2019-10-26-kubo

U-17W杯、Jの真剣勝負を経験している17歳は世界といかに戦うか?

 U-17ワールドカップがブラジルで開幕する。久保建英らが参加した前回大会は大会覇者イングランドにラウンド16・PK戦で屈したが、今回のU-17日本代表も引けをとらない実力を有している。【取材・文=川端暁彦】

■日本サッカーが育て上げた選手たちの晴れ舞台

 これほど「Jリーガー」の多いU-17日本代表は初めてではないだろうか。

 10月27日(日本時間28日)に始まるU-17W杯に臨む日本代表のメンバーリストを眺めながら、そんなことを思った。MF久保建英(FC東京→マジョルカ)らを擁してタレント揃いと評された2年前のチームにしても、この時点ではここまで多くの選手がJリーグのピッチに立ってはいない。

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 たとえば10番を背負うエースのFW西川潤は桐光学園高校の選手だが、セレッソ大阪の特別指定選手としてすでにルヴァンカップとJ3リーグを戦うU-23チームでプレー済み。同じくFWの若月大和も桐生第一高校の選手だが、同様に湘南ベルマーレの特別指定選手としてJ1リーグ戦、ルヴァンカップに出場している。

 また守備の要となる主将のDF半田陸はモンテディオ山形ユースの所属だが、2種登録選手としてJ2リーグ戦5試合に出場。まぎれもなく「戦力」になっている。東京ヴェルディユース所属のMF藤田譲瑠チマも同様に、短時間ながらJ2リーグ戦2試合に出場している。

 J3に参戦しているU-23チームでも、ガンバ大阪のFW唐山翔自は7試合に出場して7得点と大爆発中で、FC東京のGK野澤大志ブランドン、DF角昂志郎もこのリーグ戦で経験値を積み上げてきた。ユース年代でのプレーで完結することなく、プロのピッチで「大人」に混じっての真剣勝負を経験している選手がこれほど多くいる。それはJリーグがそれだけ若い選手にチャンスを与えるようになってきたということでもある。

 もちろん、Jリーグに出ている選手たちだけではない。2度の世界大会を経験しているGK鈴木彩艶(浦和レッズユース)や来季湘南に加入が内定しているスピードとスタミナを兼ね備えるDF畑大雅(市立船橋高校)、攻撃の要となるMF成岡輝瑠(清水エスパルスユース)といった選手たちも要注目。日本サッカーが大切に育て上げた選手たちの晴れ舞台であり、才能の発表会となるのがU-17W杯という大会だ。

2019-10-26-japan-U-17©J.LEAGUE

■出るではなく、世界で勝つことを目指す

「日本での日常とはまったく強度の違う相手との対戦を通じて、自分たちの持つ基準が変わる大会。ライバルが国内ではなく、世界の相手に変わることになる」

 そう言って目をギラつかせた森山佳郎監督にとって、この大会は2年前の前回大会に続く2度目の挑戦でもある。前回は優勝したイングランドに惜敗する形となったが、「あの試合の経験を選手たちは本当に財産にして成長してくれた」という実感がある。それだけに「負けたら終わりの緊張感の中でやるノックアウトステージの試合を一つでも多く選手たちに経験させてあげたい」という思いを持ってチームを指導してきた。

 2年前のイングランドにはハドソン・オドイ(チェルシー)やフィル・フォーデン(マンチェスター・シティ)といったタレントがひしめき、各国代表を大差で破り続けるスーパーチームだったが、その相手を向こうに回して日本は一歩も引かぬ戦いを見せることができた。

そんな試合後に、久保や菅原由勢(名古屋グランパス→AZ)といった選手たちが「悔しい気持ちしかない」と繰り返していたのも印象的で、日本サッカーは決勝トーナメントに出ようと、世界王者になる相手と互角に戦おうと、そこで満足できる段階にはもはやなく、「世界大会の決勝トーナメントに残ることではなく、そこで勝つこと」(森山監督)を目指す段階に来ているのだと実感させてもくれた。

 もちろん、グループステージ通過が楽勝なんてことはまったくないし、「目の前の試合に100%を出し切る」(森山監督)戦いを重ねることは大前提。しかも今大会は欧州王者のオランダや、北中米勢で実質的に最強ではないかと目されるアメリカ、そして日本が苦手とする部分を押し出してくるスタイルを持ち、昨年対戦時はホームで完敗しているセネガルが同居するという組み合わせにもなった。

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■目標はべスト4入り、初戦は優勝候補オランダ

 ただ、それでもなお指揮官の掲げた「最大7試合を戦えるベスト4入り」という目標は別に尊大なモノにも思えないし、非現実的でもないだろう。プロのピッチでU-17年代の選手が当たり前のように輝き、久保や菅原、中村敬斗(三菱養和ユース→ガンバ大阪→トゥエンテ)といった前回大会を経験した選手たちは早くも欧州の最前線へ戦いの場を移した。そういう立ち位置の国が現実的に狙っていくべきラインとも言えるだろう(もちろん、まったく簡単ではないが!)。

 初戦はいきなり「優勝候補筆頭」(森山監督)と目される欧州王者オランダとの初戦になるが、かえって分かりやすくていい。指揮官もあえて「非常にラッキー」という言葉を使う。「こことやればどこが相手でも怖くなくなる」からであり、「一番強いヤツらに何が通用して、何が通用しないのか」を体感することは確実に未来へつながるからだ。

 もちろん、勝利という成功体験に結び付き、目標である「7試合」につながることになればそれがベスト。欧州選手権でも決勝のイタリアに大勝したのを始めとして圧倒的な攻撃力を見せ続けた新世代のオレンジと日本の若獅子たちの真剣勝負。次代を担う選手たちにとって、確実に財産となるであろう「最初の90分」が始まろうとしている。

取材・文=川端暁彦

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