Ole Gunnar Solskjaer Man Utd vs Arsenal Premier League 2020-21Getty Images

スールシャールを解任すべき。マンチェスター・U進化への挑戦は無残な結果に…

1年以上に渡って、オーレ・グンナー・スールシャール率いるマンチェスター・ユナイテッドが危機を脱するのを、ファンや評論家は待ち続けている。

しかし、好不調の波が激しく、ひどく腹立たしい1週間を終えて一つのことが明らかになった。このチームはトップにいるノルウェー人がいなくならなければ進化できない、ということだ。

まず、ユナイテッドは最悪の形でシーズンのスタートを切った。デイヴィッド・モイーズがチームを崩壊させ、タイトルを獲得してから1年経ったチームが7位でシーズンを終えることになったシーズン以来のことだ。とりわけホームでの成績が悪い。オールド・トラッフォードでは開幕から4試合勝利に見放されている。

終焉を迎えているのは確実だ。それが今ではないというなら、一体いつなのだろうか。

チャンピオンズリーグ(CL)でRBライプツィヒに5-0と大勝したことで楽観的になったものの、リーグ戦でアーセナルに戦術的なパフォーマンスで打ち砕かれ、帳消しになってしまった。今週のミッドウィークには格下であるイスタンブール・バシャクシェヒルにミスから敗れ、最悪の状況だ。スールシャールがこの仕事に向いていないことをクラブは気づく必要がある。

気づくことができないようであれば、具体的に何が必要だろうか。

■大勝負にのみ強さを発揮

Marcus Rashford Manchester United 2020-21Getty Images

ユナイテッドは1年前から何も変わっていない。カウンターを使って勝つこともあるが、次のステップに進むための戦術をスールシャールは教え込むことができていない。

アルバート・アインシュタインが“狂気”とした言葉が頭に浮かぶ。

「異なる結果を期待して同じことを何度も繰り返す」

この「同じこと」こそスールシャールのマネジメントスタイルだ。エド・ウッドワードがそれを信奉することも、さらにはメディアが「ユナイテッドは進化することができる」と思い込むことも「同じこと」だろう。

変化など全くなかったし、現在も何も変わっていない。起きているのは停滞だけだ。停滞は単なる失敗ではなく、どん底と言えるだろう。

スールシャールをまだ信じるということは、確たる証拠を無視することにほかならない。もっとも、その証拠は興味深いことに数カ月間に渡って巧妙に隠されてきているのだが。

先週の結果は、スールシャールが「進化の幻影」を見せ続けることができる理由と、これほど長く監督の座にとどまることができる理由が完璧に詰まったものだった。

スールシャールは「クラブが常に大躍進を遂げているように見せる能力」だけを備えている。他のビッグクラブには、これほど大勝負に勝つのが得意なのに他が全くできない監督などいないからだ。

そうして進歩を評価する通常のものさしを覆してしまうことで、我々は騙されているのだ。しかし、もう誰も騙されてはならない。戦術面の間違いが今やよく分かるようになってきているのだ。

■できるのは“即興”のみ

Pep Guardiola Ole Gunnar Solskjaer Jurgen KloppGetty/Goal

現代サッカー界ではこれまで以上にクラブ財政に格差が広がっているが、その影響でサッカーの戦術が「領土戦的」になりつつある。つまり、一流の監督が練習から体に染み込むまでパターンを繰り返し、組織だった攻撃パターンを構築する必要があるということだ。そうしなければ、相手のコンパクトに絞ったディフェンスの陣形を崩すことができなくなっている。

このアプローチは「オートマティズム」として知られており、ユルゲン・クロップ、ペップ・グアルディオラ、マウリシオ・ポチェッティーノらが得意としている。

スールシャールは彼らのレベルで指導しないし、指導できない。できるのは時代遅れの即興だけだ。これでは選手たちが突然の変化に対応できない。同時に、圧倒的に強い相手にだけはいい試合ができる理由でもある。

この考え方に基づけば、カウンター攻撃の際には、攻撃陣の創造性を活かすスペースがたくさんあるということになる。逆にユナイテッドが低く下がったブロックに相対すると、そんなスペースは一切なくなり、アドバンテージも得られなくなる。

