イニエスタ…現地記者が選ぶバルセロナの最強ベストイレブンは…
©Getty Images■GK:ビクトール・バルデス
現守護神のマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンこそが、バルサがこれまで擁してきた中で最も優れているGKかもしれない。が、ビクトール・バルデスは最も輝かしい黄金期の中心メンバーだった。彼はバルサにとって悩みの種であり続けたGK論争に終止符を打ち、2006年チャンピオンズリーグ決勝アーセナル戦をはじめ、幾度にもわたって決定的な活躍を披露した。
バルデスはそれ以前のバルサが持ち得なかった信頼の置けるGKで、機敏なセーブと強靭な意志を持ち合わせたばかりでなく、バルサのDNAたる優れた足元の技術でもって攻撃をスタートさせる役割を担った。子供の頃からバルサのカンテラに所属していたという事実は、バルセロニスタたちにとって大きな価値を持つことだ。だからこそ、テア・シュテーゲンを差し置いてでも、ベストイレブンに入れなければならなかった。
©Getty Images■右サイドバック:ダニエウ・アウベス
ダニ・アウベスは、バルサの理想のサイドバック像を体現する存在と称しても差し支えない。攻撃的で技術があり、持ち前の勇敢さでもって1対1の局面を攻略すると、正確なクロス、もしくは強力なシュートを放ち観客に喜びを供した。そして試合終了のホイッスルが吹かれるまで何度も、何度もアップダウンをまで繰り返し、サイドバックとウイングの役割を兼任する、その恵まれたフィジカルは特筆に値する。セビージャ、ブラジル代表、ユヴェントス、パリ・サンジェルマン、そしてバルセロナに在籍した彼はフットボール史上最も多くのタイトルを獲得した選手でもある。
©Getty Images■センターバック:カルレス・プジョール
プジョールはベッケンバウアーでもテュラムでもマルケスでもない。が、その類い稀なるリーダーシップと献身性、そして手にした結果によって、バルセロナ、ひいてはスペインフットボールの象徴的存在となった。プロフットボールの世界において才能は必要不可欠なものだが、それと同時にプレーに臨む姿勢も大切なのだと、彼という存在は訴えかけてくる。バルセロナ一筋のキャリアを送った現代フットボールの絶命危惧種ワン・クラブ・マンであったことも含め、まさに尊いプロフェッショナルであったし、バルサのカンテラでプレーする全選手にとっての模範である。
©Getty Images■センターバック:ジェラール・ピケ
バルサのカンテラ出身ながら17歳でマンチェスター・ユナイテッドに移籍し、ペップ・グアルディオラたっての願いにより移籍金500万ユーロでバルサに復帰したピケ。ロナルド・クーマン以降では、バルサ史上最高のプレー構築型CBだ。試合の流れを見事に読むことができ、ポジショニングとパス精度は抜群。バルサにとって、こうしたCBは絶対に欠かせない。プロフェッショナルや献身性という点ではムラもあり、プジョールがそれを埋め合わせていたあの時代は最高だった。
©Getty Images■左サイドバック:ジョルディ・アルバ
ファン・ブロンクホルスト、アビダル、シウビーニョ、マックスウェル……。バルサではアルバが登場するまで、議論の余地のない左サイドバックが存在しなかった。彼がそのポジションを占有するようになってから、もう7シーズンが経過しているのだ。ダニ・アウベスのようなテクニックやクロスの精度はないものの、細かい連係プレーや得点力には目を見張るものがある。メッシは彼のオーバーラップを常に気にかけており、二人で幾度もゴールを陥れてきた。相手DF陣はこのホットラインを意識してはいるが、それでも止めることができないでいる。
(C)Getty Images■アンカー:セルヒオ・ブスケッツ
フットボールはセルヒオ・ブスケッツに借りがある。彼はここ10年にわたって、そのポジションでは議論の余地なく最高の選手であり続けているにもかかわらず、ザ・ベストやワールド・プレーヤー・オブ・ザ・イヤーの候補に含まれてこなかったのだから。チームメートたちを輝かせるための戦術的、個性的な犠牲を厭わず、的確なポジショニングといつ相手を潰さなくてはいけないのかという判断力は比類ない。『ツイッター』、『フェイスブック』、『インスグラム』と、SNSを使用していないところも、じつに彼らしい。が、やはり日の目を見るべき存在だ。
