日本初の女子プロサッカーリーグ・WEリーグが開幕し、メディア、そして何より多くのサッカーファンが女子サッカーを目にするようになった。
2011年のなでしこジャパン女子W杯優勝から、10年の節目に当たる2021年。女子サッカーは、いわゆるフィーバーを過ぎてしまったかもしれない。しかし、まずはスタートを切ったこと、それが何よりも大切なことだろう。なぜならWEリーグに参入するクラブの条件として、「U-18、U-15、U-12チームを保有すること」という条項があるのだ。現在のクラブ数はまだ11だが、この参入条件こそ、女子サッカーが抱える課題解決の糸口になるのではという期待が非常に大きい。
■5人に1人。女子サッカー選手がいなくなる
© 2019 adidas Japan K.K.U-12に該当する小学生年代は、サッカー少年団と組み合わせて女子チームを保有する団体が多い。昨今は男女別にトレーニングを行うチームも多いが、以前は男女合同、または女子選手が男子チームの試合に出場する光景もよく見られた。こうした背景から11~12歳は女子サッカー選手登録が最も多い年代でもある。しかし卒団し中学に上がるタイミングで、大きな壁が立ちはだかる。
「学校で(サッカー以外の)部活に入らなきゃいけないから」
「近くにチームがないから」
「男子とは体格が違うから」
様々な理由で、中学校進学を機に「サッカーを続ける」という選択肢が急激に狭まる。これこそ女子サッカーが長年抱える最大の課題なのだ。
U-15の男子チームは全国に7,000以上存在するのに対し、U-15女子は187チームで、中学年代のチーム数のたった3%しかない。選手数に関して言えば、女子選手の5人に1人がここでサッカーを辞めてしまっている。サッカーをプレーする少女たちは、12歳という年齢で選手として競技を続けるか否かの選択を迫られるのだ。
高校でサッカーを再開する選手も多い。しかし身体が大きく変化する中学の3年間は、選手として成長できる大切な期間であるのは言うまでもない。
■指導者の背中を継続的に押すHER TEAMプロジェクト
© 2019 adidas Japan K.K.「U-15世代の女子に、選手としての選択肢を広げること」。この期間のサポートは、日本の女子サッカーの発展のためにも解決すべき大きな課題だ。
「スポーツを通して、私たちには人々の人生を変える力がある」という理念を持ち活動を行うアディダス。「サッカーを女性の身近なスポーツに」「女性が輝く社会の実現」というなでしこ visionを掲げるJFA。この二者が先の共通認識のもと、「女子中学生のチーム創設支援を通し、 U-15世代がプレーするための環境を整える」ことを目的とし、2020年「HER TEAM」プロジェクトを発足した。
これは選手の啓発や、一過性のイベントを行うだけのプロジェクトではない。指導者が女子チームを結成する際の創設支援をはじめ、日々の指導に関するサポートなども含めたチーム運営を、二人三脚で支えていく継続的なプロジェクトなのである。
例えば、地元のコーチたちによって支えられる少年団は、古くから築かれた地域との信頼関係によりスムーズな運営ができている。対してゼロからの新たなチーム作りはそう簡単ではない。また、少しずつ親離れしていく年代でもあるU-15世代のチーム運用において、コーチの負担は明らかにU-12世代よりも多いと考えられる。
「HER TEAM」プロジェクトでは、チームユニフォームの提供、選手の募集告知サポート、そして指導者に向けたコーチング指導などを中心に行う。これは指導者がよりスムーズにチームを運営し、継続して指導できるように考えられたものだ。
このプロジェクトを通して昨年は、U-15のチームが存在していなかった都道府県を中心に、新たに10チームが設立された。
「チーム立ち上げにかかるコストは大きい。特にユニフォームは選手と家族にかかる負担が大きいため、提供してもらえるメリットは非常に大きかった」
「チームの指導者に志願する人は一定数いる。しかし、そもそも選手が集まるのかが分からず二の足を踏んでしまうことも。『HER TEAMプロジェクト』では、そうした際のサポートが具体的で有効だと思った」
プロジェクト参加者からは、こういった声が寄せられている。
■澤穂希と岩渕真奈、女子サッカー第一線からの声
© 2019 adidas Japan K.K.そして、adidasは「HER TEAM」プロジェクトの2021年度の募集に際し、日本の女子サッカー牽引してきた澤穂希さんと岩渕真奈による特別対談ムービーを公開した。サッカーを続けるための選択肢が少ないことは、いまの女子サッカーにとって最も大きな課題だ。その課題を解決するための一つが「HER TEAMプロジェクト」である。
それとともに、周囲の人間のより細やかなサポートも必要だろう。そのことが、選手としての視点はもちろん「サッカーといかに関わり、自分自身が将来どうなっていきたいか」と、少女たちに考える時間を与えることになる。
まずは10代の大事な期間を、指導者を中心にサッカーファミリーが支える環境を作る。これこそが女子サッカー、そしてWEリーグの未来を支える大きな助けとなるのではないだろうか。
