トーマス・トゥヘルがチェルシーにやってきた。やるべきことは多いが、それほどの時間はない。
フランク・ランパードが月曜日に解任されてから、新監督が決まるまでそれほど時間はかからなかった。47歳のドイツ人はすぐに新しいチームに加わり、27日のウォルヴァーハンプトン戦では早速指揮を執った。
新監督の初戦としては最多のパス本数を記録するなど、新生ブルーズを印象づけたが、結果はスコアレスドロー。ランパード解任の理由として「最近の結果とパフォーマンスはクラブの期待に沿わないものであり、改善への明確な道筋が見出せない」と説明されていただけに、引き分けは十分な結果とは言えないだろう。
なにしろトゥヘルには、すぐにチームを蘇らせるだけの刺激を与えるだけではなく、ブルーズをチャンピオンズリーグ(CL)出場圏内に戻すという明確な結果も求められている。
■求められる再生
Getty/Goalしかし、トゥヘルはこれまでシーズン中盤から新しいクラブの指揮を執ったことはなく、チェルシーほど内部分裂したクラブを引き受けたこともない。
トゥヘルの最初の仕事は、真っ二つに分裂したチームを一つにすることになるだろう。ランパード解任を受け、2つのグループがそれぞれの考えを持っている。
ランパードに忠実だった選手たちは、解任劇のことを苦々しく思う一方で、トップチームでのチャンスが増えると息巻いている者もいる。
昨夏のシーズンオフに2億2000万ポンド(約308億円)を注ぎ込んで選手を獲得したあと、チェルシーは人員整理に失敗した。その結果として、出場時間に不満を抱える選手が多く生まれたのは知ってのとおりだ。そのため、トゥヘルが就任したことは「問題は解決し、皆が活躍するチャンスを得られる」と選手たちが納得する材料にはなるだろう。
確かにランパードのチェルシーは昨年12月にはトップに立っていた。だが、彼の影響力が急激に弱まったのは、在任最後の6週間でティモ・ヴェルナーとカイ・ハヴェルツの能力を最大限に引き出すことができなかったからだという側面は否定できない。前任者は、この超高額移籍の2人にもっと注意を払うべきであった。
トゥヘルが起用されたということは、ドイツ人選手と面識があるという事実以上を求められているということだ。元ブンデスリーガのスター2人をチームに組み入れ、輝きを取り戻させることだ。
Gettyまた、チアゴ・シウバやクリスチャン・プリシッチといった、ともに仕事をした経験を持つ選手が在籍していることは、トゥヘルにとって重要な要素になるだろう。ともにランパード政権でも一定のポジションを手にしていたが、トゥヘルとも良好な関係を築いていた。
チアゴ・シウバはトゥヘル指揮下のパリ・サンジェルマンでキャプテンを任され、プリシッチはトゥヘルのドルトムントでブレイクを果たした。プリシッチに関しては、トゥヘルについてこのように感謝の言葉を語ったこともあるほどだ。
「僕にしてくれたことすべてにとても感謝しているよ。トゥヘルはいつでも僕を信頼してくれて、チャンスを与えてくれた。もちろん、彼は毎日トレーニングで僕を見て助言やフィードバックをくれたし、些細なことも指摘してくれたんだ」
■懸念も…
DPA一方で、トゥヘルのような激情型で、人への要求も強い指揮官は、チェルシーでは衝突を避けられないかもしれない。何よりトゥヘルには“前科”がある。
PSGでは、トゥヘルの希望する選手を獲得することをクラブが拒否したことや、チアゴ・シウバとエディンソン・カバーニがチームを離れたことによって、レオナルドSD(スポーツディレクター)との関係が悪くなっていった。その結果が解任だ。チームは4か月前に史上初のCL決勝の舞台に立っていたというのに。
だが現時点で、チェルシーが冬の補強に打って出る可能性は低く、トゥヘルが早々に首脳陣と衝突することは避けられるだろう。そのため、ドイツ人指揮官は現有戦力で自身の特徴的なスタイルを打ち出していく必要がある。
アグレッシブなカウンタープレス、高いボール保持率や戦術的な柔軟性など、ランパードの哲学とは少々異なるが、トゥヘルはこれらのスタイルをすでに実践しており、結果も残してきた。選手を従わせるという点での苦労は少ないかもしれない。
今後は自身の派閥のスタッフをチームに加え、トゥヘルは移籍交渉から食生活まで数多くの権限を持つことを求めるだろう。だが、まず証明すべきなのはピッチ上での結果。トゥヘルがチェルシーで手にした長い「やることリスト」の一番上に位置するのは、一戦一戦を大事にし、確実に勝利をもぎ取るということだ。
▶2020-21 プレミアリーグ DAZN完全独占!1ヶ月間無料トライアルを今すぐ始めよう
【関連記事】


