日本代表DF冨安健洋の将来について、有力メディア『The Athletic』のアーセナル番記者が分析している。
2021年にボローニャからアーセナルへ加入すると、左右両サイドバックでプレーしながら近年プレミアリーグ優勝争いを繰り広げるチームで重要な役割を担ってきた冨安。しかし加入から3シーズン続けて長期離脱に見舞われると、今季も開幕前の負傷でプレシーズンツアーを欠席。今月5日のサウサンプトン戦(3-1)でようやく初出場を果たしたが、再び膝のケガで欠場が続いている。
そんな日本代表DFについて、『The Athletic』のアルト・デ・ロシェ記者が「ミケル・アルテタ監督が信頼するDF、冨安健洋の負傷と将来」と題して特集。以下のように分析した。
「2年前の10月、冨安健洋はリヴァプール相手に重要な役割を担った。左サイドバックでモハメド・サラーを黙らせる役割を担い、見事にやり遂げた。彼はアーセナルがタイトルに挑戦できると確信を得た勝利において、本当に重要な人物だった。そして先日のリヴァプール戦(1-1)、ガブリエウが負傷交代を余儀なくされた時、彼は完璧な代役だったはずだ」
そして「過去の欠場歴にファンの懸念は募っているが、アルテタの称賛は揺るがない」として指揮官の賛辞のコメントを紹介しつつ、「ファンは再び最高の冨安を見られるのだろうか?」とし、以下に続けている。
「彼のクオリティに疑いの余地はない。アルテタも『彼のような選手はいない。守備に関しては、私が見た中でおそらく最高の選手』と絶賛するように、多才さだけではないのだ。2023-24シーズンの重要性も忘れてはならないし、ケガに悩まされたとはいえ、シーズン終盤で重圧がかかった時に調子を上げている」
■退団の可能性はあるのか
一方でデ・ロシェ記者は、「彼は否定しようがないクオリティを備えているにも関わらず、稼働率が繰り返し疑問視されていることから、外部の懸念はすぐに消えないだろう」と負傷欠場の多さが問題視されていることも指摘。そのうえで、冨安の将来を予想している。
「たとえ懸念が内部の人間にまで及んだとしても、アーセナルは少なくとも明確な立場にいる。2021年に4年契約で加入し、昨季さらに新契約を結んだ。現行契約2026年まで、さらに1年間の延長オプションも付帯している。この契約により、アーセナルは彼の将来をどう扱うかについて柔軟な対応ができる。アーセナルとしては、彼のクオリティからまだ恩恵を受けることができるし、チャンスがあれば活用できる」
「だが、残り2年というのはベン・ホワイトに与えられた4年契約とは違う。同時期に加入した彼は143試合に出場しているのに対し、冨安は84試合だ。そして冨安がプレミアリーグでハイレベルなDFであることを証明しているため、その市場価値は獲得に支払った1600万ポンドよりも上昇しているだろう。また守備陣の負傷者続出にかかわらず、アーセナルのバックラインは以前よりも整備されている。クオリティの面から考えても、高いレベルで複数の役割を果たせる選手が最低でも2人はいる状況だ」
最後にデ・ロシェ記者は、「来週26歳になる冨安だが、アルテタにとって依然として優れたオプションだ。ある意味で彼は、ホワイトやティンバー、カラフィオーリをサイドバックで起用する青写真をアルテタが描けた理由でもある。体格にも技術面にも優れ、何よりも守備を愛している」とし、こう結論付けた。
「短絡的に冨安を諦めるべきではない。だが、アーセナルにとって彼の将来性に柔軟性を持つことは、長期的にさらなる利益をもたらせる可能性もあるということだ」