©Getty Images■インサイドハーフ:チャビ・エルナンデス
チャビの選出理由を説明する必要など、一体どこにあるのだろうか? ボールの魔術師、予知能力者……自分の足元にボールが届く前からプレーの解決法を頭の中で浮かべており、それだけでなくすぐさま実行に移すだけのテクニックを有しているのが、チャビ。ひょっとすれば、華やかな選手と感じていなかった人たちもいたかもしれない。しかし、彼がピッチ中央に君臨するバルサとスペイン代表は、どの時代のどのチームよりも煌びやかだった。
「フットボールにおけるスピードとは、身体的ではなく頭脳的なものを言う」。そんなことを語る指導者もいるが、その点でチャビは史上最速の選手であり、史上最高の選手の一人にも数えられるべきだ。
©Getty Images■インサイドハーフ:アンドレス・イニエスタ
イニエスタのような選手はこれまで存在しなかったし、これから現れることもない。巧緻かつエレガントな彼は、偉大な選手となる条件に強靭なフィジカルが必要ないことを証明した。身長、体重、身体的スピードなどなくても、あふれんばかりの知性と才能があれば、それだけでいい。それだけで、身体的に勝る相手選手たちをするりするりとかわして、チャンスを創出することができる。そしてそれこそが、フットボールの真髄、醍醐味なのである。
イニエスタは重圧なしでフットボールを楽しむため日本へと旅立った。しかしカンプ・ノウの観客はいまだに、その唯一無二の影をピッチ上に探し続けている。モネの描線、マイルス ・デイヴィスの音、ベネデッティの詩歌、イニエスタのコントロール・オリエンタードの美しさは同じである。彼は私たちのノスタルジックな心の中で、スパイクにボールをくっつけてダンスを踊り、永遠へと続くパスを通すスペースを探している。
©Getty Images■右ウイング:リオネル・メッシ
史上最高の選手。それだけの説明で事足りるだろう。バルサのトップチームデビュー時から、メッシ以上に均衡を崩せる選手は存在せず、しかも年月の流れとともにさらなる進化を果たしている。彼は誰よりも見事なゴールを量産するだけでなく、誰よりも見事なアシストを記録して、それに誰よりもプレースキックがうまい。バルサでは史上最多となる33タイトルを獲得しているが、その33タイトルすべての立役者である。違う惑星のフットボーラーというのはおそらく真実で、もしそれが虚偽であるならば、地球人としてこの上なく誇り高いことだ。
©Getty Images■センターフォワード:サミュエル・エトー
2005−06シーズン、2008−09シーズンのチャンピオンズリーグ決勝でゴールを記録。21世紀のバルサが擁したセンターフォワードの中でも、最も輝きを放った選手がエトーである。相手DFが捉え切れないほど速く、前線から積極的にプレッシングを仕掛け、いつも闘争心を燃やしていた……。しかしグアルディオラがメッシにファルソ・ヌエベ(偽9番)の役割を務めさせると、いつもスタメンであることを望んだこの男は、バルサから出て行くことを決断している。
©Getty Images■左ウイング:ロナウジーニョ
ロナウジーニョとネイマールの違い、それは前者が2003年に落ちぶれていたクラブ(4シーズン連続で無冠だった)に加わり、彼を中心とした勝者のチームがつくり上げられたことだ。ロナウジーニョは見る者を魅了するそのプレーでリーガ、チャンピオンズリーグ優勝を達成し、バルサに笑顔を取り戻させた。クラブの歴史は彼の到着から、それまでと異なる軌道を描き始めたのだ。
ブラジルのジョゴ・ボニート(美しいプレー)を体現したロナウジーニョは、カンプ・ノウだけでなく、スペインの多くのスタジアムでスタンディングオベーションを受けた。レアル・マドリーの本拠地サンティアゴ・ベルナベウも含めて、である。バルサが3−0で勝利したあの試合、交代でピッチから下がるロナウジョーニョに対して、マドリディスタたちが不甲斐ない自チームへのあてつけのように冷淡な表情で拍手を送った場面は、クラシコの歴史に深く刻まれている。
文=トニ・フリエロス(Toni Frieros)『スポルト』編集デスク
翻訳・構成=江間慎一郎
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