そのため、選手たちはふわふわとポジションを漂い、サイドにパスし、ボールを行き来させる。一手先すら読むことができないチェス初心者のようなプレーに終始するのだ。

こう考えれば、スールシャールが低いブロックを作りカウンター戦術を敷いたライプツィヒ戦では大勝したことも説明がつくし、陣形とプレッシングが整備され、判断力に富むアーセナルに攻撃を遮断され良いところなく敗れた理由もよくわかる。バシャクシェヒルに守備を固められ、ミスから失点して敗れたのも同様のパターンだ。

■スールシャールに戦術はない

Thomas Partey, Nemanja Matic - Arsenal vs Manchester UnitedGetty

いつだって、組織だった戦術は即興戦術を上回る。だが、「オートマティズム」がすべてではない。スールシャールの欠点はもっと根深いのだ。

現代サッカーにおいて、最高級の戦術家の指導を詳細に紐解いてみると、その才覚はすべてのプレー、すべての状況、すべてのエリアにまで渡っている。動き、その繋がり、プレッシャーの陣形、ポジション…すべてを異常なまでに教え込んでいる。フォーメーションを選び、4バックを組織し、ぼやっとしたプレースタイルを指示するような古来の指揮官と比べれば雲泥の差だ。

だが、スールシャールのアプローチは後者だ。過去18か月で彼が採用した戦術からもすでに明らかなことだったが、この1週間スールシャールが4-4-2を採用し続けたおかげで、この点がはっきりと注目されるに至った。

おそらく、ユナイテッドはライプツィヒ戦で新フォーメーションを披露する前に数週間の準備を行ってきたのだろう。しかし、相手が全く異なるスタイルを持つアーセナルだったのにも関わらず、スールシャールは次の試合でも同じフォーメーションに固執した。ここから判断できるのは、変更初戦に比べて、二戦目はよく考えずに同じフォーメーションを敷いたと考えるのが妥当だろう。そして連敗して、慌てて元の4-2-3-1に戻したが、選手たちがミスを犯し、バシャクシェヒルにも金星を許した。

アーセナルとの一戦では、アルテタはユナイテッドの弱点を明確に突いた。ウィングバックがハーフスペースに入り込み、ユナイテッドの中盤に敷いたダイヤモンドの両脇に生じるギャップを狙い続けた。一方、マンツーマンでプレッシャーをかけることで、トーマス・パルティとモハメド・エルネニーはポール・ポグバとブルーノ・フェルナンデスをそれぞれ無力化することに成功。こうしてガナーズは前半を支配し、ハーフタイムまでにリードを奪った。

一方で、スールシャールはハーフタイム明けにシステムを4-2-3-1に変更。これによってアーセナルのウィングバックをためらわせたにも関わらず、ぶっつけ本番でまたポグバを慣れない左ウィングに起用。傾きかけた流れは新しい中盤の陣形のせいで寸断された。

試合後のインタビューでは、誰もはっきりした答えが見つけられないようだった。ポグバは、ライプツィヒ戦とアーセナル戦のパフォーマンスの違いが説明できず、スールシャールは「これがフットボールというものだ。良いときもあれば悪いときもある」と語っている。

こんなマネジメントをしていれば、そうなるだろう。しかし、一流の戦術家がいれば違う。例えば、マウリシオ・ポチェッティーノがチームにやってくれば、すぐにでも成績が上向く可能性はある。

■解任するしか道はない

Ole Gunnar Solskjaer Manchester United GFXGetty/Goal

2018-19シーズンは、ジョゼ・モウリーニョ監督下で問題が起きていた年だ。とは言え、今よりも成績はましだった。タイトルを期待される位置にいたのだから。

奇妙なのは、スールシャールに代わってからは、劇的に期待を持てなくなっているということだ。にも関わらず、いまだスールシャールには猶予が与えられている。ユナイテッドはタイトルを狙うべきクラブだ。クラブのレベルから言えばトップ4でシーズンを終えるのは当然のこと。だが、現状はそんな次元に遠く及ばない。

ライプツィヒに勝利したあと、「スールシャール率いるユナイテッドはついに危機を脱した」と伝えるメディアがいくらか見られた。しかし4日後の敗戦、そして今週のイスタンブールでの体たらくを見れば、それが誤りだったことはすぐに理解できる。

スールシャールは18か月率いたが、クラブは全く変化していない。ウッドワードとグレイザー・ファミリーはそろそろ気づくときだ。クラブが本当に危機を脱するためには、スールシャールを解任すべきだということに。

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