レアル・ソシエダに所属する日本代表MF久保建英は、今季最悪の思い出としてカタール・ワールドカップ(W杯)決勝トーナメント1回戦クロアチア戦を挙げている。
スペイン『カデナ・セール』とのインタビューに応じた久保は、まず今季最高の思い出について聞かれて、ソシエダが年明けの不調を乗り越えたことだと返答。ソシエダは1月下旬に一気に調子を落としたが、久保はそこでチームとしてふんばりを見せられたことがチャンピオンズリーグ出場権獲得につながったとの見解を示している。
「今季最も素晴らしかったのは、チームが悪い流れの中で耐えて見えたことです。2月は筋肉的な疲労が溜まり、負傷者が続出しました。ですがチームは見事耐え切ったんです。そこから僕たちは再び上昇気流に乗りましたが、あの耐え抜いた時期こそが最も重要だったんだと思います」
その次に今季最悪の思い出について問われた久保は、「2カ月の中断期間があって、ラ・レアルの皆と顔を合わせられなかったことですかね。今、頭に浮かんでいるのはそれですけど。まあ、その期間を楽しんでいた人もいたんでしょうが、僕は違いましたね」とW杯の中断期間について言及。そして、発熱によって欠場したクロアチア戦が最悪の思い出ではないのかと指摘されると、こう返したのだった。
「あれは本当にひどかったです。39度の熱が出て、部屋から出ることもできませんでした。風邪ということで最初はCOVIDかと考えましたが、結局はCOVIDじゃないと言われて、ちょっと喜びましたね。でも、風邪が長引いて『これCOVIDよりひどいじゃん』って思いました(笑)」
日本は久保が欠場したクロアチア戦、43分にFW前田大然のゴールで先制しながらもMFイヴァン・ペリシッチに同点弾を決められ、PK戦の末に敗退を強いられている。
「それで部屋で試合を見ていたんですが、最初は僕たちが勝っていたのに、結局運は味方をしてくれませんでしたね」
「あのとき、僕はチームの一員だと感じることができませんでした。真っ暗な部屋で一人ぼっちでテレビを見ていて、まるでファンの一人のように感じていたんです」
「4年前のW杯ベルギー戦、僕はファンの一人として試合を見ていて、それから4年後に招集されたにもかかわらず同じようにテレビで試合を見ていた……。確かに、それが今季最悪の出来事かもしれません」
久保はその一方で、レアル・ソシエダをはじめとしたスペインのフットボールクラブが、地域にしっかり根付いていること、支えられていることに大きな感銘を受けていることを明かした。
「スタジアムの前には学校があって、赤信号とかで止まっていると子供たちが『クボー!』と言ってくれるんです。ここの10〜12歳の子供たちはラ・レアルのユニフォームを着ています。マドリーやバルサ、マンチェスター・シティのユニフォームを着ていてもおかしくないのに、多くの子供たちがラ・レアルのユニフォームを身につけているんです。それには驚きましたね」
「素晴らしいことだと思います。日本でも同じようなことがあって、僕は川崎生まれですが、子供の頃から川崎を応援していました。ただ、スペインのようなフットボール大国で、マドリーやバルサがいれば彼らのファンになるのが普通のように思えますが、コルネジャに行けば全員がエスパニョールのファンで、バジャドリーに赴けばやっぱりほとんどがバジャドリーのファンですし、ここ(レアル・ソシエダ)にしたって同じことが言えますよね」
「人々はそのことに誇りを持つべき……いや、選手たちこそがそのことを誇らしく感じるべきなんだと思います。ホームの人たちが本当にホームの人たちなんですから」


