■日本のOAは大迫勇也らが有力
日本の目標がベスト8であれば悲劇的な組み分けかもしれないが、森保一監督は五輪監督の就任時から目標を金メダルに掲げており、グループリーグからフランス、メキシコという優勝候補と当たることは悪いことではない。南アフリカ戦も含めて、ここを乗り越えることで、チームとして少なからず成長して準々決勝から先に向かっていける。
3枚のOA枠については、森保監督がA代表と五輪代表を兼任している本来の目的を踏まえれば使わない理由がない。昨年10月、11月のA代表にも7人の五輪世代が参加したが、そのメンバー発表でも森保監督は3人のOAが加われば10人が東京オリンピックの代表と重なるという趣旨のコメントをしていた。リオ以前のような“助っ人”というよりは最初からOAを想定して18人のメンバーを構成するイメージに近いはず。そう考えると、OAはすでに五輪世代と活動した経験のあるA代表の主力クラスがターゲットになる。
基本的にはFW、トップ下、ボランチ、CB、GKというセンターラインがターゲットになるが、森保監督の基準で考えれば、五輪世代でA代表に招集されている選手たちは18人から外れない可能性が高く、彼らのポジションとのバランスも想定する必要がある。したがって久保建英、堂安律、三好康児を擁するトップ下は五輪世代の人材が足りているポジションだ。
CBも冨安健洋、板倉滉、中山雄太が昨年のA代表に呼ばれたメンバーだが板倉はボランチ、中山はボランチがメインで4バックなら左SBも兼ねるマルチロールであることを考えると、OAを組み込む有力なポジションになる。本職のFWは五輪世代にA代表の常連メンバーがおらず、センターラインでも現状最も力の差があるポジションだ。
GKも2年前に大迫敬介が招集されたのみだが、Jリーグでポジションを掴んでいる選手が多く、この1年で底上げされてるので、センターラインの中では優先順位が高くない。そうしたことを踏まえると、やはりFW大迫勇也、ボランチで遠藤航、CB吉田麻也の3人が最有力か。南野拓実や鎌田大地も候補だが、彼らを組み込む場合にマルチロールも含めた2列目の構成が難しくなる。
金メダルを目標に掲げる中で、最大6試合を通して主力になりうる選手を想定するのは既定路線だが、メンタル面や経験で支えることも期待される。そうなると、GK川島永嗣や左サイドバックの長友佑都のような、パーソナリティの部分でまだ五輪世代に無いものを持っている選手を組み込む可能性もゼロではない。彼らは仮にすべての試合に出なかったとしてもベンチメンバーを含めてチームをモチベートしていける存在だ。
■フランスはEURO優先でOA枠を選考か
(C)Getty imagesロンドン五輪では準決勝で敗れた相手がメキシコであり、そのまま決勝でブラジルを破って金メダルを獲得。かたや日本は3位決定戦で韓国に敗れてメダルを逃した因縁がある。4-2-3-1がベースであるが、テクニックとスピードを活かす伝統的なスタイルに加えて戦術面でも洗練されてきている。
パチューカで本田圭佑の同僚だったキャプテンのエリック・アギーレや欧州組のディエゴ・ライネス(ベティス)など、U-24でも十分にタレントは揃っているが、メキシコは五輪の本気度が高く、A代表の主力クラスから経験豊富な選手を組み込む可能性が高い。本命は象徴的な選手の一人であるグアルダード(ベティス)か。また現在はMLSのロサンゼルス・ギャラクシーで活躍する“チチャリート”ことハビエル・エルナンデスも有力候補に挙がる。
フランスは84年のロサンゼルス五輪で金メダルを獲得したものの、その後は96年のアトランタを最後に5大会出場を逃していた。2019年のU-21欧州選手権を戦ったメンバーが主力となる今回、すでにA代表の主力であるキリアン・ムバッペ(パリ・サンジェルマン)は6月開幕のEURO優先で辞退が濃厚だが、ライプツィヒのDFダヨ・ウパメカノやアーセナルからヘルタ・ベルリンに期限付き移籍しているMFマッテオ・グエンドウジ、リヨンで主軸として活躍するフセム・アワールと言った欧州サッカーのファンにはお馴染みのタレントが揃い、勢いに乗れば金メダルも射程圏内だ。
OAの有力候補はやはりU-21欧州選手権の最年長だった1996年生まれの選手たち。ただし、すでにA代表の常連になっている選手はムバッペと同じくEURO優先になるだろう。先日バイエルン・ミュンヘンに勝利したマインツのDFムサ・ニアカテやアトレティコ・マドリーFWムサ・デンベレなどが候補になる。
■ネイマール来日の可能性…優勝候補のOAは?
(C)Getty Images銅メダル以上を目標に掲げる韓国はオーバーエイジの使用が最も想定される国の1つ。ただし、A代表がアジア2次予選で苦戦し、まだまだ余談を許さないため、A代表の主力だと6月の予選から東京五輪までフル参戦させる必要が出てくるのはネックだ。ただ、キム・ハクボム監督は五輪世代で臨んだ2018年のアジア大会にソン・フンミン(トッテナム)をはじめ、当時ガンバ大阪の所属だったFWファン・ウィジョ(ボルドー)、GKチョ・ヒョヌ(大邱→蔚山現代)を招集しており、必要戦力であるOAの招集に最善を尽くす努力は惜しまないだろう。
エジプトはガリーブ監督がモハメド・サラーの招集を公言しており、本人も前向きだという。最終的にはリヴァプールの同意を得て正式決定の運びとなるが、エジプトの英雄を加えればA代表のFWラマダン・ソブヒとの強力コンビ結成となるのはもちろん、チーム全体をまとめる象徴になりうる。さらに守備の要としてプレミアリーグで活躍するベテランのMFアーメド・アルハマディあたりが統率役として期待される。
スペインとドイツもフランスと同じくOAの召集があるとすれば、U-21欧州選手権のメンバーからだろう。当然EUROに参加するメンバーをダブルで招集するリスクは冒さないはず。スペインではダニ・セバージョス(アーセナル)やプレミアリーグ で躍進するウェスト・ハムのMFパブロ・フォルナルスの招集が期待される。ただし、A代表の経験豊富な選手がEUROから外れる場合、サプライズで五輪に参戦という芽も無くはない。ドイツはあまりそういう選択を取らない傾向にあるが、U-21欧州選手権組のMFマフムード・ダフート(ドルトムント)や名門ベンフィカで10番を背負うFWルカ・ヴァルトシュミットなどは有力だ。
アルゼンチンとブラジルもコパ・アメリカがあるが、伝統的に五輪出場を希望するA代表クラスの選手も多く、もしかしたら五輪を優先する、あるいは両大会にエントリーするOAが出てくる可能性もある。
3月に来日し、日本と2試合を戦ったアルゼンチンはすでにラ・リーガのカディスで守護神を担うGKレデスマの招集が確定的だが、さらに経験豊富なA代表あるいは元代表選手を加えるかもしれない。2008年の北京五輪では当時A代表の主力だったハビエル・マスチェラーノがOAでキャプテンを任され、金メダル獲得に大きく貢献した。ブラジルはネイマールが前回に引き続き招集される可能性も浮上。アンドレ・ジャーディン監督は非常に前向きで、本人や所属クラブのPSGがどう判断するか注目される。
文=河治良幸
