サウサンプトンの本拠地、セントメリーズ・スタジアムに懐かしい顔があった。ペンを片手にメモを取りながら見つめる、その視線の先には吉田麻也がいた。清水エスパルスで長く活躍し、日本代表でもセンターバックで鳴らした齋藤俊秀だ。現在は森保ジャパンのコーチを務める。9月から始まる2022年ワールドカップ(W杯)カタール大会のアジア2次予選を前に、代表キャプテンのコンディションを確かめるため視察に来たのだろう。
■開幕ベンチから2節目で先発
(C)Getty Images2019年8月17日、イングランド・プレミアリーグの第2節、サウサンプトン対リヴァプール。1週間前、大雨のなか0-3でバーンリーに大敗した開幕節はベンチから戦況を見ただけに終わった吉田がこの日、先発に返り咲いていた。
実はこの2日前まで吉田はサブ組で練習していた。「我慢だな」と覚悟したという。ところが前日になって、ラルフ・ハーゼンヒュットル監督は吉田を先発組に抜擢。その理由を指揮官は「吉田のような経験のある選手が中央にいることが重要だった。昨季ホームでのリヴァプール戦では同じ5バックで戦い、とても良かったから」と明かした。今年4月の対戦は1-3で敗れたが、いい印象があったのだろう。
その期待通り、吉田を中央センターバックに置く5バックは前半アディショナルタイムに先制点を失うまでリヴァプールの攻撃をはね返し続けた。昨季終盤、肺炎を患って戦線離脱していた吉田にとって、シーズンオフをはさんで約4ヵ月ぶりのプレミアリーグ戦。プレシーズンで実戦は経験していたがプレミアリーグはスピードが違う。
幸運だったのはリヴァプールがこの3日前、酷暑のイスタンブールで行われた欧州スーパーカップでチェルシーと120分間のあとPK戦にまでもつれる大激戦を戦っていたことだ。しかも先発は8人が同じで、かなり疲労が見てとれた。とはいえ、チャンピオンズリーグ覇者でリーグ2位だけあり、ときおりスイッチを入れて仕掛けてくる攻撃は速かった。
結局、サウサンプトンは後半に凡ミスから再び失点。1点を返して終盤に反撃を仕掛けたが、決定機を逃して1-2で敗れた。開幕2連敗を喫したが、吉田はほぼノーミス。サラーが繰り返し吉田の背後を狙ってきたが上手く対処した。攻撃面でもCKから絶好のヘディングシュートを放ち、ロングパスで攻撃をビルドアップするなど、90分間にわたって攻守両面で存在感を示した。
試合後、ハーゼンヒュットル監督は守備陣について、「今日もほとんどの時間帯、とてもいいプレーをした。素晴らしいゲームだった。今日の敗戦は守備陣が理由ではない」と評価した。
一方、吉田は「こういう試合を取りこぼさないのは“強いチームだな”と思う。逆に僕らは、一歩足りない」とくやしさをにじませた。だが達成感も得た。「ゲーム中、徐々に慣れて勘を取り戻した。後半はすごくやりやすくなった。ただ後半の途中からのプレーを立ち上がりからできるようにならなきゃいけない」。4ヵ月ぶりだったわりにはすぐに勘を取り戻し、まずまずのプレーが出来たことに手応えを感じてようだ。
これで次戦、24日に行われるブライトンとの敵地でのローカル・ダービーでも先発する可能性が高まった。「次は絶対に勝たなきゃいけない試合。また1週間、いいトレーニングをしなきゃ」とネジを巻いた。もし今季初勝利を挙げれば、吉田のレギュラーの座はさらに確固たるものになる。
■「行きたい」。代表招集を望む
(C)Getty Images試合後、齋藤コーチも「麻也が、いかに激しい相手に対し、いいプレーをしているか見ることができてよかった」と満足そうだった。吉田も「せっかくトシさん(齋藤コーチ)が視察に来てくれたのに、出てなかったら意味なかった。いまはDAZNで見られるけど、コーチ陣が実際に来て、感じてもらえるというのは大事だと思う」と笑みをこぼした。いかに激しくて速い世界最高峰のリーグで戦っているか、直に感じてもらえたことを素直に喜んだ。
このままサウサンプトンで先発出場し続けたら吉田はさらに勘がみがかれ、もっといい状態で9月の代表戦を迎えられるだろう。日本は9月5日にパラグアイと親善試合(カシマ)、同10日にミャンマーとW杯アジア2次予選(ヤンゴン)を戦う。
だが、問題はそのあとだ。9月14日にサウサンプトンは敵地でシェフィールド・ユナイテッド戦がある。吉田は連戦と長距離移動による疲労と時差ボケでコンディションは落ちるだろう。先発はおろか、遠征メンバーに入らない可能性もある。これまでも毎回のように代表戦後に味わってきた試練が再び待ち受ける。
しかし、パラグアイ戦は親善試合であり、ミャンマーはFIFAランキング135位の弱小国だ。わざわざ吉田を招集しなくても、コパ・アメリカを戦ったような若手で十分に勝てるのではないか。
だが吉田は「アジアカップ以来、代表戦を戦っていないから行きたい」と言う。代表でのポジションは安泰だし、齋藤コーチが肌で感じた現在の吉田の好調ぶりを森保監督に知らせてくれるはずだ。
それでも吉田は「行きたい」と言う。「毎回、W杯予選の初戦は苦戦しているから。予選には予選の難しさはある。確実に勝っておきたい。追い込まれてから必死に頑張るより、先に勝っておいて余裕が出てきたら、その時点で考えたい」と話した。
確かに2018年ロシアW杯アジア2次予選の初戦は、ホームでシンガポールに引き分けた。その後7連勝し、首位通過して事なきを得たが、続く3次予選では再びホームで今度はアラブ首長国連邦に1-2で敗れて黒星スタート。その後、苦しい戦いを強いられ、まさかの予選敗退かと肝を冷やした。
吉田はW杯予選の難しさを知っている。だからサウサンプトンで先発の座を失うリスクがあってもミャンマーとの初戦は出場したい、と強く願っている。日本が勝利を重ね、勝ち点に余裕が出て来たら代表戦をスキップさせてもらい、サウサンプトンに集中することも頭にあるようだ。
この吉田の願いを森保監督はどう受け止めるのか。9月の日本代表戦のメンバーは8月末に発表される。
取材・文=原田公樹
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