ラ・リーガがレアル・マドリーとバルセロナの“寡占状態”であることを主張したアトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督は、2強以外に優勝したチームを数えれば、その言葉は筋が通ったもののようだ。
18日のラ・リーガ第37節、本拠地リヤド・エア・メトロポリターノでのベティス戦を4-1で制して、今季3位の座を確定させたアトレティコ。だが、シメオネ監督とともに財政的成長を続けながらも、今なおスペイン2強と同じ土俵で戦えていないと批判する意見も少なからず存在している。
シメオネ監督はベティス戦後会見で、そうした批判について見解を求められ、ラ・リーガにおいて2強がいかに強大な存在であるかを説いていた。
「私たちは常に3位というわけではない。2回は2位になって、それと2回は優勝を果たしている。1984年からの40年間、ラ・リーガで優勝した2強以外のチームはアスレティック、デポルティボ、バレンシア、アトレティコ以外いない。それしかいないならば、そこには何かしらの理由があるということだ」
「イングランドでそういったことは起きない。あそこではマンチェスター・シティ、ユナイテッド、リヴァプール、レスター、アーセナルと数々のチームが優勝を果たしている。翻ってフランスはPSGの一強で、ドイツにはバイエルンがいて、そしてスペインには2強が存在しているんだよ」
シメオネ監督の発言は正しかった。スペイン『マルカ』によれば、欧州5大リーグのここ40年間で、ラ・リーガは最も優勝チームが少ないリーグとなっている。
1980年代初頭にはアスレティック・ビルバオやレアル・ソシエダも優勝していたラ・リーガだが、1985-86シーズンからの40年間でみると、2強以外はわずか3チームしか優勝を果たしていない。その3チームはバレンシア(2回優勝)、デポルティボ(1回優勝)、アトレティコ(3回優勝。シメオネ監督は選手として1回、監督として2回優勝)で、そのほかの34回はレアル・マドリーとバルセロナがトロフィーを掲げている。
ほかのリーグでは、ラ・リーガよりも多くの優勝チームが生まれている。この40年間、リーグ・アン(フランス)では10チーム、プレミアリーグ(イングランド、1992年以前はフットボールリーグの名称だった)では9チーム、ブンデスリーガ(ドイツ)とセリエA(イタリア)では7チームが優勝を経験。確かにドイツではバイエルンが26回、イタリアではユヴェントスが17回、イングランドとフランスではそれぞれマンチェスター・ユナイテッド、PSGが13回ずつ優勝を果たすなど、各国に盟主のようなチームは存在している。だがレアル・マドリー、バルセロナと盟主が二つ存在するラ・リーガで、その他のチームが優勝するのはあまりに困難なことなのかもしれない。
『マルカ』は「レアル・マドリーとバルセロナは“別のリーグ”でプレーしている」とも記載。ちなみにアトレティコの2024-25シーズンの予算が4億5900万ユーロであったのに対して、レアル・マドリーは11億2800万ユーロ、バルセロナは8億9300万ユーロと2倍の差をつけている。シメオネ監督就任以前の3〜4倍の差から縮んではいるものの、本当に2強と同じ土俵に立ちたいならば、まだまだ時間がかかりそうだ。


