イングランド代表はワールドカップ出場を決めたが、5日に行われたスロベニア戦でのパフォーマンスを見る限り、来年夏に彼らが良い結果を残すと思う人は現時点で存在しないだろう。
■選手が見せる“リーグ戦とは異なる姿”
聖地「ウェンブリー・スタジアム」での眠気を催すような1-0での勝利は、来年6月にロシアで行われるワールドカップ出場権獲得には十分な結果だったが、その低調な試合ぶりはガレス・サウスゲイト率いるチームが本大会ではグループリーグ突破すら難しいと思わせるほどのものであった。
彼らのゲームプランには、横パスをつなぎ、スペースへ飛び出すマーカス・ラッシュフォードにボールを託し、それをなにもせずただ見守る以上のものはなかったようにすら思える。そこには勢いも、創造性も、そして戦う姿勢も見られなかった。ようやく94分にカイル・ウォーカーの素晴らしいクロスに合わせたハリー・ケインがゴールを決めるまでは、本当に何もなかったのだ。
プレミアリーグで素晴らしいパフォーマンスを披露する、才能溢れる選手たちがたくさんいるチームでありながら、この試合でのパフォーマンスはここ最近のスリーライオンズ(イングランド代表の愛称)のスタンダードと照らし合わせても、おかしなほど平凡なものだった。
リーグ戦首位を走るマンチェスター・シティのウォーカー、ジョン・ストーンズ、ラヒーム・スターリング、マンチェスター・ユナイテッドのラッシュフォード、トッテナムのエリック・ダイアーやケインなど、彼らはここまでクラブでは決して悪いパフォーマンスではない。ところが、彼らが一堂に会した5日の試合では、目を覆いたくなるほど精彩を欠いたプレーに終始したのだった。
「そうできるだけの選手は揃っているよ」
先週前半、ジョゼップ・グアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティのスタイルを、イングランド代表でもコピーできるかと問われた際、ストーンズは次のように語っていた。
「プレミアリーグでやっているスタイルを代表チームに持ち込むのは難しい。全く違うものだからね。しかし、僕たちは常により良くなるためにハードワークしているし、シティのスタイルと代表のスタイルには似ているところも多くある。トッテナムのスタイルともね。でもそれを全て融合させるのはとても難しい」
「でも、イングランドが勝ち、クリーンシートを続け、年々向上していけば、国の誇りになることができる。それが重要なことだ」
Gettyしかし、96分もあの退屈な試合を座って見た後では、このコメントは非常に滑稽なものに思える。
■サウスゲイトに課されたミッション
スロベニア戦のようなパフォーマンスを来年夏にロシアで見せることになれば、国の誇りとなることは到底叶わないだろう。予選突破という第一の目標を達成したサウスゲートは、イングランド代表をより魅力的なチームにするために必要なことを全てやらなければならない。今のままのネガティブで、消極的なアプローチではどこと同じグループになろうとも、グループリーグを突破することすらできないだろう。
サウスゲイトはいかなるプランであれ、改めて見直すべきだろう。自分たちより力の劣る相手に対して守備的なミッドフィルダーを2人並べるのは単純に不必要であり、イングランドの進化を妨げることにもなる。クラブで良いパフォーマンスを発揮できていないアレックス・オクスレイド=チェンバレンへの信頼にも首を傾げざるを得ない。自身のキャリア絶頂期を迎えているケインが、後半ロスタイムまで孤立していたことも驚きである。
プレミアリーグには、オープンで攻撃的な力強いチームがいくつもあり、それら多くのチームの中心はイングランド代表の選手たちだ。一方で、代表チームがとんでもなく失望させるようなパフォーマンスしか見せられていないのは、非常に不可解なことだ。
この状況でワールドカップ本大会に挑めばイングランド代表、そして監督自身も痛い目にあうことになる。もしサウスゲイトがチームの再構築に取り組まないのであれば、来年6月にイングランドに賭けて良いことなど全くないだろう。
文=クリス・ヴォークス/Kris Voakes
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