■「異例」の移籍
リヴァプール移籍が決定した日本代表MF遠藤航について、有力メディア『The Athletic』が分析している。
今夏にファビーニョとジョーダン・ヘンダーソンが相次いで退団したため、中盤の補強が急務となっていたリヴァプール。モイセス・カイセドやロメオ・ラヴィアはチェルシーとの争奪戦に敗れたと伝えられたが、最終的に日本代表キャプテンを最大2500万ユーロ(約40億円)とされる金額で獲得している。
現地でも驚きを持って伝えられた今回の移籍だが、『The Athletic』は「イングランドサッカー界ではあまり知られていない名前」としつつ、「リヴァプールが夏の間を通して注目していたエキサイティングな若手有望株ではない。遠藤はその対極、確立された経験豊富なオペレーターだ。ファビーニョ、ヘンダーソン、ミルナーを失った彼らにとって、遠藤の経験値は本物の資産になる」と指摘した。その上で、以下のように続けている。
「リヴァプールが30歳の選手に移籍金を支払うのは異例だ。2020年にバイエルンから加入したチアゴ・アルカンタラ(当時29歳)は、2016年以降では初めて移籍金を支払った26歳以上の選手である(金額は3000万ポンド)。リヴァプールはこの夏に“灯台”や“ダイソン”(共にファビーニョの愛称)を失ったかもしれないが、彼の後任は“戦士”であり“闘士”であり、“ハートビート”であって“ボディーガード”だ」
「遠藤はセントラルMFと守備的MFでプレーが可能で、『守備的なNo.8』と表現されるのが最も適切だろう。退団するクラブの全員から愛される彼は、信じられないほど献身的なプロフェッショナルとして知られている。代表戦後の長旅を終えた後でも、すぐさまジムに向かうほどだ」
■遠藤の獲得の評価は?
また、過去3シーズンのブンデスリーガでの欠場試合数がわずか「3」であることを紹介し、「謙虚で物静かなリーダー。多くを語らないかもしれないが、話す言葉は大きな重みを持つ。英語も堪能である。トップレベルで戦うにはまだ調整が必要な中盤に、権威とオーガナイゼーションを与えるはずだ」と評価している。そしてドイツで残した様々なスタッツを紹介した後、以下のように分析した。
「ポゼッションにも適応できる積極的な守備者であり、プレーやチャンスを作る上で存在感を発揮できるバランスの取れた選手。ハードワークをいとわず、ゲーム展開を読み、危険を察知し、広いスペースをカバーする戦術的なインテリジェンスもある」
最後に、今回の移籍を評価。「衰えつつあるファビーニョを4000万ポンドで売却したのは良いビジネスだが、およそ半分の金額で再販できる可能性の低い少し年上の遠藤と交換するのは、理論上、説得力に欠ける」と指摘。しかし「正しいかどうかは時間が経てばわかる。リヴァプールにポッカリと空いた穴を埋められる選手になるかもしれない。彼の存在でリヴァプールが優勝候補になれるほどのインパクトを残せるかは定かではないが、少なくとも安心感を提供してくれるはずだ」と綴っている。




